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3話 異世界

僕が異世界に来たのは6年前。隣を歩いてるサウラスという青年くらいの年齢の頃だ。


✢✢✢✢


部活を終えた高校の帰り道、目の前がいきなり真っ暗になった。目覚めたら知らない部屋の中。


「目が覚めたみたいだね」


そう話しかけてくるのは言葉を喋る虎。後から彼は虎の獣人だとわかったわけだけど、その時は頭が混乱して今すぐにここから逃げ出さなければ、と脳が危険信号を出しているように感じた。


「ありがとうございます。かえります」


一刻も早くこの奇妙な空間から逃げ出したいと思った僕はドアの方へ向かう。


「まあまあ、病み上がりなんだからもう少しゆっくりしていきなよ」

「いえ、帰ります」

「また道で倒れたらこっちも気にしてしまうし」

「いえ、帰ります」

「そ、そうかぁ、でも俺はこの部屋の外で待機するからまだ寝ててもいいんだよ?」

「いえ、帰ります」


そういえばどこだここ?家の近くにこんな変な獣の噂はなかったはず…。

え、あの虎なんかプルプル震えてるんだけど。段々と近づいて来るんですけど!なに!食べられるの?!逃げようとしたから!?食べないで!僕はまだ彼女もできてないんだ!こんなところで死んでたまるか!


「こっちに来なさい」

「いえ、かえりまフゴッッッ__」


虎の大きな手が僕のほっぺを掴んでいるっっ。足がつかないぞっ!こいつどんだけの力があるんだ!くそっ、このまま食べられてしまうのか…。ああお母さん、お父さん…


「今まで…育ててくれてありがとう。僕はこの奇妙な虎に食べられてしまうことでしょう。成長期真っ只中のこの魅惑のボディはさぞかし美味しく映っていることに違いない!だがしかしっ!身体は無くなってしまってもあなた達へのこの想いこの恩は天国で返していく所存ですのでどうかお気に病まないでください…」

「何言ってんだお前」

「さあ、一口で食べてくれ。痛いのは嫌だからなるべく一瞬で殺ってくれよ」

「俺は肉よりフルーツ派だ」

「じゃあ何で僕を食べようとするんだ!!!!」

「してねーよ!!!!そっちが勝手に勘違いしてんだろーが!!!!!」


どうやら僕を食べるつもりはないらしい。良かった良かった。


「お前が俺の家の前で倒れてるからわざわざ介抱してやったってのに」

「それは失礼しました」


深々とお辞儀をする。

少し落ち着くためにホットミルクを出してくれたので一緒に飲みながら話をする。


「それで?お前の家はどこだ?送ってってやるよ」

「えぇっと、まずここってどこですか?」


よく考えてみたら喋る虎なんて見たことも聞いたこともない。この男は多分被り物マニアなんだ。

こんな変な被りものをした男をうちの両親に合わせるわけにはいかない。さっきからこの被り物マニアをじっくり見てるが口もヒゲも目も本物のように動いている。これはちょっとした趣味で被っているだけでは済まないぞ。ちょっとした趣味だとしても変な人には変わらないけど。脱ぐ様子も見られないし、このまま外に出てしまったら僕まで変な人だと思われてしまうではないか。

そう思っている僕の耳に入ってきたのは、


「ここはアイオニオス王国の中央街、第一都市だ」

「脳みそどっかにおいてきた?大丈夫?」


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