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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第5話 護、異世界で真実を知る。
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scene.6

 マクシーニさんはここで、お茶らしきカップを手に取り、中身を飲む。

 俺はその様子を見つつ、呆然とすることしか出来なかった。

 ……まさか、まさか、俺の想像よりも悪い事態に陥ってただなんて、思ってなかったんだ。

「……だが、さっきからああいう風にてめえの頼みを聞いてやったり、助けてきたガキどもに慕われたり、根本にある優しさは変わってねえ」

 耳に届くか届かないかくらいの、本当に僅かな音でカップをテーブルに戻したマクシーニさん。スゥ……と静かで冷たい気配を俺に向けてくる。

「だから俺が、〝魔王〟陣営の露悪的な部分を担っている。俺は元々大戦にも従軍していたからな、あの時点で人殺しには慣れていた。だがシゲユキは違う。てめえなら分かるだろう。シゲユキは物語で悪人を演じることに長けていても、本人がそれそのものになったことはあのときまでは無かった」

 ……それはそうだ。俺たちはスーツアクター。作品の中でいくら活躍や暗躍するキャラクターを演じていても、仕事以外で他人を攻撃するなんてことしちゃならないんだから。

 そもそも、仕事でも殺陣という名のフリ、演技だ。実際に攻撃を当ててるワケじゃない。

「俺は、シゲユキの心を守るためならいくらでも槍を向ける。相手が誰かなんぞ関係ねえ。それがてめえでもな。シゲユキの同郷の異世界人」

 ひたり、と眼前に槍を突きつけられたような殺気を感じる。

 ……本気だ。マクシーニさんは近藤さんのためなら、いくらでも悪の道に振り切る覚悟が出来ている。その証拠に、氷よりも冷たい殺気の奥底に、マグマよりも重くて熱い感情があるような感覚がする。

 俺に対するアルディスさんと同じような、でもちょっと違う感情を、この人は近藤さんに持っているんだ。

「……そう、ですか」

 俺はひとまず頷く。近藤さんとマクシーニさんとの間にある関係性を今更どうこう言うのは、筋違いになるかもしれないからだ。

 たった1人で異世界に呼び出され、凶暴な魔獣と誤認させられたまま人殺しをさせられ、心を壊した近藤さんに、自分も満身創痍になりながらずっと寄り添い続けたマクシーニさん。

 もし2人のうち片方が女性だったなら、ここでロマンスが始まりそうな展開だよ。

 あまりに重い。重すぎる。過去も、マクシーニさんの感情も。

「……俺とマクシーニはリハビリを積み、ハイルズの野望を止めるために動くことにした。ロノウェはその頃から、俺たちのことを〝面白い人間〟と言って、便宜を図るようになってきたな」

「我が王に掛け合い、王の所有するこの別荘を貸与していただいたりな」

 あ、ここ魔族の王様の別荘なんだ……。

「最初は、既に呼び出されていたこいつを正気に戻すことにした」

 と、近藤さんは迷彩服の人に一瞬視線をやった。その人は苦笑して肩を竦める。

「が、こいつもかなりやるようになっていたからな。CQCと爆発物のコンボでどうなることかと思った」

「最終的に、ロノウェが洗脳解除魔法で正気に戻して、混乱している最中に眠らせて連れ帰ってきたんだっけな」

「そのあとは、まずイルネイヴァスがもう二度と異世界人を召喚出来ないように召喚陣とその部屋を完膚なきまでに破壊したが、いつの間にか人間の間で〝魔王〟と呼ばれるようになったというわけだ」

「アトロクとやらの姿が、まあ人間にとっちゃ恐ろしい魔物にしか見えんしな」

「それを狙ったということもあったしな」

 2人で懐かしそうに喋っている。

 が、どう考えても言い思い出話になるような年数なんてまだ経っていない。

 それなのに……。

 ……もしかして、近藤さんも……。

「……ここに居る連中は、みな俺たちの阻止が間に合わずに、召喚されてしまった連中だ」

 近藤さんの言葉に、俺はハッとしてソファーの3人と後ろの人に視線を向けた。

 迷彩服の人が皮肉げな笑みを浮かべる。

「俺はさっきシゲユキが言っていた通り、イルネイヴァスに呼び出されたんだ。確かシゲユキより1年後くらいだったかな」

 次は、格ゲーキャラのコスプレをしていた人だ。

「俺はドーラッドから技術提供を受けたヒュドシーレに召喚されたんだよ」

 背後の人が続けて言う。

「それがしはミルネレイザに呼び出された」

 最後に、セイバーブレスでずっと遊んでいた女の子。

「私もミルネレイザからよ。まだこの世界に来て1年目かしら」

 ……それから、さほど時を置かずに召喚されたのが、俺。

「……まさか皆、各国が亜人種を抹殺するために……?」

 この人たちは近藤さんたちが攫ってくれなければ、俺は謎の声やマナたちの助けがなければ、いずれそれに従事させられていたってことだ。

 いくらあの王様がそそのかしたとはいえ……。

 ……何がしたいんだ、あの人。

「その通りだ」

 俺の正面で、近藤さんが頷いた。

 やっぱりかぁ……。

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