表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第2話 護、異世界で変身する!
11/107

scene.1

朝になりました。

「……知らない天井だ」

 目が覚めてまず俺の目に映ったのは、なんとも豪華なデザインの天井。

 横に目を向けると、落ち着いた色のベッドカーテン。その向こうではもう日が登っているのか、明るい光が入っている。

 ベッドを出て、きまぐれに窓を開けてみた。

「……!」

 ちょうど日が登ってくるところだった。

 夜が明けて青が薄くなっていく空。太陽で照らされてゆっくり色づいていく街並み。輪郭が照らされて光る山。

 見ている内に、胸が締め付けられていく。

 いや、泣かない泣かない。流石に25歳の男が日本でも見ることが出来る風景に泣きそうになるなんて、流石にな。な?

 アレストブルーも言ってたぜ。「男が泣いていいのは家族と恋人と恩人と仲間が死んだときだけだ」って。だから俺も泣かない。

 それに、帰れる日が来ることを願いつつ、やれることをやると決めたんだからな!

 パン、と両頬を叩いて気合を入れる。

「よーし、今日は起きるの遅くなっちまったからな! 特急で終わらせるぞ!」

 そう、スーツアクターを志すようになってから俺は早寝早起きを習慣づけた。

 撮影の都合上、現場集合が朝5時前とかいう日だってあるしな。出来る限りで早寝早起きしないとやってられないんだ。

 顔を洗い、クローゼット部屋の中で運動に向いていそうな服を見繕い着替える。

「さて、と」

 俺は応接テーブル諸々を壁際に寄せて、場所を確保した。

 所属事務所・日本アクショングループメント略してNAG(ナグ)式の準備体操の後、足を肩幅に開いて、息を深く吸う。

「おはようございます! 本日もよろしくお願いいたします!」

 最大限の小声で、それでも出来るだけ声を張って、養成所から連綿と続く鍛練前の挨拶を独りで言う。……うう、虚しい。

 さて、気を取り直して筋トレ筋トレ。筋肉は一日サボっただけであっという間にふぬけてしまう。

 同期間でお決まりになった筋トレ改造メニューを100回3セット。休む間なくプランク1分を5セット。

 この部屋時計はない。が、最新戦隊の変身ブレスというだけあって、作中ではスマートウォッチの機能もある。

 こっちの世界に俺と一緒にやってきちまったコイツは、機能も本物になってしまったらしく、時間を計れる。昨日色々触ってみて分かったことだ。

 ……いかん、耳の奥で筋肉を愛する同期の雄叫びが蘇ってきた……。

 ……気を取り直そう。筋トレを終えてすぐに、アクションの基本の型を繰り返す。

 拳、蹴り、受け身、と繰り返していると、ノックの音がした。

「おはようございます、勇者様。朝の身支度の準備が整いました」

「あ、はい」

 受け身の姿勢のまま反射的に返事をして、それから疑問が浮かぶ。

「……え?」

 朝の身支度? 何の?

 と思っているとメイドさんたちが入ってきた。

 昨日、彼女たちが夕食を持ってきたときに、自分たちや警備の関係上内鍵はかけるなと言われた。

 なので、もの凄く、もの凄ぉぉぉく不用心だとは思ったが、鍵をかけずに寝たのだ。

 ……あいかわらず気まずいが、一応挨拶しておくか。

「……おはようございます」

 メイドさんたちは俺の着ているものを見て一瞬目を見開いたが、すぐに無表情になった。

「おはようございます。……洗顔などは、お一人でなさったのですか?」

 ええ、と俺は頷く。

「俺、早起きして筋トレが日課になってるんで、朝の身支度も自分でやるんで大丈夫です。ありがたいことにこの部屋、洗面台もありますし」

 実際事実だ。昨日、風呂に入るときに試行錯誤しまくった結果、風呂と洗面台の水の出し方は覚えたし。

 水だけじゃなくてお湯も出るのが、凄い部屋だと思う。

 俺の言葉に、メイドさんたちはみんな顔を見合わせていた。

 な、なんだ?

 メイドさんたちは数秒アイコンタクトを交わしていたかと思うと、俺の方に向き直ってリーダーの人が俺にこう言った。

「……本日、陛下が、今朝の朝食を勇者様と共にと仰っております。ただ今、お召し物の用意をさせていただきます」

「ん?」

 ……陛下、って王様だよな……?

 王様と、朝食?

「はぁっ!?」

 俺は飛び上がって驚いてしまった。

 だって、王様だぞ!? この国のトップだぞ!? あの胡散臭い人だぞ!?

 そんな人と俺が食卓を共に……って!

「あ、あの、それは決定事項なんですか……?」

 せっかく洗った顔面に冷や汗がだらんだらんと流れる。

 こちとら、社長とだって最終面接ぐらいでしか話したことないのに、王様とメシだなんて……!!

 俺はなんとかならないかと思っていたが、彼女たちは当たり前のようにこう返してきた。

「はい」

 ……たった一言かよぉ!!

「さあ勇者様、こちらにお召し替えを」

 マネキンみたいなのが着ている服は、なんかこう、俺が連想していたギンギラの貴族ですよ~と主張している服ではなく。

 赤系統だが落ち着いた色のベストとにスラックス、ぱりっとしたシャツに、とろんとしたリボンっぽいタイだった。革製と思しき靴もセットでついている。

 ……連想していた中世の格好というか、近代に近い感じの服で、まだ良かった、ような……。

(……これぐらいなら、まあ、いいか……)

 俺は諦めて、着替えることにしたのだった。

「面白い!」

「応援するよ!」

「続きが読みたい!」


など思われましたら、下部いいねボタンや、☆マークを

お好きな数だけ押していただけると嬉しいです。


感想やブックマークなどもしていただけると大変励みになります。

何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ