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創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~  作者: 雪玉 円記
第8話 護、創世戦隊マナレンジャーを結成する!!
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scene.4

「……あれほどの光を見せておきながら、その直後あっけなく消滅させられた様を直視させられたのです、我々は……!!」

 その言葉とともに、もっと腕の締め付けがきつくなる。

 いや、本当にその点に関しては申し訳ない……とは、思ってる。うん。

 とはいえ。

「……ぐるしい」

 うん。スマートゴリラ疑惑が確定に変わったアルディスさんにこれ以上締め付けられてたら、ナカミが出てきそう。

 なので、俺は敢えて哀れっぽく聞こえるように呟いてみる。

 すると、バッとすぐに離れた。一欠片の理性はあったんだな。

「も、申し訳ありません!!」

 腰を直角に折って謝ってきたアルディスさんに、俺は敢えて腕をさすりながら冷たく見下ろす。もちろんフリだ。

「次やったら本気で殴りますよ」

「はいッ!」

 ……謝ってはいるけど、どこか嬉しそうなのはなんでだ?

 ……さて。アルディスさんがいるってことは、当然。

 俺はゆっくりと視線を向ける。

「……う゛」

 右から紹介しよう。

 かつての部下の奇行を目の当たりにし、しょっぱい顔しかできないマクシーニさん。

 いろんな感情がごちゃ混ぜになっているような、なんとも言えない顔になっている近藤さん。

 アルディスさんにビビって、近藤さんの背後に隠れているヴィクトリアちゃん。

 三者三様の視線をぶつけられて、思わず呻いてしまった。

 その中で一番に動いたのは、近藤さんだった。

 俺に近づいてきて厳しい顔で言う。

「……お前、生きていたのか」

「あ、えーと……生きていた、というか、こちらの創造主さまに生き返らされたというか……」

 ちらりとテーブルのほうを見ると、創造主はめっちゃゲーミング発光していた。

 挨拶のつもりかなんかか?

「……そうか。やはり、一度死んでいるのに変わりはないのか……」

 そう呟いたあと、近藤さんは俺に向かって、深々と頭を下げた。

「すまなかった……!!」

「え?」

 え???

 俺はいったい何で謝られてるんだ? とんと心当たりがないが?

「……俺たちが、お前とヴィクトリアを根城に置いていったのには理由がある……」

 なんだか、今にも泣きだしそうな、地球一の海溝よりも深い後悔を滲ませる声だ。

「俺たちが異世界召喚者を引き込んでいたのは、お前も知っての通りだ。……だが、それ以上に、総力戦になるだろう場所に、お前もヴィクトリアも投入するつもりはなかった。……これでも、ヴィクトリアのことは単なる仲間ではなく、娘のようにも思っていた。だから、お前の監視役兼話し相手として置いていった。だが……」

 そこで、近藤さんは一度姿勢を起こし、俺の両肩に手を置いた。

 ……両手が、ぶるぶると震えている。

「……お前があんな無残な殺され方をするとは、思っていなかった……!!」

 項垂れ、血を吐くような嘆き。その後に続く、喉の奥で押し込めているような嗚咽。

 俺は黙るしかなかった。まさか、近藤さんがこれぐらいには俺のことを気に入ってくれていると思ってなかったから。

 根城で見たときよりも増えた白髪頭のつむじ。そこに視線を固定していると、マクシーニさんがそっと近藤さんの震える肩に手を置いた。

「……仕方ねえよ。アレはあの場の誰もが想定してなかったんだからよ。俺だって、叶うモンなら今からでもあの野郎をぶっ飛ばしてやりてぇくらいだ」

 ……うん。なんかありがたいな。

 マクシーニさんは最初、俺のことなんか近藤さんの後輩のガキぐらいにしか思ってなかっただろうに。

 ふと、アルディスさんの視線が近藤さんに向いているのが気になった。

 ちょっと振り返ってみると、変な顔で近藤さんを見ていた。

「……この声は、明らかに魔王のもの……だが、この方は、我が国の初代勇者様のもの……。どういうことだ……?」

 心の声が漏れてるぞ、アルディスさん。

 ……ていうか、待て。

 俺は変わらずテーブルの上に鎮座してる創造主に向かって、訊いてみる。

「……創造主さま。アルディスさんが近藤さんがかつての勇者だと認識できてるってことは……」

 うん、と創造主は頷いてから言った。


 〝マモルの浄化魔法技がきちんと作用したってことだよ。後は彼が、自分の書類仕事と君の勉強時間と寝るとき以外、ほとんど君にべったりだったから、他の人間よりも浄化の進みが早かったってのもあるだろうね。精神汚染による記憶改ざんも解けたんだよ〟


「なるほど」

 その解説を踏まえて様子を見てみると、アルディスさんは頭を抱えて「え……、だが……」とぶつぶつ呟いている。

 ……うん。これはアレだな。

「……創造主さま。俺の脳みそ……あー、頭ん中にポンッとやったように、皆にもやってもらっていいですか? どうして近藤さんたちや俺がこうなったか、口頭での説明に長々かけるより簡単なんじゃないかと思うんですけど」

 俺の提案に、創造主はふむ、と声で頷いた。


 〝一理あるね。ここに呼び寄せたのは魂だけだし。現世でやるよりも簡単だ〟


 そう言って創造主は4つの光を生み出すと、容赦なくみんなにぶち当てた。

 やり方は他になかったのか……? みんな頭痛をこらえるみたいになっちゃったし。

 まあ、いきなり知らん知識や記憶を叩き込まれたら混乱するよな。

「面白い!」

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