scene.9
気付くと、俺は光――幻獣たちを飛ばした直後に戻っていた。
アルディスたちの輝きを観察してみる。すると、ぎゅんと飛んできて俺の両隣に2つずつ並んだ。
一瞬にして人の形になり、服装込みのシルエットになり、そして光が外れて、その光が背後で相棒幻獣たちに変化する。
巨人……タイタンとでも言えばいいのかな、が着地した瞬間ドドォン……と地鳴りが起こる。地上の皆が慌てふためき、闇の子たちは一旦姿勢を低くしていた。
その隙に、俺は左右をざっと見渡す。
ちなみに並び順は、俺から見て右端からマクシーニさん、近藤さん、俺、アルディス、ヴィクトリアちゃんだ。
みんなの服装はぱっと見、俺とほとんど変わらない。だけど、色と細かいところがちょっとずつ変わっていた。
基本的には膝丈コートに揃いのズボンだ。あ、コートの左胸に相棒幻獣らしい刺繍見つけた。
コートとズボンのデザインやシルエットは全員共通。ただし色はそれぞれの象徴色だ。ちなみに俺は赤。その部分が、みんなそれぞれの色になってるって感じ。
アルディスとマクシーニさんは、本人達が使っていたものと似た感じのガントレットと膝丈靴を装備している。
近藤さんは、ごっつい編み上げブーツだ。蹴られたらすぐ骨折れそう……。
ヴィクトリアちゃんはズボンじゃなかった。膝よりちょっと上の丈の、女子制服みたいなスカートに分厚い黒タイツ、くるぶし丈のかかとが太くて短いブーツ。
ちなみに俺の靴は膝丈の、のっぺりしたジッパー式だ。
みんな服も変わったが、一番目立つのは見た目の変化かもしれない。
アルディスは髪の色は変わってないけど、目の色がより濃い青になっている。藍色にも近いかもしれない。
ヴィクトリアちゃんは、金髪にビビッドなピンク色の目になっている。……なんか、HHTの前後に放映している、美少女チームアニメシリーズのピンク戦士に、こういう配色の子が何人かいるような覚えが。
んで、一番違いが際立つのは近藤さんだろう。さっきまで、ほぼ総白髪の草臥ていた50代だったのに、今は筋骨隆々の20代半ばの若者になっているんだから。髪も黄土色に近い茶髪で、目は茶色。
マクシーニさんもアルディスぐらいに若返っていて、髪の色は金に近いくらいに薄くなっていて、目の色は鮮やかな真緑になっている。
俺……いや、俺たちは一瞬でそれを確認し合って、目を見開いたり、指差したりして驚き合っていた。
「マクシーニ様、コンドー殿、何故若返っておいでに!?」
「あぁん? お前らだって微妙に見た目変わってんじゃねえか……いやシゲの変わりようすげえな!?」
「お前こそ、マードレイと同期と言われても仕方ない見た目になってるだろう!」
「えっ? 私たち、マモル並みに見た目変わってるってこと? ……私、金髪になってるぅ!!」
「えっ、俺も見た目変わってんの!?」
「元の茶髪……いや、黒髪だったのか。どちらにしても今は、朝焼けの空の色の髪に、炎を象徴する紅の瞳だ」
「えええぇ!?」
うっそあんまり意識してなかったけど、今の俺の見た目の色、そうなの!?
ていうか創造主の領域で、みんな全然意識してなかったじゃん……。
〝やあやあ、みんなパニックになってるねえ〟
あっ、説明してくれよ創造主!
〝マモルをマナの眷族にさせてもらったときにね、ワタシたちで新しい体をプレゼントさせてもらったんだ。そのときに眷族に相応しい色になったんだろうね。君たちもマモルと同じ存在になるんだから、ちょちょいと体をいじらせてもらったんだよ〟
……なんか、それだけ聞くと、マッドサイエンティスト臭がすごいな。
〝君たちの容姿と身体能力は、戦士として最盛期の状態でキープされる。戦闘技能やら魔力なんやらは成長するけどね。ヴィクトリアはまだ成長過程だから、最盛期に来たらそこでキープされるけど〟
「……なるほど、俺とシゲが若返っているのはそういうことでしたか」
マクシーニさんは納得したらしい。
ふむ。なるほど。なら近藤さんがこの年代なのも納得できる。
だって近藤さんがこの年代頃って、あの『近藤以外は首の骨が折れる』って言われてた特撮スーツ着てたんだもん。
あ、俺はもちろんリアタイ出来てないぞ。高校の頃にサブスクで見たんだ。
〝そういうわけで。私たちが今、君たちにしてあげられることはこれが限界だ。……チカラを合わせて、あの子を解放してあげてほしい〟
その言葉に、俺たちは互いに顔を見合わせてから頷いた。
〝……頼むね〟
そう言って、創造主の気配が薄くなったのが分かる。
ふと地上を見ると。
この時点で、近藤さんもヴィクトリアちゃんも、護と同じく異世界チューンされていて、地球人の体ではなくなっています。
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