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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第4話 護、異世界で再会する。
49/126

scene.13

「……ごめんなさい、マイスター」

「気にするな」

 あの人は彼女をそう慰めながら、ブラッドスレイブを一振りしながら歩いてくる。

 瞬間、彼の全身から立ち上る、赤黒いオーラ。

「……っ、」

 ……これが、あの作品の、ラスボス。

 この世界の魔法の力で具現化した、悪逆と非道を極めた男の姿。

 ……あの人がそのものになっているだなんて、信じたくはなかったけど。

「……異世界召喚を憎み、実際に行っている国を滅ぼすつもりですか?」

「さあな」

「俺も殺すんですか」

 ぴたり、と歩みが止まった。が、それも一瞬のことですぐにまた歩き出す。

「……お前は殺さん。お前は地球人だ、この世界の人間ではない」

 それはつまり、裏を返せば。

「……この世界の人間に関しては、その限りじゃない、と」

「フン」

 もうそれ以上は問答を続ける気はないと言うことなのだろうか。

 あの人は、ブラッドスレイブを構える。

 劇中と同様に、片手で、小枝を扱うかのように。

「――……っ」

 日曜日。部活か道場から帰ってから、メシも勉強もそこそこに、何度も何度も回した録画で見た姿。

 まさか、敵として見ることになるだなんて。

 互いにマスク越し、その下の表情は見えない。

 でも俺は、あまりの遣る瀬なさに泣きそうだった。

「……敵同士じゃなく、同じ番組を作るスーツアクター同士として、相まみえたかったです……」

 呟く。聞こえていなければいいなと思いながら。

 俺は魔王を倒すために召喚された勇者だ。だが、それだけじゃない。

 この世界で、親しい人が出来てしまった。

 その人たちを守りたいと思ってしまうのは、間違っているだろうか?

 俺はセイバーソードを抜き、柄の回転スイッチを右、右、左と回してから叫ぶように唱える。

「――神鎧装着(しんがいそうちゃく)!!」

 剣を天に突き出す。

 激しい雷鳴の後、ドウッ!! と噴出した赤いオーラが俺を包む。

 オーラの中で、和風の小手、胸鎧、ベルトに草摺が順にドッキングしていき、最後に陣羽織を模した上着がふわりと被さる。

 直後、セイバーソードはオーラによって姿を変える。古の時代の直刀を模したそれに。

 変化したセイバーソード、モード:クサナギを手にし、オーラを横薙ぎに斬り裂くように晴らす。

 そして、名乗る。

「クサナギレッドセイバー、降臨!!」

 また赤いナパームが爆発する。この世界初変身の時よりも派手に。

 これがレッドセイバーの強化形態だ。アークセイバーズ初期メンバー3人が強化形態を得てから数話後の撮影期間中に、俺はこの世界に来てしまったんだ。

 ……何故か女の子の目が輝いているのは、今は見ないことにする。

「……馬鹿な奴だ」

 あの人は呟くように言い、ゆっくりと俺のほうに歩いてくる。が、徐々にスピードを上げてきた。

 俺も構える。

 すぐに、ガギィン!! と俺のセイバーと彼のブラッドスレイブが、火花を上げるほどに撃ち合った。

 ……重い。アルディスさんよりは軽めだが、それでも十分重い剣戟だ。

 俺は必死に剣を振るうが、そのうちの何割があの人に届いているだろうか。

 どう剣を振るうか分かっているかのように避けられ、いなされ、時に殴られ蹴られる。

 ……幸いなのは、あの人が、俺を本当のところでは殺す気がないことだろう。

 そこに俺のつけいる隙がある。……が。

「……遊びは終わりだ」

 その隙を見つけられないまま、ブラッドスレイブにエネルギーを……魔力を集め始めた。黒いマナたちが喜んで寄り集まっているのが見える。

 ……あれは、アトロクの必殺技か!?

「っ、超神剣抜刀!!」

 俺も慌てて、荒い息を無理矢理整えつつ剣を構えた。

 ……どうして、俺は、俺たちは、互いに真剣を向け合っているんだろう。

「――〝天叢雲(あめのむらくも)弐式(にしき)〟……ッ!!」

 強化形態になったことでより強大な見た目になったヤマタノオロチのオーラと共に、俺は突撃する。

 とは言っても本当に刺すつもりはない。

 この人には、訊きたいことが山盛りにあるんだ。

「うぁあああああっ!!」

「……フン」

 届いた、と思ったその刹那。

 ブラッドスレイブで剣の軌道を左上に弾かれ。

 かと思うと、返す刀で左肩から袈裟懸けに斬られた。

「、ぁ、?」

 一瞬思考が止まった。だって、それは全て、今の俺がかろうじて視認出来る程度の、本当に一瞬の出来事だったからだ。

 思考が動き出した時にはもう、上半身を中心に何度も爆竹状の爆発が起こっていた。特撮番組の劇中で大ダメージを負った時のように。

 同時に俺の周囲が爆発炎上し、意識が遠くなっていく。

 変身解除の効果音が耳の端で鳴り、膝が地面にくずおれた。

 ……ああ、意識が遠く、黒くなっていく。地面の草が顔にちくちくするから、もう変身は全部解けているかもしれない。

 俺を見下ろしているらしいアトロク……いや、あの人の爪先が見える。

 それに、片手をなんとか伸ばした。

「……ど、……して……」

 あなたは、人を本当に斬れるような人じゃないはずなのに……。

 近藤さん……。

護、敗北。





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