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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第2話 護、異世界で変身する!
19/111

scene.9

「っ!?」

 マードレイさんはさすがに攻撃をやめて回避か防御をとろうとした。

 が、間に合わなかったらしい。

「――ぐあっ!」

 どがり、という音が背後から聞こえてきた。

(ま、まともに食らわせてしまった……!)

 しーん……と静まりかえる訓練場。

 息を整えながら崩れ落ちるマードレイさん。

 心肺がオーバーフローを起こしたようにゼーハーしている俺。

 ばらばらと崩れる木刀。

 俺が無意識で残った柄を取り落としたとき、走ってくる足音が聞こえた。

「お二人とも、大丈夫ですか!?」

 振り返って見てみる。俺より年上な感じの美人なお姉さまだ。

 その人がマードレイさんを助け起こしているのを見て、俺の脳みそがようやく回り始めた。

(……あ、あー……?)

 さあぁ、と血の気が引いていく。

 よくよく見たら、マードレイさんの胸部鎧がヘコんでいる。

「そ、そこは心臓――――――ッッッ!!」

 俺は無意識で叫び、慌てて外したセイバーソードに縮め縮めと言って、縮んでくれたミニ剣をブレスに戻して変身を解く。

 そして、二人の側に駆け寄って――。

「――大ッ変!! 申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」

 渾身の土下座を披露つかまつった。

 ズボンがすり切れる勢いでズサーッ!! と土下座の姿勢で滑り込んむ俺。

 さすがに驚いたらしいマードレイさんの、「うわっ」という驚きの声が聞こえる。

 そ、そりゃそうだよな! 自分で新人みたいなもんとか言っといて、なに調子こいてんだって話だ! しかも胸のど真ん中!!

「わざとじゃないんですさっきの技は分類するなら中段突きでいつもは物語の中の怪人に食らわせる技なので作劇的には容赦なく食らわせてるというかもちろん演技の上なので怪人も俺と同じスーアクが演じてるんでもちろんきちんと怪我をしないさせないように食らわせてるように見えるようにしてるんです今みたいに直接体に食らわせるのはアクション演技的には御法度といいますか」

 あああこれはもう高速詠唱謝罪だけじゃ済まねえよ騎士団長の鎧ヘコませたあげくヘタしたら心停止してた案件じゃねえかAEDはどこですかぁぁぁあ!!!

「なので今のは本当に俺の過失です本当に申し訳な」

「トウドウ様」

「はいッ!!!」

「……どうか、顔をお上げ下さい」

「……はい?」

 え? なんか想定外の声音で言われたんだが?

 そろそろと顔を上げてみる。そして、思わずビビった。

 マードレイさんは、それはもう嬉しそうに艶やかに笑っていた。金髪美形の魅惑力200%ってぐらいに。見るヤツが見たら、同性でもいいって狂うのが確実な笑み。

 実際、同性には恋愛的にも性的にも一切興味ない俺ですら、くらっと来たくらいだ。

「……あ、あの? まーどれい、さん?」

 声がひっくり返りそうになる俺。

 そんな俺の、地面に突いている両手をマードレイさんが握って、胸の高さまで持ち上げた。

 そして、まっすぐ俺を見つめながら語り始める。

「トウドウ様は、確かに荒削りで未完成。ですが、慢心せずに鍛え上げれば必ず剣聖へと至る資質を備えておられると今、確信に至りました」

「……へ?」

 な、なんか、声と目がマジなんだが。

「私はそう感じた瞬間、この身が燃え立つ程に嬉しかったのです。この方の成長を私が支えることが出来る、騎士としてこの方に負けていられない、それ以上に」

 ――そう、例えば、剣道の道場や高校の空手部で俺をライバルと呼んできたあいつらが。

「これほどの腕を持つこのお方を、私がお守りし、支え、剣を高め合い、共に魔王軍を壊滅せしめることが出来るのだと思うと――!」

 ……俺に対する闘争心と仲間意識と独占欲と友情じゃない何かの感情を、ひとまとめにして心の奥底でぐちゃぐちゃに溶けて混ざり合うぐらいに煮え滾らせている目で、見てきてる時のような。

(……あー、これはちょっとヤバイかもしれん)

 各学年に大体一人二人はいたんだ。俺にやたら懐いてくるのが。

 スーアクになってからはみんな大人だから、感情をむき出しにしてくることはなかった。けど、それでも先輩同期後輩問わず可愛がられ懐かれた。

 弊事務所所属の大先輩アクション監督に相談してみたら、「お前は誰にでも理想的ヒーロー然とした立ち振る舞いするから」と言われてしまった。

 解せぬ。俺はアレストブルー並びに特撮ヒーロー諸先輩がたの良いところを俺なりに噛み砕いて参考にして、日々の言動に気をつけてるだけなのに。

 そう言ったら頭をわしゃわしゃされたっきり、そのことに関して何も教えてくれなくなったけど。

 で、目の前の事態をどう片付けるか、だ。

 右手を抜いてみる。わあ、気付いてねえ。

 で、右手を軽く上げながら、副団長のお姉さまに視線を向ける。

 頷きで許可が出た。

「トウドウ様、謙遜めされますな。あなた様はもっと強くなれます。微力ながら私はその助力になりたいと――」

「御免」

 一言言って思いっきり、端麗な顔の上……つまり頭にチョップを食らわせた。

 その衝撃で、ひとまずマードレイさんの口が止まる。

別にアルディスはヤンの人でもベーコンレタス界の人でもないです。

―――――――――――――――

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