scene.6
「……はぁ~~~~~……」
鑑定の儀終了後。俺が今どこにいるかというと、第一騎士団の団長室だ。
何故かアルフィンさんと銀髪美女もいて、ソファーで優雅に茶を嗜んでいる。
アルフィンさんは何故か俺の隣をちゃっかり陣取った。
そのせいなのか別の要因か、アルディスさんは俺の向かい席でアルフィンさんにガンを飛ばしている。
(わぁ~、男前の本気の殺気怖ぇ~……)
俺は黙って、白い光が「いいよ!」と言いたげに離れた後の紅茶を飲みつつ堅焼きクッキー的な菓子をポリポリしていた。
マードレイ兄弟のやりとりを聞きながら。
「だから、私が名乗りを上げたのは本当に他意はないんだよ」
「白々しい。何かしらの魂胆があるのは分かっています」
「ん~、まあ、ないとは言えないがねぇ」
「ようやく白状しましたなこの軽薄者!! マモル様がいらぬ知識を身につけられたらどうするつもりですか!」
「はっははぁ。アルディス、相変わらず堅いなぁ。世の中には要らぬ知識などないんだよ。ねえ、マモル様」
「えっ」
半ば魂を飛ばしていたせいで、話半分にしか聞いてなかった。
ていうか、兄弟喧嘩の矛先をこっちに向けないでくれ。
「あ~……、アルフィンさん。俺の故郷には『知らぬが仏』っていう言葉がありましてね。平たく言えば、世の中には知らない方が良かったこともある、という格言です」
「おや、マモル様はアルディス派でしたか。残念。ですが、私の言うことは覚えておいた方がよろしいかと」
アルフィンさんはニコッと笑い、ぐいっと俺の右肩を抱き寄せ耳元で囁いてきた。
「……あなたの隠し事などについても、ね」
「……は?」
いい声で吐息混じりに囁かれたことと、発言の内容が相殺し、左半身は鳥肌が立ち右半身はすー……と恐怖感が走った。
(……この人、何を知ってるんだ!?)
ずっ、と肘掛けギリギリまで身を寄せてしまう。それで空いた空間に赤と白の光が割って入り、抗議をするようにイガイガになった。
「あはは! マモル様はウブなのですねぇ!」
俺の様子にアルフィンさんは大笑いする。何がおもろいねん。
「すいませんねえ、どうせ彼女もいませんでしたよ!」
スーアクになるために邁進してた青春だったから、女子にはモテなかったよ! ケッ!!
と内心悪態をついていたら。
「うーん……あなたはご自分の魅力を分かっていないんですねえ。なんと罪作りな。リシアーナもそう思うだろう?」
相変わらずにこにこしながら言うアルフィンさん。
アルフィンさんの真向かいに座る彼女は、紅茶を一口飲んだ後、冷たく言った。
「団長、いい加減になさってください。トウドウ様はあなたの言動にドン引きなさっていますし、アルディスに至ってはこの部屋全体を殺気で爆発させそうになっていますよ」
……そういや、小さいものがポルターガイストみたいにカタカタしてるな。
このままだと本当に中が爆発してしまうかもしれない。
それで困るのは、部屋の持ち主のアルディスさん本人なんだけども。
「……あの、リシアーナさんとおっしゃいましたっけ」
女性に話しかけると、にこりと笑ってくれた。
「はい。魔法師団治療術部隊隊長、リシアーナ・メクファムと申します。アルディス第一団長とは、騎士団入団の同期です」
声まで美女だよ。すげえな異世界。
いや、日本にも声も容姿も美女って人は居たけど、ここまで浮世離れな美貌ってなかなかないからな。
そしてアルディスさんとは同期。こういう環境だし、同期は大事だ。
俺は間髪入れずに、彼女に訊いた。
「アルディスさんが怒りで部屋を爆散させないうちに、手を打ちたいんですが。具体的には、席を替わっていただけると」
「そうですわね、そういたしましょう」
言うや否や、リシアーナさんが自分の紅茶を持ち上げて立った。
俺も似たタイミングでサッと立ち上がる。
「え、マモル様、そんな必要は」
「はいはい団長、あまりしつこくすると嫌われますわよ。ただでさえアルディス第一団長には日頃から避けられていますのに」
その言葉が、アルフィンさんの心を抉ったらしい。
「うぐっ」
胸を押さえて蹲った彼を尻目に、俺は代わった席にストンと座り直す。
すると、アルフィンさんに触られた方の肩をパパパパパと、もの凄い速度で払われる。
「面白い!」
「応援するよ!」
「続きが読みたい!」
など思われましたら、下部いいねボタンや、☆マークを
お好きな数だけ押していただけると嬉しいです。
感想やブックマークなどもしていただけると大変励みになります。
何卒よろしくお願いします。




