scene.9
(……終わらせなきゃ。早く、早く……!)
この人たちのためにも、近藤さんたちのためにも。
と、マナが全色、俺の視界の前で輝く。
「……みんな」
マナもこの状況は放っておけないんだろう。
俺は意を決して、頼んでみた。
『……あの、瘴気まみれのロボット、皆で協力して抑えておくことは出来るか?』
すると、もっと輝き始めた。
左手からふたりの感嘆するような声が聞こえる。
うん、綺麗だもんな。クリスマスツリーのイルミネーションも真っ青になるんじゃないかな。
『頼む! 俺達が近藤さんと話をつけ終わるまででいい!』
俺が言うと、マナたちがワッとロボットに集まっていく。
俺の話を聞いているとは思えないような距離からも集まってきた。
『あ? 何だよこのマッ○ロク○スケども!! どけ!!』
急に自分を覆い尽くし始めたマナに、瘴気ロボは両手を振り回しながら叫ぶ。
その間にも、マナたちは容赦なくロボに集っていった。
『み、見えねえ! なんだ、どうなってやがるんだ!!』
もう、6色の繭にしか見えない。
ミサイルもビームも飛んでこない。
『……何が起こっているんだ?』
呆然と、近藤さんが呟いた。
よし。
俺はヴィクトリアちゃんに視線を向けた。
気付いたらしく、彼女も顔を上げて俺に頷く。
俺は数歩距離を縮め、声を上げる。
『――近藤さん!』
ピク、と一瞬、近藤さんの肩が痙攣した。次にバッと思い切り振り向かれる。
ティーターンのスーツ越しだから表情は分からない。でも、その僅かな体の反応から、動揺しているのは分かった。
『……お前! なぜここに!』
うん、ちょっと声が怒ってる。
「私もいるわよ、マイスター!」
『おいらもだニャー!』
ヴィクトリアちゃんは立ち上がって、ミャルは浮き上がって叫ぶ。
だけれど。
『……ヴィクトリア! お前、城でこいつを見張っていろと言っただろう!!』
……やっぱり、ミャルのことは見えていないみたいだ。猫耳と尻尾が一瞬でしょぼんとなった。
逆に、ヴィクトリアちゃんは肩をいからせた。
「私は納得してなかったわよ!!」
うんうん。だから愚痴りに俺のところに駆け込んできたんだもんな。
「マイスターは私にとって、ミスターヒーロースーツアクターの1人だっていうだけじゃなくて、この世界でのお父さんのような人なの! だからずっとついていくって決めてたのに、勝手に置いていかれたから私は怒ってるのよ!!」
おお、やっぱり怒ってる女の子はコワイや……。
体育会系で育ったからか、野郎のキレ芸なんぞ俺は怖くないしな。
近藤さんもちょっとだけ怯んだように身構えた。
……が、ここで父娘喧嘩ばかりに時間を費やしてもいられない。
ヴィクトリアちゃんには悪いが、話を軌道修正させてもらおう。
『近藤さん。あなた、あのロボットが瘴気まみれなの、見えてますか?』
ヴィクトリアちゃんが二の句を継ぐ前に、俺はツッコミを入れてみる。
『――……は?』
やっぱり、見えてなかったのか。
『ロノウェに確認しました。あのサイズの瘴気をなんとかするには生身の人間の術者だと、アルフィンさんクラスの術者であっても何人も必要で、今の近藤さんの属性だとなんともならないらしいです』
『……そうか』
『だけど、明確に光属性とされている術者であるマギアセイジと、そのロボであるエクスペリオンならなんとかなるかもしれません!』
その言葉に、近藤さんは今度こそ分かりやすく動揺した。
震えるような息を吐いた後、絞り出すように俺に言う。
『……俺は〝魔王〟に成り下がった時から、マギアセイジ関連のものを認識出来なくなっている』
……それは、マギアセイジが光の守護を得ている賢者だからだろうな。
『だから、エクスペリオンも召喚できない。今認識出来る・召喚出来るものでやりくりするしかないんだよ』
そう言って、近藤さんはふいっと顔をそらしてしまった。
きつく槍を握りしめているのが見えて、俺はハッとする。
(……そうか、もしかして……)
近藤さんは光適正が封じ込められたと知ったときから、〝魔王〟になると決めたのかもしれない。
だから今更、光属性のマギアセイジのことを持ち出されても、って思ったのかもしれない。
……でも。〝魔王〟になった後の近藤さんを見続けてきたロノウェの見立てが確かなら。
『近藤さん』
注目してもらうために、俺はわざと断定系で言い切る。
『あなたには、まだ光の適正は残っています』
主人公に説得されて絆された敵の味方墜ちも、ワイは好きです(ニッコリ)
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