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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第3話 護、異世界で仲間を得る!
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scene.11

(……まるで、宗教画みたいだな)

 そう思いながら、俺は本を閉じた。無意識な呟きが漏れた。

「……絵本の中じゃあ、みんな仲良く暮らしてるんですけどね」

 現実はそういうわけにはいかなかった、ということだろう。

 悪意はどこにでも、どこからでも発生するものだしな。

 俺はリシアーナさんを見る。彼女は柳眉を寄せていた。

「……百数十年前、この大陸に住む人間族と亜人族の間で戦争が起こりました。その結果、生き残った亜人族はこの大陸から逃れ、今は別の大陸で暮らしているのだそうですわ」

 そしてこの国に残ったのは人間種と亜人種への差別感情……ってことか。

「……悲しいことですね」

「ええ……」

 互いに、ふぅと溜め息をつく。

 が、リシアーナさんは笑って顔を上げた。

「……まあ、この話は今は置いておきましょう。今日は文字の書き取りの練習と読書、どちらをなさいますか?」

 そう訊かれたので、俺は読書を選んだ。ほぼ毎日習いに来てるんだから、たまには書類整理の時間もとってほしいと思ったんだ。

 リシアーナさんが色々な対象年齢の本を取り揃えた本棚を作ってくれたおかげで、俺は簡易図書館感覚で使わせてもらっている。

(……おかげで、城の書庫にまだ行けてないんだよなぁ……)

 まあ、まだここに置いてくれている本で事足りているからいいか。書庫は、ここの本をあらかた読み終わってから行けばいい。

 そう思いながら、俺は本を手に取った。



***************



 夕方。この城では、日の出、昼食、日の入りになると聖堂の鐘が鳴らされる。うっすらとそれが聞こえてきた。

「あぁ……」

 俺は残念に思いながら本を閉じる。まだ途中しか読めてない。

 リシアーナさんは、読みかけならって毎回笑って本を貸してくれるけど、本の出所はどこなんだろうか。

 ……うん。まだ積んでる本もあるし、今日は借りていくのはやめよう。

 俺は読み終わった本と読みかけの本を本棚に戻す。すると、扉の叩く音がした。

「はい」

 リシアーナさんが返答する。入ってきたのはアルディスさんだった。

「マモル様、お迎えにあがりました」

「……はい」

 さすがに、もう宛がわれた部屋から屯所までの道なら迷ったりしない。帰りも同じく。

 なのにアルディスさんは毎日夕方の鐘が鳴る頃に俺を迎えに来る。

 そんなもんだから、とうとう今日リシアーナさんは溜め息をついた。

「……毎日飽きないわねアルディス。マモル様も、お若いとはいえ未成年というわけではないのに。ここにだってお一人でいらしているじゃない」

 とたんに、アルディスさんの穏やかだった顔がムッとなった。

「マモル様はこの世界の平和を得るための要だ。万が一の可能性も排除せねばならない」

「そんなこと言って……」

 リシアーナさんは心底呆れたようだった。まあ俺もそうなんだが。

 ……もしかして。

「……アルディスさん。もしかして、この間アルフィンさんが言っていた通り、俺のこと特別だと思ってるんですか?」

 ピタ、と彼の動きが止まった。

「……アルディスさん?」

 思わず首を傾げると、彼は少し辛そうな顔をした。

「……マモル様。少し、お時間をいただけますか」

 そう言われて、俺は城内にあるアルディスさんの私室に招かれる。

 軽く室内を観察すると、俺に宛がわれた部屋よりもグレードは劣るが、それでもシティホテルのミドルグレード部屋と言われても納得出来る内装だった。

 重厚な木造りのローテーブルにソファー、なんだか書類や本が山積みのデスク、日本人庶民の感覚では立派なベッド、洋箪笥らしきものが、決して狭くない部屋に配置されている。

 他にドアはなさそうなので、きっと風呂とトイレは別なのだろう。

「どうぞおかけ下さい」

 言われて、俺はソファーに腰を下ろす。

 アルディスさんは部屋に明かりを灯すと、向かいに座った。

「……何も出せずに申し訳ありません。この部屋は休むだけにしか使っていませんので……」

「お構いなく」

 ぶっちゃけ俺もそんなもんだった。撮影所の近くのアパートで一人暮らしだったが、撮影や殺陣練習のスケジュールが詰まっていた日は、寝にだけ帰ってたようなもんだったしな。

 今は城ぐるみでなにくれと面倒を見てくれているから、余計に家事スキルが下がった気がする。

「……で、どうしたんですか?」

 さっきから浮かない顔をしているアルディスさんに、俺は訊ねてみる。

 いや、別にとっとと帰って飯を食いたいってわけじゃないんだけど。

 でも成人男性、それも一定の地位を持ってる人が公私問わず自分の部屋に人を招くって、それなりの話をしたいからだろう。

 話の内容を分かっていないこっちが訊ねることで、話しやすくなればと思ったんだ。

「面白い!」

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