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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第4話 護、異世界で再会する。
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scene.2

「戦いの最中によそ見をする暇があるとお思いか!」

 うぉっ、第一団員ほぼ全員の骨を一回ずつはへし折ったと噂の蹴りまで飛んできた! 慌ててバク転で避ける。

 ちなみに俺がダウンした原因もこれだ。リシアーナさんにバチクソに怒られまくってたっけな。内臓が損傷してたんだからさもありなんだよ。

「あなたをどう納得させて終わらせるかしか考えてませんよ!!」

 俺はそう叫んで、下段袈裟斬りの構えを取る。

「神剣抜刀!! 〝大量(おおはかり)〟!!」

 俺の言葉と共に白い光のオーラを纏った木刀を、地面を抉りながら薙ぎ払う。数十本もの矢になったオーラが、エグい勢いでアルディスさんに飛んでいく。

 剣や徒手空拳の訓練、魔法の訓練、この世界や魔法理論の勉強。これらを続けていくうちに、俺はセイバーソードなしでもレッドセイバーの技を使えるようになっていた。

 ちなみに、いくら魔法を習っても、レッドセイバーの技や別作品への客演時に演じたヒーローがその際使っていた技、モブ戦闘員の武器に、レッドセイバー専用ロボ召喚という形でしか、魔力が使えないことが判明している。

 アルフィンさんの仮説が正しいなら、俺のイマジネーションと魂と記憶に刻まれたものが、魔法と同等の理屈で具現化している、らしいが。

ともかく、今はこの世界の魔法の練習は打ち切られて数日経っている。……が、俺は普通でない方法で魔法に似た現象は起こせるようになった。

「はぁッ!!」

 アルディスさんの重い踏み込みから放たれる風の魔力を伴った〝断空〟。衝撃波が〝大量〟の矢を消し飛ばし、かまいたちの奔流が俺をまっすぐ襲いに来る。

 俺は逆にそれを逆手にとって飛び上がる。事前に緑のマナに目配せして。

 ぶわり、とかまいたちは斬撃性をほどかれて、俺という人間一人を上空に打ち上げる突風に変化する。

 上昇が落ち着いたところで、木刀を上段の構えに。

「神剣抜刀――、〝天羽々斬(あめのはばきり)〟!!」

 上空からの高威力の振り下ろし。アークセイバーズ劇中では、中盤頃に敵幹部を1人絶体絶命に追い込んだ技だ。

 アルディスさんが木刀を真横に構える。俺は構わず、木刀を加減無しに振り下ろした。

 ガガゴァン――――、と第一騎士団の演習場に、およそ木刀同士の打ち合いとは思えない衝撃が走る。

 俺の攻撃の魔力と、アルディスさんが無意識で発動している防御の魔力。互いを壊そうとした余波が演習場の地面や壁を軋ませ、ヒビを入れる。

 が、それもすぐに終わった。

「……っはぁ、はぁ……」

 ばらばらと木くずになる木刀。それで、俺の剣技として発動していた魔力が霧散していく。

 アルディスさんが、本当に嬉しそうな笑顔で容赦なく俺の顔面狙いで殴りかかってきた。

 本当に、手合わせの最中は手加減を考えてくれない。マルスくん曰く、実戦なら既に俺は数十回はこの人に殺されてるらしい。

 ……まあ、実際は死んでないわけだけど。

 内心吐きそうな程の緊張を飲み込みつつ、左掌でアルディスさんの拳をいなし、右の拳でフックを打つ。

 が、ぬるりと避けられ、彼の蹴りが俺の胴体に。

 左に置いていた軸足を右にスイッチ、その重心移動を利用して右後方に軸回転し回避。そしてすぐにまた左に軸を戻して上段回し蹴り。

「――団長! マモル様!」

 だぁっぶねぇッ!!

 急に飛び込んできた声に、俺の脚はちゃんと寸でで止めることが出来た。

 それは俺の胴体を狙っていたアルディスさんの拳も同様だった。

 ビタッ、と止まった俺たちは、スン……と拳と脚を下ろす。

 声をかけてきたのは、今日のシフトが謁見の間の警備担当な第一団員くんだった。

 いわゆる部下相手にアルディスさんは、ズゴモモモモモ……という擬音を立てるどす黒いオーラに似合いの声で訊いた。

「……何の用だ……?」

 だから怖いんだって! 般若を通り越した何かみたいな顔面になってるってアルディスさん!

 ほら、もう全身ガックガクに震えてんじゃん彼! 可哀想になぁ……。

「どうしたんだ?」

 なので、俺はひょっこりと助け船を出してみた。

 震えながらも彼は端的に告げる。

「は、はい、へ、陛下が、お二人に、謁見の間に、おいでになるようにと……!」

「………………」

「アルディスさん、小さく舌打ちしないで」

「……チッ」

「聞こえてたらいいってもんでもないです」

 本当にこの人、俺以外への口調と態度が段々ずさんになってきてないか?

(……それにしても)

 陛下が俺も呼んでいる。

 その言葉に俺は内心で警戒レベルを上げた。

 ここ最近、王様は俺の面倒をアルディスさんたち騎士団や魔法師団に任せて、あまり干渉しなくなっていた。フードの奴もしばらく見ていない。

 それはそれでのびのびやれて良かったんだが、一体何の話だろうか。

「……アルディスさん。今朝はここまでです」

 とにもかくにも、話を聞いてみないことには分からない。

 そう思って俺は意思表示した。

 アルディスさんはちらっと俺を見て、すぐに溜め息をついた。気持ちを切り替えたらしい。

「……すぐに伺うと、陛下に伝えに行け」

 彼が渋々といった感じで言ったその言葉に、団員くんは「ハッ!!!」と敬礼を返して走り去っていった。

 ……俺は見逃さなかったぞ。その顔が、ようやくゲロを吐きそうな緊張感から解放された安堵に満ちてたことに……。

 お疲れ様だ、ほんとうに。

アルディスさんは忠犬にして狂犬です。多分。




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