scene.11
〝フェニックスは死期を悟ると、自らの炎で自らを焼き、その炎で死の穢れを祓い、また新たな命として生きる、火のマナの眷族の一種族だ。炎と光の適正がある君にぴったりの相棒になってくれるよ〟
「相棒扱いでいいんですか」
〝もちろん。君は私直属の眷族に生まれ直すわけだからね〟
「生まれ……直す……」
〝そう。私たち、この世界の根幹存在たちから、君に詫びと餞別の意味をこめて、新たな体を贈らせてもらいたい。というわけで〟
創造主が上の方を見る。俺もつられてそっちの方に視線をやってみた。
しばらくもしないうちに、すいー……と、猛禽類大の炎の鳥がやってきて、俺の肩にちょこんと乗った。
「えっ痛くないし熱くない、賢い」
痛くないってことは、力加減をちゃんと考えてくれてるってことだろう?
至近距離にいるのに熱くもないってことは、俺が火傷しないように調節してくれてるんだと思う。
頭いいなぁ、コイツ。
〝フェニックスにしては小さいけれど、彼は転生したばかりで、まだ体が成熟しきっていないだけなんだ。そんなところが、マモルにぴったりじゃないかな〟
「はぁ……」
眷族としては生まれたてのヒヨッコってか。まあ異論はないけど。
〝で、そのグローブの窓の部分に……〟
というわけで、俺はグローブとメダルっぽい丸いプレートの説明を受けた。
ふむふむ。聞いてると、この辺は本当に俺の記憶を参考にしてくれたみたいだ。
〝……というワケなんだけど、使い方は分かったかな?〟
「大体は」
〝うん。じゃあ次はコレ〟
と言って創造主が出したのは色とりどりの光だった。青、黄色、緑、桃色……かな?
〝ワタシの緊急招集に応じてくれた、協力してくれるマナの眷族たちだ。彼らを受け入れ、君とチームを組んでくれるヒトを調達しておいで〟
「……チーム?」
……それ、その人に俺と同じく人間辞めてくれって言ってるようなもんじゃあ……。
〝大丈夫。君は孤独に戦うよりも、チームで戦った方がずっと力を発揮できるタイプだ。今までの君の行動や選択が実を結ぶ。きっと協力してくれる人はいるよ〟
「えぇー……」
思わず渋面になる。
いいんだよ俺は。一旦死んじゃったし、遺体を母さん達のところに持って帰れないなら、地球人的に帰る意義が見いだせないところもあるから。
でも、今生きてる人は違うだろ……って思ってしまう。
〝まあまあ、君の故郷の言葉だっけ? ヒャクブンはイッケンにシカズ、って。はい、というワケで〟
んあ!? なんか浮き上がったんだが!?
〝いってらっしゃ~~~い〟
あああああ~!! このテキトー創造主めぇ――!!
そんな恨み節を吐く暇もなく、俺はびゅんと飛ばされる。
俺はこんなんばっかか!
と思っていると、ヴゥンという耳鳴りみたいな音とともに、何かの境界を越えたような感じがした。
飛ばされながらあたりを見る。周囲は真っ暗だ。その中をキラキラとした6色の光が向こうへと通り過ぎていく。
ふと、その中からいくつかのマナたちが俺のまわりに集まってくる。
(……ん?)
まんべんなく俺にひっついてきた。一枚、膜が張られたような感触がする。
次に現れたのは、悪戯小僧みたいな見た目の炎と、3対の光の翼を持つ厳格そうな……天使か?
〝我は光のマナの具現。地上の生物どもは光の眷族と呼ぶ〟
「へ」
……なあ、それって……。
〝今、人間の国を滅ぼそうとしているモノは、元は我の片割れ。責任は我が取らねばならぬところだが、我ら自身も主と同じく、地上のことに関しては地上の者どもを介してしか介入できぬ〟
「さ、さようですか」
〝であるが故に、主の意思によって動く眷族であるそなたに、我々も加護を与えると決めた〟
〝まーそーゆーわけなんで、ほいっと〟
「うわっ!?」
炎の少年が無造作に、俺に炎の球をぶつけてきた。
だが熱くはない。快晴の日の真っ昼間、気持ちいい感じの暑さだ。
〝イルヴィッシュよ……貴様はどうしてそう……〟
〝いーじゃねーかよルキウス~。コイツは過不足なく受け取ったぜ~?〟
〝全く貴様は……〟
……コレが、火のマナの眷族イルヴィッシュ、かぁ……。
それに盛大な溜め息をついたのが、光のマナの眷族。人間には正しく伝わっていない存在、闇のマナの眷族の相棒。
……生真面目っぽいし、なんだか苦労してそうだなぁ……。
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