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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第2話 護、異世界で変身する!
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scene.5

今週末は1日1話ずつ更新です。

 ドーラッド王国騎士団屯所。

 第一、第二、第三、魔法。この四つの騎士団の必要施設が全部入っているという。

 第一騎士団は王宮内や王族の警護。第二騎士団は首都城下町の警備。第三は王族直轄地警護。魔法騎士団は他三騎士団が必要と判断した際の派遣、魔法に関わる全ての技術の研鑽と実験、発展を担う。

 ということを屯所の訓練所に入る前に解説してもらった。

 そして今。俺は屋根のない四角いアリーナみたいな訓練所に足を踏み入れている。

「広い……」

 思わず声を出してしまったけど、仕方ないと思う。

 だって、大体の体育館の3倍はありそうな広さだ。そこに何十人もの人がいる。

 ひたすら素振りを繰り返す人、立てた丸太で斬りの練習をしている人、剣と盾を装備し戦闘訓練をしている人、数人チームで対戦している人たち。

 そりゃあ、これぐらい広くなかったらカバーできんわな。

「む。皆、訓練やめ!!」

 こっちに気付いた教官役らしき人の一声で、全員動きを止めて直立した。

「団長と勇者様に、敬礼!!」

 うわっ、全員がその場で一斉に敬礼した……! 圧巻だなこれ……!

 いや、モブ兵士としてこういうシチュエーションの撮影に参加したことは何回もあるけど、やっぱり演技と本職のそれでは迫力が違う。

 ちらりと、最大限顔を動かさずにマードレイさんを見ると、騎士さんたちに向かって手を上げていた。手を下ろす指示なんだろう。

「諸君らも知っての通り、昨日召喚された異世界からの勇者、マモル・トウドウ様の護衛と戦闘訓練を我ら第一騎士団が仰せつかることになっている。今日より各種訓練にトウドウ様も加わっていただく予定だ。諸君らもそのつもりでいてほしい」

「はっ!!」

 おおう。ところどころに光がくっついている人のいる、何十人という騎士たちの一糸乱れぬ返答。すげえや。

 前に立つマードレイさんの横で聞いてただけだってのに、圧がすげえ。パワーを感じる。

「ではトウドウ様、ご挨拶をお願いします」

「……はい」

 一斉に視線が俺の方に向いてきた。うう、緊張する……。

「……ご紹介にあずかりました、マモル・トウドウです。元の世界では、戦いに身を投じる戦士を演じる役者をしていました。なので、多少の訓練は積んでいますが、俺の強さははっきり申し上げて未知数だと思います。ですが俺が出来ることはやりたいとも思っておりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」

 最後に一礼。

 うーん、実に日本人的挨拶。でも仕方ない、こんな感じの挨拶しか思い浮かばなかったんだ。

 顔を上げると、まばらな拍手が起こる。

(……完全アウェイ)

 でも仕方ない。実際その通りだ。

 すると、すっと一人の手が上がった。……黄色の光が肩やら頭にくっついている。

「団長。勇者様に質問してもよろしいでしょうか」

「構わんぞ」

 お? なんだ?

「勇者様は元の世界でも訓練なさっていたと仰いましたが、具体的に教えていただけますか?」

「分かりました」

 それぐらいならな。

 俺は幼稚園の頃にアレストンジャーと出会ってから、いつかアレストブルーのようになりたいと思って、まず地元の剣道道場に入った。

 中学校に入ってから、ジョッキーシリーズのネット動画でスーツアクターという職業があるのを知り、ヒーローそのものにはなれなくてもスーツアクターという形でならなれるかも、という思いで空手部に入った。

 それから死ぬ気で剣道と空手を両立し、困らないくらいの腕にはなった。

 高校に入ってからは道場と部活の顧問に頼み込み、長期休みは今の事務所の現場バイトに入らせてもらっていた。

 そういうのは割と珍しくて、養成所の教官をしていたベテラン先輩の眼鏡に適ったから入れてもらえていたらしい。

 休憩時間とかに、当時の役者とカッコいいポーズの研究とかしたり、スーアク陣にアクションのアレコレとかを聞けて、参考になったなぁ。

 そして高校を卒業後、養成所に正式に入所し、研鑽を重ねた後、戦隊の敵戦闘員役で現場のキャリアをスタートさせた。

「……と、こんな感じです」

 ところどころをぼかしたり、この世界でも通じるだろう言い回しにしつつ語り終える。

 すると、騎士さんたちは周辺の仲間たちと何やらヒソヒソし始めた。

(……えぇ~……、何だよ……)

 この世界に来てから、本当にこういうことばっかりだなぁ。

 と、また同じ人が手を挙げた。

「つまり、勇者様は模擬的にであっても、戦闘訓練をお受けになられたことがおありということですね」

 いや、なんで確定系で言うんだ。違うからな!?

「……実際の命のやりとりはありません。俺はあくまで役者です。その役柄が、世界征服を企む連中との戦いに身を投じる戦士たちっていうだけの話で」

「あくまで役者、ですか」

「ええ。なので、俺が修めているのは、芝居用の動きです。怪我をしないための身のこなし方、見栄えのいい攻撃とその受け方、高所からの着地方法などなど。芝居の中で敵にとどめを刺す展開があったとしても、それは芝居の上の話です。実際に怪我をさせたり殺したりするわけじゃありません」

 ここで俺は一旦言葉を切る。

 しーん……とその場が静まりかえった。

「……ですが」

 俺は息を深く吸って、言葉を続ける。

戦隊オタが高じてスーアクさんになった護です。

―――――――――――――――

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