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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第7話 護、創造主と対話する。
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scene.8

「今それ話さないといけないことか!?」


 〝今だからこそ話さないといけないんだよ〟


 その言葉に、俺は思わずオーロラカーテンに目をやってしまった。

 アルディスさんが王様の顔面に拳を叩き込んだまま、硬直している場面だ。


 〝1つめ、このまま魂の状態でチキュウに還ること。もう肉体は燃やし尽くされてしまって還してあげられないけど、魂だけは君のご家族の元に還してあげられる〟


 そう言われて、俺の心臓はぎゅっとなる。

 確かに、故郷のことは気になる。母さんやじいちゃんばあちゃん。同僚先輩後輩。友達、道場や部活のみんな。元気でやってるかな……。

 でも……。


 〝2つめ、ワタシの眷族の1人になって:あ《・》()()と戦うこと〟


「ん?」

 2つめの選択肢を聞いた途端、俺は一瞬ぽかんとしてしまった。今さっきまで、故郷とこの世界の板挟みになっていたってのに。


「……創造主の眷族? どういうことだ? 俺は普通の人間なんだけど?」


 そう言うと、創造主は少しの沈黙のあと、ぽつぽつと話し始めた


 〝……ワタシの本音は、後者を選んでほしいと思っているんだ〟


「え……?」


 〝君の、他人を思いやり、戦える心の強さ。それこそ、()()()に立ち向かうのに必要な素質なんだと思っているんだ〟


「……それは、どういうことだ?」


 〝うん……〟


 すると、創造主はカーテンの方向に向くように縦回転した。……したよな?

 と、映像にぽつんとレーザーポインターみたいな光が点いた。その光の点がぐるぐると王様を囲う。


 〝……この人の子には今、ある存在が取り憑いているんだ〟


「取り憑く」

 急にオカルトめいた話になった。

 ていうか取り憑いているって。道理でなんかヤバイ気配を感じると思ったんだ……。


 〝取り憑いているのは、闇の子。ワタシがこの世界で最初に創った2つのマナの片割れ、闇のマナの具現。光と対になる存在。他4属性のマナの負の側面を担うものだ〟


「へ……」

 ……ん? 俺が知ってる創造記とちょっと違わないか?

「……あの……、創造主が最初に作ったのって、4属性のマナじゃないんですか?」

 少なくとも、俺が読んだ本にはどれもこれもそう書いてあったけど、と心の中で思う。


 〝は? 人間の間ではそんな風に伝わってるの? 違うよ?〟


「……マジ?」


 〝マジだよ〟


 ひぇ……。マジかよ……。

 と思っていると、創造主から溜め息をついたような音が聞こえた。


 〝……うーん。人間たちは、世代を経るうちに自分たちの都合のいい話に昔のことを書き換えてしまって、書き残ったことが正しい歴史として認定されてしまう……ってワケか……〟


「そうですね……。実際地球でも、発掘や文献調査で新たな事実が明らかになることもあるんで……」

 歴史は変わらずとも、その中にある細かい事実やらなんやらが変わることだってある。

 今の科学技術が発展した地球でもそうなのに、この世界でも握りつぶされた真実は数多くあるんだろう。

 ……真実なんて、立場によって見えたり見えなかったりするけどな。


 〝……長い話になるから手短に話すんだけど。闇のマナはある日、地上や地上の生き物たちのことを観察したいと言って、地上に自分の眷族……魔族の姿を写した具現体を降ろして、地上を放浪し始めたんだ。その子はしばらくしてから、ある人間の国の王に捕まって……。その王が数回代替わりするぐらいの期間は捕らえられて、人間が生み出す穢れを代わりに吸収させられていた〟


「……え」

 カーテンの映像で、瘴気がどういうものかは目の当たりにした。

 ……あんなものを、王位が数代変わるほどの時間を吸収させられていただなんて……。


「気が狂う……って、もんじゃない、よな……?」


 〝……普通の人間なら、絶命を通り越して、キングドラゴンみたいになるのがごく普通だと思うよ〟


「……じゃあ、その闇の眷属は……」


 〝……うん。干からびはしなかったけど、狂ってしまった〟


 ……だよなぁ……。


 〝いくらあの子が闇のマナの具現体だと言っても、許容量ってものがあるんだよ。瘴気っていうのは、何かを作ったときに出る端材とかゴミみたいなものなんだから。それを、あの人間の国の王はあの子の優しさにつけ込んで吸わせまくってさぁ……。ある日、膨らませすぎた風船が割れるように、あの子は狂ってしまった〟


 ……あいつも、被害者の側面があるってワケか。

 でも、やり過ぎだ。このまま放っておいたら地上が滅んでしまう……!

闇の子の仕打ちは、古代のとある国で実際にあった、でも今の世にはねじ曲がって伝えられている真実です。

それを覚えているのはもう、長命の眷属種しかいません。



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