贈り物は欲望の器、開けたら最後。

人は誰しも、心の奥に埋められない隙間を抱えている。
孤独、嫉妬、承認欲求、美への執着——。

その隙間に入り込むように現れるのが、
中性的な美貌を持つ謎の青年 ノア。

彼はただ、ひとつの「道具」を差し出すだけだ。
嫉妬を映す指輪、理想の恋人を投影するフィルム、
SNSで「いいね」を集め続けるスマホケース……。

願いは簡単に叶えられる。
だが代償は、いつも静かに忍び寄る。

愛を縛ろうとした妻は嫉妬に酔い狂い、
美を求めすぎた女は鏡の中に囚われる。
「いいね」を欲した青年は、承認欲求の渦に飲み込まれる。

欲望は器に注がれた水のように、
やがて溢れ、形を歪めていく。
ノアはただ、微笑みながらそれを見届ける。

本作は、1話完結のオムニバス形式。
どの話からでも楽しめ、現代人の欲望と恐怖を鮮やかに映し出す短編集です。

あなたなら、この贈り物をどう使うだろうか？