ep7 これが最善と知って
どうも、マグロカレーと申す者です。
口内炎って辛いですよね〜。
それでは本編どうぞ!
「あそこね。」
ハンとクトを説得して村へ歩き出してから四時間、ようやく獣人族の村が見える所まで着いた。
「やっと…着いたのね。」
「はぁ、はぁ、よかった。」
ハンとクトは安堵の顔を見せるも、お互いかなり疲れているようね。
まあ無理もないわ、神の力を与えたといってもあくまでもその場しのぎ程度。一刻も早く何か食べさせて休息させないとまずい状態だわ。
「姉さん、早く行こう。」
弟もその事が分かっており、私を急かす。
「えぇ、そうね。」
私たちは更に歩みを進め、村の入り口である大きな木で作られた両開きの門の前まで来た。
その時、向かってくる私たちを予め警戒していたのか、どこからともなく獣人族の村人五〜六人が私たちを一瞬で取り囲む。
「お前たち、人間か?なぜ我らの同胞と一緒にいる?」
そう聞いてきたのは若そうな赤髪の獣人族。見たところ得体の知れない私たちがまだ子どもの獣人族を連れていることで全員だいぶ気が立ってる。
「私たちはこの二人が森で倒れていたのでここまで届けに来ただけよ。」
そういうと村の獣人族は皆顔を合わせる。その様子を見て弟は一歩前に出る。
「この二人はとても危険な状態だ。一刻も早くこの子たちに何か食べさせて欲しい。」
弟はそう言うと、ハンとクトに村の方へ行くよう言った。
「…ありがとう、世話になったわ。」
「この恩は絶対に忘れません!」
私たちに二人はそう言うと駆け足で門の方まで去って行った。
「…保護してくれた事には感謝する。しかしこの村の者は人間を信用していない。だからこのまま帰ってくれ。」
「分かった。」
(え!?帰っちゃうの?せっかくここまで来たのに?)
即答で答えた弟に目で必死に訴えかけるが完全に無視された…
私たちはハンとクトに手を振り来た道を引き返す。
…村から少し離れた所で私は口を開く。
「そりゃ私も見返りを期待してた訳じゃないけど、村の人と少しでも仲良くなりたかったわ。」
そうすれば人間との溝も少しは埋まるかもしれないと私は考えてた。
「あの状況じゃ無理だと思うし、それにハンとクトを門の方へ向かわせても彼らはすぐに開けなかった。たぶん僕たちを警戒していたからだよ。」
弟はすぐに無理とか止めようとか言う。何だかイライラしてきたわ。
「じゃあなに?村の人はいちいちあんなでかい門開けて出入りするって言うの?」
「村人の入り口の方が見られたらまずいでしょ?ハンとクトの事を考えればなおさら僕たちは引くしかなかったよ。」
う、確かに人が通れる別の入り口があるとしても、そっちを見られた方がまずいのは私でも分かるわ。
私は何も言い返せなくなった。ハンとクトの事を考えるならあの場は素直に引くしかなかったという事。
「また今度、行ける機会があれば行こうよ。」
「…そうね。」
私は次があればいいけど、と言おうとしたけどやめた。
そんな事を言うのは私らしくないし、弟に心配かけたくなかった。
「…よし!そうと決まれば次はどこへ行こうかしら?」
「え!?天界に戻るんじゃないの!?」
「まだ大丈夫よ!さぁ!行くわよ!!」
私たちは次なる場所で新たな出会いを求め歩き出した。