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月夜譚 【No.101~No.200】

憂いの姫君 【月夜譚No.185】

作者: 夏月七葉

 一度だけ、姫君の姿を目にしたことがある。

 偶々城の近くを通りかかった昼下がり。いつもは堅く閉じられている二階のバルコニーの窓がその日は開いていて、風に広がる白いカーテンの陰に彼女はいた。

 手摺りに両腕をつき、物憂げに城下町を見下ろしていたのが印象的だった。長い金髪は太陽に煌めき、整った美貌を際立たせる。

 彼はつい見惚れてしまい、道端に突っ立ったまま彼女を見つめるしかできなかった。しかし、それもほんの数秒のこと。すぐにメイドらしき女性がやってきて、彼女は城の中へ姿を消した。

 それがこの国の姫だと知ったのは、数日の後のことである。

 国王は式典などがある度に目にする機会があるが、人前に姫が出てくることは殆どない。噂では、国王の過保護な性格から城から出ることも叶わず、鳥籠に囚われるような毎日を過ごしているということだ。故に、姫の姿を見た者は数少ない。

 だというのに、あの日から考えてしまうのだ。またいつか、彼女の姿を目にすることはできるだろうかと。

 淡い――それはもう透明に近いほどの期待を持って、彼は今日もあの道端に足を運ぶのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] セリフのない描写だけの原稿用紙一枚分。 これで一人の男の密かな恋と姫君の状況を伝えるとはお上手ですね。
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