1話 サウラスは入国する
ここは多種多様な種族、民族が共存する王国『アイオニオス』。
王国建国から存在しているといわれる聖霊の名前が由来って言われてるんだ。
この国の名前の由来なんて幼児でも知ってるぞ?
そんな事も知らないなんて、世間知らずにもほどあるな!
え、その聖霊に会いたい?聞こえなかったのか?存在していると〝いわれる〟だぞ
まあ、そんなに会いたいなら城にでも行って掛け合ってみたらどうだ?…って、ほんとに行くのか!?
「おじさんありがとー」
嫌な顔一つ見せず説明をしてくれた門番のおじさんに感謝を言いう。早速『アイオニオス』の端からでも見えるあの大きな城へ向かうことに決めた。
しっかし、
「まさかアイオニオスさんが聖霊とはなー」
手のひらに握られている手紙を見つめながらそう呟く。
4ヶ月前
目が覚めると知らない森の中。目の前には焼け残った家、手にしっかりと握られている手紙。
『アイオニオスに会いに行け』
書きなぐったような文字にはなぜかそうしなければいけないと思わせるなにかがあった。
しかしそうはいっても何の情報もない森の中。近くの村にたどり着いたのはそこから約2ヶ月後、そしてた村で1ヶ月お世話になった後『アイオニオス』にたどり着くまでに1ヶ月。短いようで長く感じたこの4ヶ月。無駄にしないためにも早くアイオニオスさんに会わなければ。
✢✢✢✢
門の入口近くにあるお店、アイオニオス観光案内所。
どうやらお客は俺だけのようだ。店員もいないとは…
ぅ゙ん゙ん゙っっ……
喉の調子を整えて声を出すために息を吸う。
すぅ___
「す、すみませㇸーん!あ、あの、城に行くにはどうしたら良いですか?」
「いらっしゃい、観光?それとも入団試験?」
声が裏返った…
恥ずかしい気持ちを抑えながら店奥から出てきた案内所のお兄さんに話を聞く。
「観光です!」
「そっか、それだったらこのツアーに参加すると良いよ」
「それって中まで入れますか?」
聖霊に会うためには入れなきゃ意味がないしな。
「それだったらこっちのツアーだね。お、明日ちょうど一枠空いてる。どうする?」
「はい、お願いします」
「いやぁ、運がいいねー」
「あはははっ、それじゃあ明日よろしくお願いします」
良かった、もし中にはいれなかったらなんとかして侵入をしなければ行けないところだった。
さっそくツアーの代金を払って…って金が無い!
そうだった村のおばあちゃんには入国金しかもらっていなかったんだった。
「ヤバッ……」
「??1万ネイだよ」
ニコニコしてるお兄さんの姿。と金をもらうために差し出された右手のひら
しょうがない、これは正直に頼むしか無いな。
ええと、なるべく申し訳ないような顔を作りながら…
「ほんと申し訳ないんですけどお金がなくてですね……後払いってできますか?」
「無理」
「くそっ」
「逆になんでいけると思ったの?」
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