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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第1話 護、異世界に飛ぶ!
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scene.6

ストックに余裕のある土日は、昼夜1話ずつ投稿をしたいと思います。

 俺は今、風呂も晩飯も終わって、案内された部屋で休んでいる。……正直落ち着かねえ。

 いや、日本のド庶民の俺にしたら、すげえ部屋なのよ。高級ホテルのスイートルームも真っ青だ。

 値段を考えるのも怖い机に椅子にソファーにローテーブル。

 二つある扉の片方はベッドルーム、もう片方は風呂とトイレスペース……らしい。

 そして、その二つの部屋もここと同様めちゃくちゃ豪華な調度品ばかりだ。

 ……いや、何となく分かってたけど、部屋の中に個別にトイレと風呂場があるってさぁ……。

 この部屋、王族にも負けない身分の人が使う部屋なのではないか?

「……マジで、こういう扱いなんだなぁ……」

 俺はぽつりと呟く。

 マードレイさんに「勇者様は王族の方々に次ぐ貴人となるのです」と言われた言葉が、今更のしかかる。

 だから、あの偉い人――この国の宰相さんだということだ――も俺に敬語だったのか……と納得した。

 メイドさんたちも、風呂の介助に当たり前に入ろうとしてきたし。

 まあ、そこは一般庶民はメイドさんに傅かれながら風呂に入らない!! と強固に主張して、なんとか一人の時間を確保したんだが。

 ……この部屋の中のもの、壊さないようにしないとな……。

 ……それにしても。

(国王に次ぐ貴人、か。それってヤバくないのか?)

 俺は思案する。俺みたいな、自分の本業に対する意欲しか頭にない人物ならともかく、承認欲求のめちゃくちゃ高い人とか……ちょっとヤバイ人なんかが来ちまったら、一体この国の人たちはどうするつもりだったんだろうか。

 いきなり(かしず)かれて、ちやほやされたりして、それで調子に乗って本人や周りが破滅するってのは、結構よくあるテンプレだぞ。

 まあ、そうならないように、自省するしかない。

 ……帰れないことも、判明しちまったわけだし。

 ふー……と深いため息をつきながら、ソファーの背もたれに頭を乗せる。頭上に、鞘型のスマートウォッチに刀が突き刺さっているような見た目のブレスレットを掲げる。

 テーブルの魔法式燭台の明かりでオレンジに染まっているそれは、レッドカリバーの変身アイテムだ。

「……俺の持ち物は、もうお前だけだよ……」

 呟いて、俺は風呂に入る前の出来事を思い出す。



***************



「ここでございます」

 メイドさんがそう言って、部屋のドアを開けた。

 いやあ、結構階段を上った先だったな。

 小脇にメットを抱えたまま、俺は室内に入る。……豪華すぎて言葉も出ねえ。

 家具も壁紙もカーテンも何もかもが豪華だ! 目に入る色とりどりの光のせいで、ムダにキラキラ空間度が爆上がりしてるし!

「……あの、本当に、この部屋なんですか?」

「はい。勇者さまにはこの貴賓室でこれから生活していただくことになります」

 メイドさんの返答に、俺はひゅぅっ、と息を飲み込んだ。

 庶民にこんな部屋は、豪華すぎて辛いって……!! ただでさえ、とっとと風呂入って寝たいモードになってるってのに……!

 ……いや、もういい。一旦汗流して寝ちまおう。一人になりたい。

 無意識についた溜め息をどう取ったのか、マードレイさんが俺に話しかける。

 ん? マードレイさんの周りを漂っている光が、いくつか俺の方に寄ってきた。

 なんなんだお前たち? 飼い主はあっちだろう?

「これからのことはまた明日にお話いたしますが、ひとまず本日はゆるりとお休みください」

 マードレイさんはそう言って、俺に頭を下げた。

(……この人は、本当に俺を気遣おうとしてくれている)

 それだけは信用してもいいと思った。

「……ありがとうございます」

 俺もマードレイさんにそう返した。

 ……さ、後はこっちだな。

「……すみません、メイドの皆さん。皆さんも部屋を出てもらえませんか」

 そう俺が声をかけると、彼女たちは無表情を崩さずに言った。

「そういうわけには参りません。私どもは、陛下よりの命で勇者様の身の回りのお世話をするようにと、仰せつかっております」

 ……ああ、イライラする。

 この人たちはどうして、こっちの気持ちを汲んでくれないんだ。

 流石の俺でも、ぶちぎれそうなんだよ。

「……頼むから、出て行ってくれませんかね」

 眉間に皺がよった顔で、彼女たちを見る。

「こっちは二度と故郷に帰す手段がないとか言われた上に、勇者だなんだとか言われて、精神的に疲れているんですよ」

 無意識に低くなった声に、何人かのメイドさんの顔色が悪くなった。

 受け答えをしていた、リーダー格らしいメイドさんは涼しい顔をしているけれど。

 ちか、と視界の端で、赤い光ばかりが明滅を始めた。

「……気持ちを静めて状況を飲み込むために、一人になりたいんですよ」

 そう言い終わった瞬間。

「きゃあっ!!」

「面白い!」

「応援するよ!」

「続きが読みたい!」


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