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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第7話 護、創造主と対話する。
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scene.12

 〝……この粗忽者がすまんな。だが時間は限られている。受け取れ〟


 今度は、俺に光の球が向かってきた。

 眩しいは眩しいけど、目が潰れそうなくらいではない。

 火の加護はドッジボール並みの衝撃があったけど、光の加護はすぅっと優しく入ってきてくれた。

 ……きっと、イルヴィッシュのやり方を見て、加減して飛ばしてくれたんだろうな。


 〝……うむ。我らの加護も定着したな〟

 〝地上に戻ったらおめーは地上の奴らとだけで、あの惨状をどうにかしなきゃなんねー。オレらはここまでしかいけねーかんなぁ〟


「……はい」

 俺は、さっきからぽかぽかと暖かい、胸のあたりにそっと手を当てる。

 熱く輝くチカラが俺の中にあるのが、はっきり分かった。


 〝我らは、新たな眷族であるそなたを見守っているぞ〟

 〝ま、頑張れよ~〟


 この言葉を最後に、2人の眷属はその場に停まった。

 俺は相変わらず()()()に向かってすごいスピードで動いているから、どんどん2人の姿が小さくなっていく。

 聞こえるかどうか分からないけど、俺は出来るだけ後ろに顔を向けて、大声でお礼を言った。


「ありがとうございます! 出来る限り、やってみます!」


 そこで、ぐぐぐ……と圧がかかり始めてきた。

 俺という存在が、1つの物体に押し込められていくようだった。

 ああ、()()()が近づいてくる。きっとここを出たら、俺は――……。

(……母さん、じいちゃん、ばあちゃん、みんな……)

 目の前が明るくなってきた。

(……レッドセイバー。俺の初レッド役、さよならだ……)

 カッ、と目の前が強く光る。



***************



「っは!?」

 気がつくと、俺は大の字でビュウビュウと猛風を浴びていた。

 体に感じる重力。落ちる感覚。雲から感じる湿気。抵抗するような風圧。

 このどれもかもが、夢とは断じられないものばかりで。


 〝マモル、聞こえる?〟


(創造主さま?)

 頭の中に突然話しかけられた。チャンネルとやらが繋がりやすくなったのか?

 あ、そうか。俺が眷族になったからか。


 〝今の君は人間種に近い肉体を持ってはいるが、ワタシの眷族……精霊と近い存在なんだ。だから、普通の魔法も使えるよ。今いろいろ役に立つ魔法を君に教えてあげるからね〟


 そう言われた直後、いろんな知識が頭の中に流れ込んできた。

 一気に流し込まれて、ちょっと酔ったのは内緒だ。


(……ありがとう、ございます……。……なんか、魔法以外の()()も、流し込まれた気がするんですけど)


 〝え? なんのコトかなぁ〟


 こ、この創造主……!! すっとぼけやがったな!

 ……まあいいや。


 〝……マモル。あの子を、頼むね〟


 その声には、嘘偽りのない、親としての気持ちが滲んでいるような気がして。

 だから俺は、はいと返事するに留めた。


 〝武運を〟


 その声を最後に、創造主は一旦会話を打ち切った。

 後に残るのは、ごうごうという風の音。

「キュウ」

「ん?」

 聞き覚えのない声がしたな? 風圧がすごいけど見てみるか。

 俺の隣で、炎の鳥が翼を広げて編隊飛行していた。

「……フェニックス?」

「キュイ!」

 ……なんか、すごい愛嬌のある表情をしたな、今。可愛いじゃないか。

 落ち着いたら愛称でもつけようかな?

 ……にしても、俺は今、どんな格好をしてるんだ?

 ぐぐ、と広げていた両腕を前に寄せてみる。

 まず目に入ったのは、あの指ぬきグローブ。袖は赤い。やや厚手の生地かな?

 後ろの方でバタバタはためいてる感触もあるから、多分コートを羽織っているんだろう。

 腰に手をやると、右側に四角い膨らみがあった。多分これ、あのホルダーだ。

 パタパタと腰回りを触ると、どうやらホルダーのベルトはズボンのズボンと兼用状態になっているらしい。

「……さて」

 さっき創造主からインプットされた記憶の中に、今の状況にぴったりなプレートがあったんだ。

 ホルダーの蓋を開け、中から一枚プレートを取り出す。翼を生やした人の姿が刻まれている。

 手にした瞬間、そのプレートの効果が頭の中に浮かんできた。


【飛炎の翼

 効果:相棒たるフェニックスと一体となり、空を飛ぶチカラを得る】


 ……うん。飛炎の翼、かぁ。なんか俺の引き、良すぎじゃね? 今の状況だと、これ以上の引きはない。

 創造主に受けた説明通りに、グローブの窓にセット。技名を詠唱するんだったな。

「〝飛炎の翼〟!」

 フェニックスが声高に鳴く。そして俺の背中にドッキングした。

 あっ、凄い! めっちゃ姿勢制御が楽! えぇと、羽ばたくのには……肩甲骨のあたりを、こうかな?

 ばさぁ、と炎の翼が羽ばたく。自分で空を飛ぶ、それも結構な高度でってのは始めてだ。

 でも全く怖くはない。助けに行かなきゃいけない人たちがいるからだ。

「……待ってろよ、みんな!」

 すぐ行くからな!

次回から、新章になります。





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