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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第5話 護、異世界で真実を知る。
57/126

extra.5-1

マクシーニが過去を語ります。

 ……15年前、イルネイヴァスの侵攻から始まった戦争が終結したのは知ってるか?

 ……知らんだと? 何を学んでいたんだてめえは。……まあいい。説明してやるから耳かっぽじっとけ。

 ドーラッド王国のある大陸には4つの国と、諸島群からなる1つの国、合わせて5つの純人間の国がある。

 そのうちの1つ、イルネイヴァス帝国が20年前、亜人種の中でも獣人族が多くいる国に侵攻をかけた。

 狙いは自然物資、主に金属や宝石の原料となる鉱石類だ。

 だがイルネイヴァスが侵攻した国は当時、同じ大陸内にあるヒュドシーレ王国と貿易同盟を組んでいた。

 ヒュドシーレは一年の大半を深い雪に覆われる北国だ。獣人族の作る質のいい毛皮は連中の防寒具として重宝されていたのさ。

 冬場の生命線の1つを潰されたくないヒュドシーレは、要請に応じてイルネイヴァスを攻撃した。

 イルネイヴァスは古くからの同盟関係であったドーラッドに助けを求め、王もそれに応えた。

 イルネイヴァス・ドーラッド対ヒュドシーレ・もう一つのヒュドシーレの同盟国ミルネレイザ・海向こうの獣人族の国から始まった戦いは、いつしか世界中の人間主義の国対多様人種の国に別れた戦争になった。

 世界中で争いが起き、いくつかの小国は大国に呑まれ、その国の王族や権力者たちは侵略者たちに蹂躙される。

 そんな戦いの終結には、5年の月日を要したな。

 だが、戦争に加担した全ての国の王や元首が雁首揃えて和平の調印を行っても、世界から争いの種は尽きなかった。

 純人間は、亜人の血が少しでも入っている連中に暴力を振るい、混血連中や純潔の亜人種たちも暴力で応じる。

 そんな光景がちっと治安の悪いところに行きゃあ、あちこちで見られた時代だった

 ……その状況を見て何をどうとち狂ったのか知らんが、ドーラッドを筆頭にした4国は、異世界から争いを根絶させることが出来る力を持った奴を召喚するための研究を始めた。

 成果が実ったのはその1年後。場所はドーラッド王城の地下、大地から最も効率よくマナを吸い上げることが出来る部屋。

 ……そう。今も場所が変わってなけりゃ、てめえの召喚された部屋と同じだろう。

 それで召喚されたのが、ここにいるシゲユキ・コンドーだったってワケだ。

 当時の俺は、戦時中に名誉の戦死を遂げた前第一騎士団団長の跡を継いでいた。

 つまり、アルディスたちがお前のお守りを命じられたように、俺たち当時の第一騎士団もシゲユキの訓練と護衛を命じられたってワケだな。

 ……俺の目から見た当時のシゲユキは、突然まったく知らん環境に連れてこられたことに、納得出来ていなかった。

 召喚当日は「自分の仕事をどうしてくれる、クライマックスシーンのサツエイは明日なのに」と叫んで頭を抱えていたっけな。

 帰る術などないと聞かされた時は、絶望した顔にもなっていた。

 ……仕方ないと、割と短時間で気持ちを切り替えていたのには脱帽したよ。本当に。

 当時はまだ俺も、王国の正義を信じていた。だから奴の命令に従って、シゲユキをこの世界の戦闘に順応出来るように鍛えることに専念した。ペーペーの連中に混ぜてな。

 元々の経験と勘もあったな。シゲユキはすぐに頭角を現した。俺とも互角にやりあえるようになってな。

 ……あの頃は楽しかったもんだよ。奴が仕込んでいた真実を何も知らずに、仕事だけしてりゃあ良かったんだからな。

 ……ハイルズが、シゲユキが〝使いモノ〟になると判断したのは、召喚してから1年たった頃だった。

 突然、シゲユキの身柄預かりが第一から第三に変わり、第三騎士団は休む間もなく亜人種や混血の隠れ里やクーデターを企てている連中の粛正任務に就くことになった。

 ……当然、シゲユキも連れ回され、抵抗する奴は純人間であろうが迷わず殺せ、という命令の下、現場で凶刃を振るわされていた。

 ……俺はその頃、アルゲイン・マードレイ卿の息子だった縁で顔見知りだったアルフィンに、無理矢理かけられていた洗脳の呪いを解除されていた。

 その頃にはとっくに城内や城下町どころか国中に、ハイルズの野郎の洗脳が行き渡っていた頃だった。

 その中で、それ以前の正気を保っていたのはアルフィンだけだったな。

 洗脳が解除されたてで混乱していた俺に、あいつはシゲユキの状況の可能性を話してきた。俺はそれを聞いて、すぐに城を飛び出したんだよ。

 ……現場は、馬を乗り継いでも5日はかかりそうな辺境の寒村だった。村は炎上し、その中でシゲユキは血まみれで、地面に倒れている子供に持っていた剣を突き立てていたところだった。

 俺が近づくと、どうしてこんなところにみたいな顔をしたから、アルフィンに持たされていた呪いと洗脳を解くための魔導具を作動させた。

 ……魔導具の効果が現れた瞬間、虚ろだったシゲユキの様子に僅かに力が戻り、炎上している周りを見て、自分の足下を見下ろして……絶叫した。

 俺は今まで何を、人を殺した、何故、そんな、ここは人を襲う魔獣の村だったはず、とそんなことを、半狂乱になりながらな。

 ……お前さんらの装備……ヘンシン、ってのか? それは肉体ダメージだけじゃなく、精神ダメージでも解除されるんだな。あの全身装備が解除されて、頭をかきむしりながら、発狂したようになって、やがて静かになった。

 ……他の第三騎士団の連中はどこに行ったとか、ハイルズは一体どうこいつを言いくるめていたのかとか、そんなことを気にしている余裕は全くなかった。炎に巻かれないようにするので精一杯で、俺は狂ったように叫び続けるシゲユキを抱えながら、馬を繋いでいた場所に戻ることに専念するしかなかった。

 馬の場所に戻った頃に、シゲユキは静かになっていた。……が、今度は俺が死にたくなるぐらいの衝撃を抱える番だったよ。

 ……この世界に来てから、シゲユキは無表情だったり無愛想だったりが常だったが、そのときのコイツには、意思や感情すらも壊されたようにしか見えなかった。

 目も表情もうつろで、こっちの呼びかけにも答えねえ。

 ……俺たち(ドーラッド王国)は、戦場や殺しを知らねえ異世界出身の平民に、なんていう仕打ちをしてしまったんだと、腹の中がひっくり返りそうな程の後悔と激情が生まれていた。

 ……だがその時点で、シゲユキが国内を転戦し始めて数ヶ月経っていた。アルフィンの言うことにゃ、その間シゲユキはずっと人里を襲う凶悪な魔獣の討伐をさせられていると思わされていたって可能性が高いってな。

 帯同する人員は俺1人、本人は戦場で心を病んだ引退兵よりも酷い状態。となりゃあ、とっくにシゲユキに目をつけていた魔族共に囲まれるってもんだ。

 魔族がシゲユキに目をつけていた理由は1つ。ハイルズに洗脳され、騙され、魔族や亜人種、それらを支援する人間たちをことごとく殺させられていたからだ。

 それにこの世界の魔法は発現出来ないにしろ、内包魔力は潤沢だったからな。適正に闇属性もあるし、連中にとって弄り甲斐と嬲り甲斐のある人形オモチャだったんだろう。

 ……俺はそれ以下だったってわけだがな。

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