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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第6話 護、セイバーロボを召喚する!
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extra.8-8

今冬視点です。

『近藤さん! 俺と、俺達と一緒に、戦って下さい! あなたは、俺達のヒーローだ!!』

 石上護のこの渾身の叫びは、ロノウェの王に光適正を封印され、これ以上の被害を出さないためにと自ら殺すことに決めた、ヒーロー役者としての心を突き動かすのに十分だった。

 それと同時に、根城で思い出したことをまた断片的に連想してしまう。

 10年以上前の、マギアレンジャー夏の劇場版。当時近藤は追加戦士マギアセイジのスーツアクターとして参加していた。エキストラ達の前で面を脱ぐこともなかった。なのに。

 撮影の合間の休憩時間。街頭エキストラとして参加していた幼い男児が、アレストブルーの担当だったと看破したような言動をしながらファンレターを渡してきたのだ。

 撮影が全て終わってから中を見て、親が書いたらしい注釈で男児の名前が〝いしがみ まもる〟だということを知った。

 純粋にファンでいてくれることは嬉しかった。だが、まだまだ明らかに平仮名を書き慣れていないだろう年齢の幼子が、自分がアレストブルーの担当だったと見抜いていたという事実に関して、末恐ろしくもなった。

 もし『アレストブルーみたいなヒーローになりたい』という夢を秘めたまま、スーツアクターになってくれたなら、将来どれほど頼もしい後輩、自分たちを脅かす存在になるのだろうか、と。

 石上の尋問を切り上げたあと、走馬灯のように蘇った当時の記憶と感情にしばらく愕然と動けなくなった。

 立派になったあの子供が、まさか〝勇者召喚〟、それも諸悪の根源であるドーラッド王の膝元に召喚されるなど。

 近藤は悲観と同時に、二度と石上をドーラッドに戻してはならないと決意した。

 だからヴィクトリア共々、厳重にバリアを張ってもらった上で置いてきたのに。

(……こいつは……)

 思わず天を仰いでしまった。目頭が熱い。

 幼い頃からの夢を叶え、悪夢のような世界に召喚され、それにも関わらず自らを見失わず行動する。

 それが、今の近藤には直視出来ないほどに眩しかった。

 石上護は、光だ。関わった者の心を、いい意味でも悪い意味でも照らす光。真昼の空で燃えさかる太陽の光のように、熱く強い。

 ヴィクトリアも光だが、彼女は避暑地の湖に煌めく水面の光だ。1つ1つは小さくとも、いくつも集まり眩しく目を焼いてくる。

 その二人から近藤は今、あなたならやれる、という信頼を浴びせられた。

 自身の子供とおそらく同年代である石上。関わるうちに娘や孫のように思うようになったヴィクトリア。

 二人の子供(特撮ファン)が浴びせかけてきた一連のやりとりは、近藤の無意識、魂、その奥底を確かに照らしていた。

(……まだ俺は……、ヒーローでいて、いいのか……?)

 ぽ……、と今、確かに、近藤の魂の内に黄金に輝く煌めきが灯った。

 暗闇の中で苦しみ、喘ぎ、捨てたはずの光だった。

 近藤は決意する。

『……お前たち。1分……いや、30秒、稼げるか』

 視線を二人……いや、()()()()()に戻しながら、呟くように言う。

 正直、怖い。

 もう10年以上前に捨てることになった力だ。使いこなせるだろうか。そう思っていると、ある存在が目に入った。

(ミャル……!)

 石上の戦隊ロボの左手にいるヴィクトリア、その横に漂う、黄金の賢者の使役する猫型の小さな精霊が、彼女とともに両前足を挙げて喜んでいたのだ。

 自分が闇属性に転じたあと、消えたと思っていたのに。

 彼が見えるようになったということは、もしかしたら。

『はい!』

 石上が顔を上げて力強い返答を返してきた。

(……ああ……)

 なんだか懐かしい、と近藤は地球にいた頃以来の穏やかな気持ちになった。

 立派なスーツアクターになった、あの時の子供。ティーターンとの身長差で、まるでその時の再現のように見えたのだ。

『…そうか』

 近藤は自然に、石上が差し出していた右手に握手した。

 身長差のせいで子供のように小さい手。しかし、鍛練によって頑健な骨と筋肉に支えられた男の手だということが分かる。

 面が動くわけないのに、ぽかんとしているのが分かる彼に、近藤は少しだけ屈んだ。あの日の幼子にしたように。

『……頼んだ、石上』

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