この男、大ホラ吹きにつき
おぎゃあとこの世に生まれ落ちた瞬間から、彼とはお隣さんの関係だった。
親同士も仲が良かった事もあり、度々家族間のイベント事にも連れ立って参加した。
そのたびに私は聞かされた。
彼の嘘を。
小さな頃から彼は嘘つきだった。
15を数える年齢になっても彼の虚言癖は治ることなく、むしろ悪化していた。
彼は一緒に進学をした魔術学園においても、入学当初、自らを大魔術師になる器だと、大嘘をこいた。
幼馴染だったし、彼が知らない人間にバカにされるのもちょっとしゃくにさわるなーと思った私は、こっそりと彼の手助けをする事にした。
……でも、私の手助けを知らずに難しい魔法を大成功して、得意顔の彼、サトにはとても腹がっ立った。
サトが誰かにバカにされるのは腹が立つ、でも私の手助けだと気が付かずに、したり顔をしているのはもっと腹が立つ。
なんかいい方法ないかしらね……
────そうだ。良いことを思いついたわ!
彼を持ち上げるだけ持ち上げて、大成功をおさめる直前で手を引く。
公衆の面前で恥をかかせるのよ。そうすれば私の気も晴れるし、今までは成功をしていたのだから、周囲の人間は、サトがたまたま失敗しただけだと勘違いするはず。
これで行きましょう。
私は一人、寮の机に向かい、彼を貶める為の作戦を書いたノートを嬉々としてしたためるのだった。