排除反抗ボケ
照明がパッとつき、舞台中央に立つボッケとツッコ。軽く一礼し、ツッコが口を開いた。
「どうもー! 謎だらけでーす! よろしくお願いしまーす!」
ボッケがニヤリと笑い、客席を指差す。
「いやぁ、ツッコ。今日はお客さんいるね、ありがたいね」
客席から、まばらな拍手が起こる。
一瞬ジト目でボッケを見、苦笑いをすると、
「そうだな! みんなのおかげだ!」
「でもさ、これって、今日ここに来なかった人たちは排除されたってことだよ?これは問題だよ。僕をみたい人はもっといるはずだよ!」
ツッコは一瞬言葉を失った。
「…はいはい、お前の脳内ではさぞ沢山いるんだろ! 普通に予定があるとか、チケット取れないとか、お前が嫌いとかあるんだろ!」
「嫌いっていえば、ぼく小売店で働いててさ、社長の子供の言ってること、おかしいよって言ってあげたんだ、そしたらさその週にクビにしてきたんだよ。その時車買ったばっかだったのにーー」
ツッコは笑いながらいった。
「ざーまみろ。どうせお前、空気読まずに言いたいこと言ったんやろ!」
「空気読めないって言ったら、そういえば、大学の時に就職失敗ばっかしてたらさ、大学の人が空気読まずに就職したくないって自分で書いてくれないか言ってたなー?あれ何だったのかな」
「まー就職率落としたくなかったんやろな、お前の意思なんかより大学の名声が大事なんやろ。利用しようとしっとったんや、お前と同じように空気読まずにな!!」
少し考えた後にボッケは熱く語り出した。
「そうだよ排除だよツッコ排除が問題なんだ!!。知ってる?レースの部品だって速い選手には最新の物、遅い選手には古いパーツでレースから排除だよ? テレビの視聴料だって、払わなければ視聴を排除されるんだよ?」
ツッコは額に手を当てた。
「それはしょうがないだろ。 レースは勝つための戦略の為。視聴料は制作費がもらえる為だろ?」
「わかってるじゃんツッコ! 結局レースの場合は遅い人は排除が普通だけど、さっきのは同じチームでも早い人に新しいパーツでレースをした結果の方が利益が確実に多いから遅い人を古いパーツにしてでもいいと排除。テレビの場合は視聴料払わない人を排除して払う人からだけ視聴できるからわかりやすいよね。
だから、自分たちの都合のいいように何かを排除して、それで利益を出したいってことだよ?僕もツッコも、そこにいるお客さんも来なかったお客さんもね!」
客席のざわめきが、どこか不穏な響きを帯び始める。
「はぁ?!」
ツッコは思わず声を荒げた。
「今度は全員攻撃かよ?お客さんが来ないのは普通に俺たちの漫才が面白くなかったか、知らないから来なかったんだよ! 」
「そうだね。知らないはしょうがないけど、みんな僕たちを面白くないと思ってるんだよ!そこがおかしかったんだ!みんなが僕たちの価値を排除してるんだよ!」
ツッコは眉間に皺を寄せ、頭を抑えながら
「お前がおかしいだけだろ!!って俺にブーメランじゃねえかこれ!」
ボッケは相変わらず自信満々だ
「そうだよ!みんなに僕の価値がわかるように色々アピールしようよ!」
「それを今やってるんだろうが!この自己中ボケ!」
ボッケを睨みながらツッコは怒鳴った!
「自己中心ですよ。でもどこだってあるよ。いじめだもそう、 弱い者を排除でグループ内の優位性や安全を確保できるよ。それに利益の最大化による人材排除は枚挙にいとまがないしね。結局、歴史を見ても、民族とか色々分かりやすåい違いを理由に大多数が少数派を排除だしね。しかも排除が済んでもさらに大多数の中から、さらに少数派を排除して同じことを始めるんだよ。まるでカッコウの托卵のように シンプルで合理的だよ。」
ボッケは捲し立てる
「他にもあるよ!ある意味犯罪者も倫理を排除してでも他人の利益を盗んでるよね、けど犯罪者だって結構理由聞くとやった事は悪いけど、さっきの理由で世の中から自分以外の利益のために排除された人も多いよ。大企業も他の小売店じゃ安くて利益出ないようなある意味では自己中心的な僕らの望む安い価格にして小売店を排除してその後独占して好きなように利益をもらうよ。。さて僕は何を排除しようかな」
ボッケの言葉に、客席の空気が静まり返る。重く、冷たい沈黙が広がる。
ツッコはまずいという表情をして急に
「ははは、排除?はーーーーいジジイーだじょーーーーーーーーーーぶーーーーーーー」と大声で叫んだ
ボッケも会場も凍った。
「見たかボッケ、これが会場から排除されるってことだよ。お前の排除は大多数に回れない独りよがりの排除という名のオチさ。どうもありがとうございました。」
凍りついた会場をぼっけを引っ張るように退場するのだった。
ツッコは楽屋裏にボッケを引っ張り込んで怒鳴った。
「テメェ!なんだあのセリフは!お客が少ねえからって文句言ってんじゃねぇ!」
「。。。。ごめん、ツッコお客さんの少ないのもあったし、途中でスマホ見出してたり我慢できなくなっちゃったんだ。。本当にごめんよ。」ボッケは途中から涙目になり土下座した。
憮然としながらも
「俺たちが排除される側になるんだぞ!自分で一番わかってるじゃねえか。。。。俺もムカついたし気持ちはわかるよ、けどな俺たちは笑わせるためにいるんぞ、忘れるなよボッケ」
その後、以前仲良くなったタクシーのおっちゃんに連絡をとった。
「はい 限界タクシーです。」
「もしもし、あーおっちゃん、ツッコだけど」
「なんだ、ツッコか?いや、今すげー遠くまで乗ってくれるお客さん乗っけてるんだよ!じゃーすまねえ」。
言いたいことだけ言うと切ってしまった。
「おっちゃんもかよ...時間もねえしボッケタクシー外で捕まえるぞ!」
タクシーをつかまえようと手を上げた。
その後タクシーが止まりそうだったが、さらに前で手をあげた人に止まってしまった。
他の場所に移しても同じようなことを2回繰り返した時だった。
「…今日に限って..笑えねくなってきたな。。。くそ!」
ボッケは笑っていた。ツッコは怒って振り返った。
「次は僕らが笑わせる番だよ」
ぼっけの目は笑ってはいなかった。




