scene.5
「本題に入りましょう。まず、今の戦況はいったいどうなってるんですか? 暴れ回ってるアレ、確実にこの世界のものじゃないでしょう」
あの瘴気ロボを指して言う。
すると、笑うのをやめたロノウェが溜め息をついた。
「……こちらが把握している情報によれば、イルネイヴァスの陣から現れたらしい。味方兵を巻き込み、移動してきたと」
すると、もの凄く重いため息が聞こえてきた。
「……ハァ~……」
アルフィンさんからだった。
思いきり自分のこめかみを押さえて、頭痛を堪えているような顔になっている。
「……アルフィンさん?」
俺が呼びかけると、ものっすごく渋い顔で話し始めた。
「……あの方は、イルネイヴァスの勇者、キング・リョウザワ様です。我が陛下がイルネイヴァスへ援軍を要請なさった際に、出陣を希われ、今回参陣されたのです。……〝勇者〟の称号に相応しくない精神性の持ち主のようですが」
珍しいな。いつもつかみ所のない笑顔しか浮かべてないようなこの人が。
「……アルフィンさんも、そんな風に他人を言うことあるんですね」
すると、フッと彼は嗤う。
冷たいを通り越して、冷酷な笑みだ。
えっ、こわ、こっわ!!
「……自身以外の全ての存在を害虫のように扱い、同盟国という他国の王城の貴賓階で好き勝手に振る舞い、自己正義と他責思考の元に他者を虐げることに何の疑問も持たない、人の形をした怪物です。マモル様やシゲユキ様を見てきた私にとってはあのような男、到底勇者とは認めたくはないですね」
「……なるほど。魔法師、貴様はシゲユキのことを覚えているのか」
ん? ロノウェの問いはどういうことだ?
そう思っていると、彼は盛大な溜め息をついた。
「……まあ、そうだ」
「そうか」
近藤さんとマクシーニさんが出奔する直接の原因になった事件。その当時から1人正気を保っていたというけれど。
……周りが近藤さんのことを忘れたり、同僚たちのしていることを目の当たりにして、アルフィンさんはどんな思いを抱いていたんだろうか。
その当時のことを思うと、溜め息が出るのを止められなかった。
「ところで人間の魔法師よ。奴は〝魔王〟に出てこいと言っていたが、もしやドーラッドの王に魔王討伐を依頼されていたのか」
「……その通りだ」
アルフィンさんはロノウェに答えながら、またため息をつく。
「ドーラッドのお城や城下町があんな状態になったのは?」
俺の問いに反応したのはロノウェだった。
「〝魔王〟が出てこないのであれば無差別攻撃する、と言って、全方向に瘴気の混じった光の砲撃を乱射し始めたのだ。まあ、それは我々にとってはどうでもいいことだがな」
「こちらにとっては頭の痛い事態なのだが?」
「それはそちらの事情だろう」
おっと、これ以上黙ってると喧々諤々状態になりそうだ。
容赦なく口を挟ませてもらおう。
「はいはい、次! あの巨人は近藤さんが変身してる姿なんですけど、今の近藤さんの能力で瘴気ってのは払えるんですか?」
あ、普通に近藤さんって言っちまった。……まあ、いいか。
ヴィクトリアちゃんの名前はまだ割れてないと思ったから、念のために出さないようにしている。だけど、近藤さんのことはアルフィンさん覚えてるっぽいしな。
俺の質問に、アルフィンさんはじっと黒ロボと近藤さんを見比べ始めた。
ロノウェは分かっているのか、確認せずに俺に説明し始める。
「無理だな。そもそも今のシゲユキに、瘴気を祓うために必要な光の適正はない」
「……どういうことだ」
ちらりと視線だけをロノウェに投げて、アルフィンさんが短く訊く。
今度はロノウェが冷たい笑みを浮かべた。
「貴様らの王の所業によってシゲユキは徐々に心を蝕まれ、結果壊れた。その治療の際に、素質はあった光の適正を完全に失ったと言ってもいい。……人の子らよ」
「えっ、あっ、はい」
急に話を振られて、俺は少し動揺した返事をしてしまった。
ロノウェはそんな俺とヴィクトリアちゃんに、まるで講義するように話を続ける。
「今のシゲユキの適正は闇・土・風だ。おい魔法師、貴様シゲユキがドーラッドの勇者であったときの適正は覚えているか?」
「ああ。土・風・光であられた」
「ん? 適正属性が変化することなんてあるのか?」
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