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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第5話 護、異世界で真実を知る。
63/126

extra.7

一方その頃、もう一人の勇者編

 ――ガガガガガ ドォンドォン


「っだぁっ! ふざけんじゃねえよテメエ避けやがって! 避けてんじゃねえぞクソカスがよぉ!!」


 ――ビィィィーーーーー!! チュドォン!


「っしゃおらァ!! 俺をナメてっからだクソがよぉ!!」


 ――ゴォォォォー…… ドガガガガガガ!!


「ハッハハハ、死ね、死ねぇ!! オラオラオラオラァ!!」

 無精髭にボサボサ頭、分厚い眼鏡、ねずみ色のスウェット、脂肪だらけの体型。

 成人はしているであろう男が、カーテンを閉め切って暗くした部屋で、宙に浮かぶ()()()に向かって喚きながら、()()()()()()()()()()を握っている。

 投影されている絵は、この世界ではまったく存在しない()()()()()()が戦い、破壊し合うもの。

 ゴミだらけの部屋のゴミだらけの立派なソファの上で、男は手指を忙しく動かし、感情のままに喚き続ける。

 ふとその時、部屋の扉が叩かれた。

「勇者様、少々よろしいですかな」

 控えめな、しかし威厳を感じさせる声。

 それに男は瞬時に噴火した。

「何もよろしかねえんだよクソジジイ!!! ゲームやってるときに声かけんじゃねえって何度言ったら分かんだよ!!! もう一回城ごと分からせてやろうか!? あぁ!?」

 感情のままに男はドアに向かって、手に持っていたモノを投げつけた。ガツンッ、という強い音が鳴り、モノがばらけ細かい部品が散らばっていく。

 普段ならば、それで人の気配は無くなるはずだった。だが今日は違った。

 そのことに気付いた男は、ゴミや脱ぎ捨てた服をかき分け、ドアに向かおうとした。すると。

「勇者様、我が同盟国ドーラッドより援軍要請がありました」

 ビキ、と男のこめかみに筋が立った。

「アァん!? それが何だって」

「勇者様に是非ともお力をお貸しいただきたい、との魔法通信でした」

 にわかに男に落ち着きが宿る。

「……どういうことだよ」

「魔王を殺す手助けをしていただけないか、ということでして」

「……ほぉん、魔王ねぇ。そいつ、殺しがいはあるのかよ?」

 冷めた声で扉の向こうに問いかけると、すぐに返答がきた。

「少なくとも、人間で太刀打ち出来る者はそうおらぬと存じます。ですが、勇者キングドラゴン様の()()の前では、魔王といえど無力かと」

「……ふぅん」

 ニタァ……と口元に笑みを浮かべ、男は言った。

「いいぜ、その魔王とやら、殺してやるよ」

 シュン、という軽い音と共に、新しいモノが男の手に現れた。

「俺の能力で殺せねえ動物はないし、壊せねえモノはないんだからな。そう言っとけ」

 言うだけ言うと、男はまたソファにどかりと座り、声をかけられるまでしていたことを再開する。

 ありがとうございます、という部屋の外の声かけはもう聞こえていなかった。

 男の喚きと動く絵からの大音量が満たす部屋を、ずも……、と瘴気が覆い尽くしていく。凶兆のように。

「面白い!」

「応援するよ!」

「続きが読みたい!」


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