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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第1話 護、異世界に飛ぶ!
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scene.3

(っ!?)

 な、なんだ? この感覚は……!?

 まるで、見えない縄でぐるぐる巻きにされそうな、やばい、ちょっと苦しい……。

「異世界よりの勇者よ。召喚に応じてくれたこと、まずは礼を申す」

「……いえ」

 ……にしても、さっきから勇者勇者って言われるがなんなんだ。俺は勇者じゃないぞ……。

「さて、改めて我が名を。余はハイルズ・ヒューゲル・ドーラッド三世という。この国、ドーラッド王国の王である。勇者よ、どうかそなたの名を教えてはくれまいか」

 ……名前? ……名前を教えたら、どうなるんだ?

 いや、なんかヤバイ気がする。

 なんとなく、本能的な勘だけど。


 〝ふむ、キミはなかなかカンがいい。見込んだとおり。だけれど大丈夫、キミにはワタシの加護があるからね〟


(……は?)

 俺は思わずあたりを見回してしまった。

(な、なんだ? 今の声!?)

「勇者よ、いかがした?」

「あっ、いえ。すみません、なんでもありません」

「そうか。して、そなたの名は?」

 ……いや、やたら名前聞き出そうとすんじゃんか。

 朧気だけど、陰陽師系の映画にモブとして出るのが決まったときに、原作小説を買って読んでみた記憶が蘇る。

 確か、名前取られたらヤバイ系の話があった。

「……東堂護と申します。名は護、姓が東堂です。どうか護とお呼びください」

「ふむ、マモル・トウドウ殿か」

 ハイルズ王は一つ頷いた。特に疑われる様子はない。あの嫌な感覚もほんの少しになる。

(………………っセ――ッフ!!)

 俺は内心冷や汗をかく。本当に、スーツのままでよかった。メットを外してたらきっと動揺してただろうから。

 東堂は母の旧姓だ。流石に反応できなかったら俺が困ると思って名前は本名にしたが。

 王様は玉座の段の麓に控えている人……多分、宰相的な人に視線を送っている。

 その人から頷きが帰ってきて、王様はまた俺の方を見た。

「さて、勇者マモル殿。実は今、この世界は魔王の手により沈もうとしておるのだ」

「……は、」

 ま、おう?

 おいおい、いきなりファンタジー系作品の王道展開来ちまったじゃねえか。

「この世界は数十年ほど前、人間同士の醜い争いを起こしていた。それは我ら人間の罪であると理解している。しかし終戦後、ある日忽然と魔王は現れた。彼奴は次々と勢力を伸ばし、世界を落とし我が物とせんと暗躍を始めたのだ」

 ほう。よくあるファンタジーものっぽい話だ。

 王様からされた話をまとめると、こういうことらしい。

 世界征服しようとする魔王に対抗できる実力者は、戦争のせいで軒並み亡くなったか戦えなくなったらしい。

 そのため魔法使いが多く生き残った国同士で力を合わせて、魔王に対抗できる実力を持てる素養のある人間を召喚して、力を貸してもらおうとしている……と。

「マモル殿。そなたが召喚されたのも天啓の一つ。どうか、魔王討伐に協力していただきたい」

 ……おいおい。協力して〝いただきたい〟だなんて言ってるが、声音が明らかに強制を含んでるじゃねえか。しかも、あの人を操ろうとする、あの目まで向けて。

 冗談じゃねえ。俺は多少動けるだけの一般成人男性だっつうの。

 殺人現場に立ち会ったのだって、番組の撮影以外じゃ全くない。人を攻撃したのだって、武道の訓練と番組の撮影以外じゃやったことないんだ。

 ……ここは、適当にのらりくらりしてみるか。

「……恐れながら、陛下。私は元の世界では、物語の戦士を演じる専門の役者でした。非戦闘員の一般人よりは、体力も運動能力もあるだろうことは自覚していますが、実際に他人と命を取り合いをしたことはありません。そんな私が、勇者としてこの世界の命運を握る戦いに身を投じる資格も能力もあるとは、到底思えません」

 俺は頭を下げて言う。そんな俺に、王様は相づちを打った。

「ふむ。物語の戦士を演じる役者、とな」

「はい。それゆえ、どうかなにとぞ」

 お考え直しを、と俺が言う前に、王様が明るい声で言ってきた。

「それは僥倖!」

「は?」

 おい王様! 色々頑張って取り繕ってたのに、とうとう素の声出しちまったじゃねえか!

 そんな俺の気持ちを置き去りに、周囲のオッサン共も明るめのトーンでヒソヒソしだした。なんなんだよ!?

「マモル殿、案ずることはない。演じてのこととはいえ、戦士のなんたるかを理解しているのだろう? ならば、経験を積めばよい。幸い、戦士としての下地は出来ているとみた」

 ……まあ、100%の否定はしづらい。

「それに、勇者は元の世界で馴染み深い技能が戦闘能力として発現するのだ! それを使いこなすための訓練期間ももちろん設けよう! そなたは物語の英雄を演じていたのだから、きっとよき勇者となれるだろう!」

 おいおいおいおい、冗談じゃねえぞ……!

 俺は! 表向きは数十年戦争沙汰とは無縁な国の! 血生臭い事態とは無縁の! 一般人だって! 言ってるだろうが!!

 第一、こんな怪しげな話を即了承する奴なんかいるわけねえだろ!

 ……と、思っていたら。

「というわけだ。マモル殿には、そこにいるマードレイをつけよう。護衛兼訓練相手として存分に活用してやってほしい」

「え、あの、」

「マードレイよ。その日が来るまで、マモル殿をお守りし、マモル殿を立派な戦士に育てるのだぞ」

「はっ」

「ちょ、」

 あれ? おかしいな?

 なんかこっちの意思を無視して、トントン拍子に決められてるような気がするんだが?

「面白い!」

「応援するよ!」

「続きが読みたい!」


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