「空の青さの理由を知るものよ、土へと帰るべからず。」
あまん。です。
心臓を貫く矢を撃ち込む準備は出来ました。
受け止めてください。
「時間と時間の狭間?何を言って?」
時計を見るが、止まっている。
時間と時間の狭間…?
「これさ、厨二病っぽい?よね。」
「は?」
「人間は、これを厨二病という。痛いとも言うのかい?」
「まてまてまて、ま、うん…言うけども。」
落ち着け、マジでコイツは何を言っている?
まず状況を理解しよう。
「もう…まず、誰アンタ…。」
私は頭を抱えながら言う。
「だから、僕はクウ。神崎は偽名だよ。」
私の机に乗りながら優しく髪を揺らし、言う。
「偽名!?」
「理由はおいおいね。」
おいおい…!?!?
私が言葉を投げかける前に、クウが口を開く。
「お、本当にしてる!」
クウが嬉しそうに私に寄る。
「な、なにが?」
「手を組んでるでしょ?今。」
手を組んで…?
手元を見ると、確かに手を組んでいる。
「む、無意識だけど…。」
少し後ろに一歩下がる。
「更に手をぎゅっと結んだね?人間って面白い!」
「はぁ…?」
「それも無意識?凄いねぇ。」
何が凄い…?
「あ、アンタ、手組めないの?」
とっさに質問を投げかける。
一つずつ疑問を消そう。
「うん、無意識で組むなんて出来ないよ。」
説明するように人差し指をクウが立てる。
「何が言いたいのさ?」
「自己親密行動の一種で、
自分を落ち着かせようとする心理的な行動。」
「まさか…手を組むのが?」
私は少し冷や汗を垂らす。
「そう!!そうだよ!!」
「そうなんだ…。」
その事実に少し私は覚えておこう、と思う。
「え、まさか知らないの???」
クウが目をキラキラさせて私に駆け寄る。
「知らないよ…。」
私はクウから目をそらす。
「………人間って変だね。」
変って何が?
クウさんのほうが変、と言いたい。
けど言わない。面倒くさくなりそうだし、またなにか場を掻き乱しそうだから。
「変って何処らへんがよ…?」
此れで変な回答が返ってきたら、やっぱりクウさんのほうが可笑しいと言おう。と心に決める。
「例えば、時間と時間の狭間でも冷静なところとか。」
「それは、私に状況整理の時間をくれなかったから!」
そう言い訳するも、たしかに…?と私は少し考える。
特殊なのかも知らない。
「僕なら、人間としてここに
初めてきたら多分焦りまくってるよ。」
「え?焦るの?」
クウの言葉に驚く。
「当たり前!舐めんな!」
「えっと…何が舐めんな?」
「舐めんな…って使い方違うの?
あれー勉強不足だな…?」
勉強不足……?日本に住んでたんじゃ…?
え?宇宙人だったりします!?!?
ちょっと頭が可笑しくなりそうだから、少し落ち着かせるために私は言った。
「まーとにかく?時間と時間の狭間?
あのさ、時間解いて通常に解放して。」
「ん?いいよ。」
あ、いいんだ。自分を落ち着かせる為の言葉だったけど。
………いいんだ!?
『パ───ン』
大きくクウが手を叩くと、急に時が動き出す。
なんか変な感じだな…不思議な感覚だ。
「何も見てないよ、私…。」
夢だと思おう。今日はこれで終わりだ。
もう二度とこんな夢見たくないです。
────3時間ぐらい経ったけどマジで何も無い。
クウさんはフツーにしてる。
やっぱり夢だったんだ…。私疲れてるんだ。
授業中だから、しっかり集中しないと。
でも、クウさんに視線がいく。
「…………。」
クウさんは空を見ている。クウさんの視線は右から左へと動く。
空に何かあるのか?
私は空をすっとさりげなく見る。
クウさんがサスサスと少し動く。
──まるで私が空を見るのを待っていたように。
空を見ると、
「は」
空が青い、いつも通り、でも、
──空に電車がある?
浮いてる?進んでる?何?なんなの?
「空の青さの理由を知るものよ、土へと帰るべからず。」
クウさんが前の席でそう小さく口ずさんだ。
心臓貫きましたか?
では次回は2本ほど骨まで突き抜ける矢をご準備します。
お覚悟。
今回は展開がありましたね。
1話に少し訂正をしました。
投稿遅くなりました。創作意識が爆上がりなので、頑張ります。




