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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第7話 護、創造主と対話する。
90/124

scene.3 ※

 〝……さて、まだ見てもらいたい光景には続きがあってね〟


「は!?」

 なんか話が急カーブした気がしたし、映像はこれで終わりじゃなかったのかよ!?

 あっ、容赦なく再生を始めないでくれ!



***************



『……っ?!!』

 共闘した剣神、その中にいたはずの戦士の死。

 その様を間近で見せつけられた魔神の中から、幾つもの息を飲むような声がした。動揺したのか燃え尽きずに残った右腕を取り落とす。それは地面に落ちる前に紅き光となって消えた。

 魔神に従うモンスターたちも喜びから一転、動揺を隠せない。悪魔族の者たちは顔色悪く動揺していた。この事態は想定外だったのだろう。

 地上で見ていたドーラッド軍――第一・第二・第三騎士団の選抜隊、魔道師団――は、この光景を受けいられずにいた。動揺、怒り、虚脱、悲憤。各々がそれぞれ、襲いかかってきた感情に向かい合うことしかできない。

『……ヒ、ヒヒッ、』

 雲の間から、全てを馬鹿にするような笑みが漏れ聞こえた。すうー……と禍々しい黒が降りてくる。

『ヒッヒヒヒ、ヒィィィッヒャハハハハハァ――!!』

 降りながら、黒いヒトガタは腹部を抱えるように丸まりながら狂笑を上げる。

 がしゃん、と魔神が膝をついた。全身が淡く光ったかと思うと、人間が3人、猫型の精霊が1体、地面に投げ出される。

「おい、シゲ! しっかりしろ!」

「マイスター!」

『ニ、ミ……』

 蹲り、嘔吐する1人。彼を労るように男と少女が取り囲む。

 その側に共にいた猫の精霊。苦しげに呻いた後、小さな光の粒に分かたれて消えてしまった。

『ヒヒ、』

 黒いヒトガタは、その蹲る人物に目をつけた。4つの目を血染め色に輝かせ、急降下する。

『ヒィーッヒャハハハハハ!!』

「っ、やらせるか!!」

 気付いたモンスター達や悪魔族が立ちはだかろうとする。だが。

『邪魔ダ、クソゴミドモガァ!!』

 ヒトガタの放った黒い攻撃が、モンスターを、悪魔族たちを地面に叩き落とす。瞬きほどの刹那、空中から地面へと轟音と共にめり込まされ、クレーターの中心で激痛に耐えることになる。

 無事だった1人の女が、長髪の悪魔族の男の元に向かった。

「ロノウェ!!」

「私は、いい……それよりも、シゲユキたちを……!」

 血を吐きながら言う男に、彼女はハッとして示された方を見た。そして息を飲む。

「いやぁぁぁぁぁっ!! ごめんなさいごめんなさいゆるしてゆるしてぇぇぇぇぇッ!!」

 黒靄の繭の中で、許しと苦悶の叫びを上げる少女。

「ぐあぁッ!! ぎ、ァ、……ゲハッ……!!」

 ヒトの姿をした黒靄に拘束の上で嬲られ、血反吐を吐く男。

 そして。

『ヒャーッハッハハハハハ、アーッヒャヒャヒャハハハハハ!!』

 黒のヒトガタに、まるで粗末なボールが如き扱いで蹴られ踏まれる同盟者。

 後輩の死が呼び水になった過去の傷。数々の己の所業に心が耐えきれず嘔吐していた彼は、ヒトガタによって無残な姿へと嬲られてゆく。

 全身から血が吹き出し、肉から折れた骨が飛び出し、顔面を崩壊させられ。

 その様を見てしまった女は。

「……うそ……でしょ……」

 その場にへたり込んだ。

 同族たちはしばらく動けない。同盟関係にある人間たちは、リーダー格の2人を含めた半数が死の淵に立っていると言っていい。

 他の人間たちではあっさり蒸発させられるのがオチだ。

 リーダーの男の喚びだした獣やビークルとやらも、召喚者の魔力供給が絶たれ、存在を保てず消えていく。

「……あんな……あんな瘴気の塊に対抗するなんて……我が王たち以外には無理よ……」

 女は呟く。

 同盟者のリーダーの首を絞めながら、他責と嗜虐と手前勝手な喚きを垂れ流しながら暴虐を振るうヒトガタに、彼女は絶望する。

『アヒャヒャヒャ!! テメエガ悪インダゼェ~? アンナクソゴミ番組ノ力ニ頼ッテ、俺様ヲ怒ラセルカラコウナルンダヨォ~!!』

 既に男の身からは魂が尽きかけていた。トラウマと絶望に心を折られ、抵抗する発想も亡く、ただただ黙ってヒトガタの暴力を受け続けていた。

 だらりと全身が弛緩し、瞳孔は開ききり、あともう少しで首の骨が折れる。

「面白い!」

「応援するよ!」

「続きが読みたい!」


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