extra.1
王様視点です。
夜半遅く。
国王ハイルズは自室の窓から空を眺めていた。
そこに、ぞるりと影が入り込む。みるみるうちにそれは形を変えていき、フードを被った人物の姿をとった。
王は窓から視線を移す。
「……あの異世界人はどうしておる」
その問いに、無感情な、しかし不可解な目に遭ったと言わんばかりの声が返ってきた。
「――見ること、適わなかった」
「……なんだと?」
フードの言葉に、ハイルズの眉がピクリと動く。
「どういうことだ」
体もフードに向き直りながら問うた王に、フードは肩を竦めた。
「そのままだ。ヤツがメイド共を部屋から追い出した後、貴賓室全体が結界をでも張られたかのようだった。何か、奴を守護しているモノがいるやもしれぬ」
「ふうむ……」
王は思案する。
忌み色の話をしたとき明らかにマモルが動揺していたことは見抜いていた。
だがそれが何故なのか。それがまだ分かっていない。
そこで、フードの者が推論を述べた。
「――もしかしたら、奴は加護を得ているのかもしれぬ」
「……何者からのだ」
すると、フードの中からクク、という笑い声が上がった。
「奴の髪と目から、忌々しいチカラを感じた。――自らを創造主などと名乗る、卑小なモノのな」
「……ほう」
ハイルズ王の口元にも、フードの者と同じ種類の笑みが浮かぶ。
「しばし泳がせるか。監視は引き続き行え」
「御意」
フードは頭を下げ、そして現れたときと同様に、闇に融けていった。
残ったハイルズ王は、また窓の外に視線を向ける。
「……くく、数奇なものよな」
そう笑う目は、邪悪な色を湛えていた。
まるで今宵の空のように。
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