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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第1話 護、異世界に飛ぶ!
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scene.2

 状況を整理しよう。

 俺の名前は石上護(いしがみまもる)。25歳の日本人男性。職業・スーツアクター。

 スーツアクターってのは、特撮番組のヒーローの変身後や敵怪人のスーツを着て、戦闘シーンを演じるアクション俳優だ。

 俺は主役のレッドセイバー(変身後)役として、ハイパー戦隊最新作「剣神戦隊アークセイバーズ」に参加している。さっきまでいたのは野外ロケ現場だ。

 アークセイバーズとは、三柱の剣神にそれぞれ認められた若者が、世界を混乱と殺戮の海に叩き落とそうとする敵を打倒する物語だ。

 レッドセイバーは、俺にとって戦隊初レギュラー参加にして初主役。これからのキャリアを考えて、とても大事な役になる。

 だから毎日誠心誠意、監督以下多数のスタッフ、同僚スーアク、変身前の役者たち、何人もの人とコミュニケーションを取りながら大事に大事に演じてきた。

 ……なのに。

(……なんでこんな事になってるんだろうなぁ)

 俺は今、レッドセイバーのスーツフル装備のまま、国王と名乗った中年男性の後に続いて歩いている。

 なるべくきょろきょろしないように、周囲も観察。

 俺が出てきた魔法陣のある部屋は窓がなく、壁に掛かっている燭台や魔法陣の周りに配置されていた丸い珠でぼんやり明るい部屋だった。

 そこから出ると階段を登り、窓から日光が差し込む廊下に出る。通りすがりにそれが腕にかかる。感想はというと。

(……暑い)

 スーツの素材的に空気の通りは、なんというか、悪い。

 アークセイバーズのスーツはまだマシなのだが、ジョッキーのスーツでよく使われるラバー系素材だと着た瞬間からサウナ状態になる。

 劇場版の撮影中に、長回しシーンのカットがかかった瞬間昏倒したベテランもいるぐらいだ。

 で、ナパームの爆風の温度にも耐えられる素材のはずなんだが、そのスーツ越しでも暑いということは。

(……この国の昼の気温は高めなのかな)

 なんとなくだが、呼吸用の穴から感じる空気は日本よりは乾いているような気がするが、見える景色の中には緑もある。

 それにしても、人の視線がまあやかましいことこの上ない。

(……王様って人と同じ一団で歩いてるから、気持ちは分からんでもないけどな)

 これはスーアクあるあるかもしれないが、訓練や撮影を積むうちに、スーツアクションの際は怪我をしないさせないように、誰が今どこにいるのか、どんな動きをしているのか、感覚で分かるようになった。

 メイドさんは、きっとこのあと噂話に花を咲かせるんだろう。

 文官っぽいおっさ、ゲフン、紳士は俺を値踏みするような視線を向けてくる。

(……なんか、嫌な感じだな)

 日本でも他人を値踏みする人間がいるが、ここでの視線はそんなもんじゃなかった。

 好奇、利用価値、とにかくそんな感じの有り難くない視線をそこここで向けられる。

 慣れてないとは言わないが、向けられたくはない類いのものだ。

(……まったく、やんなるぜ。俺は善良な一般日本人男性だってのに)

 どうせ向けられるなら、純粋なファンからの応援の眼差しがいい。

 そんな事を思っていると、先頭の兵士が角を曲がるのが見えた。

「わ……」

 思わず声を上げてしまった。

 なんせ、内閣組閣のときの記念写真の場所みたいな、立派な階段があるのだ。その先には重厚な扉。兵士二人がかりで開け閉めするようなやつ。

 開けられた扉の先の光景を見て、俺は思わず呟いた。

「……ここって、謁見の間か……?」

 その声を拾ったのか、ずっと俺の隣で歩いてた金髪の騎士が視線を寄越してきた。

 うっ、チラ見しただけでも、容姿的な意味でも物理的な意味でも眩いイケメンだってのが分かる……。

「……ほう。お分かりになりますか」

「ええまあ……何となくですけど……」

 嫌でも分からぁ! 玉座に続く絨毯の両サイドに、ずら~っと偉そうなおっさ、ゲフゲフ、お歴々がずらりと膝をついてるんだからな!

 とは口に出さない俺。偉い。

 玉座の間に近づくにつれ、歩いているのは国王、隣の騎士さん、俺だけになった。

 周りを囲んでいた兵士やローブの人たちは、お歴々の向こう側で同じように膝をついている。

 玉座に上がる階段より前で、騎士さんに「ここでお待ちを」と止められた。

 国王さんが玉座に向かう。さて、俺が取るべき行動は。

(……まあ、俺はド庶民だし)

 だから、皆に倣って跪いて頭を下げておこう。

 俺はこの王様に忠誠を誓ったわけではないけれど、礼を逸するのは違うと思うし。

 玉座の方から、バサリ、とマントが翻る音がした。

「皆、面を上げよ」

 王様の声で衣擦れや鎧の音が次々に鳴った。俺も頭を上げる。

 少し見上げると王様と目が合った。

「面白い!」

「応援するよ!」

「続きが読みたい!」


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