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お前に娘をやるつもりはない。  作者: 娘をやるつもりはない
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凛20歳 彼の名は雅之

私の名前は 橋下治(おさむ)41歳 少し無口

妻の名前は花江(はなえ)39歳 おしゃべり

娘の名前は(りん)20歳 OL

3人で都心の一戸建てに住んでいる。

私は公務員をしていて、妻は専業主婦。娘はOLだ。


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


凛が就職して1年が経ち仕事にも慣れてきて、休みの日に同僚と遊びに行く機会も増えた。


凛「明日から2日間旅行に行ってくるね」

花江「また行くの?あんた月に1回は行ってるじゃないの」

凛「良いじゃん別に、迷惑かけてるわけじゃないし、むしろお母さんもお父さんとどっか行けば良いじゃん」

花江「お父さんとはどこも行かないわよ!今更どこに行くのよ」

凛「温泉とか行けば良いじゃん」

治「温泉、、良いなぁ」

凛「ほらぁ!お父さんも言ってるんだから行っておいでよ」

花江「家のお風呂で十分です」


花江の言葉に治は少しだけシュンとした。そして凛は予定通り旅行に行った。最近、治と花江は2人になる機会が増えたのだが、話す内容があまりない。テレビの感想と今日あった事と凛の話だ。


治「最近、凛に彼氏の話を聞いたか?」

花江「あなた、気になっているのね。あなたには黙っててと言われてましたけど、彼氏と旅行に行ってるのよ」

治「なんだと?まだ子供なのにあいつは男と旅行に行っているのか」

花江「子供って言っても、ちゃんと就職してるわ。今回の彼氏はちゃんとしてるんじゃないかしら?」


治はなんで俺とは行かないのに?と思いながらも凛が帰ってくるのを待っている。花江とご飯を食べて、テレビを見ての生活は楽しいが、やはり凛がいないと寂しい気持ちになる。何故なら治は凛が大好きだからである。もちろん花江の次にだ。


3日後に凛が帰ってきた。凛は疲れた様子ですぐに部屋に入っていった。花江が洗濯物を回収しに、凛の部屋に行きドアをノックすると返事がない。勝手に部屋を開け、中に入っていくと、凛はベットで寝ていた。鞄から洗濯物を回収してすぐに部屋を出てゆっくり扉を閉める。夜になり治が帰ってきた。


治「凛は帰ってきたのか?」

花江「帰ってきて、部屋で寝てます」

治「ご飯は食べたのか?体調が悪いんじゃないか?」

花江「そんなに心配なら部屋に行ってきたらいいじゃないですか?」


その言葉を待っていたかのように、凛の部屋に向かう。ドアの前に立ち深呼吸をする、すると大きな笑い声が聞こえた。凛は彼氏と電話中だった。


(マジかー。まさかのタイミングだな。ここで入っていったら空気が読めないから嫌いって言われたらどうしよう、、、でも、3日も待ったのにすぐに凛にすぐに会えないのはものすごい寂しいことだ)

凛に会いたい気持ちが高ぶってきた治はドアをノックする。返事がない、無視されているようだ、

諦めずにノックをもう一度しようとした瞬間

ドアが開き

凛「ただいま。なに?ご飯できたの?」

治「帰ってきてすぐに寝ていたと聞いたから、体調が悪いのかと、、」

凛「体調は大丈夫だよ。ありがとう。もう少ししたら下に行く」


そう言って凛は扉を閉めた。そしてまた笑い声が聞こえ始めた。


(ありがとうと言われてしまった)


少し笑顔で下の階に行くと、花江がご飯を作り終えてテーブルに並べているところだった。治はお味噌汁をお椀に注ぐのを手伝ってテーブルに全品が並んだと同時ぐらいに凛が下に降りてきた。治はみんなでご飯が食べれると思い再び、にやけてしまう。


(ダメだ!威厳のある父親は笑わない)


みんなでテーブルを囲み、凛の旅行思い出話を聞きながら楽しい夕食の時間を過ごしていると、、


凛「お父さん、お母さん少しいい?」

花江「何よ改まっちゃって」

治「、、、、」

凛「明日あって欲しい人がいるの」


(この流れきたー!)

治は来るだろう思っていたが、この楽しい時間に来るとは思ってもなかった


治「あって欲しい人?」

凛「うん、実は彼氏と旅行に行ってたんだけど、その人にプロポーズされちゃって、私もこの人なら良いかなって?」

花江「今度っていつよ?」

凛「今週の日曜日の夜はどうかな?彼も仕事休みだし、お父さんも仕事休みだよね?」

治「あぁ」

凛「じゃあ決まりね!あっお土産買ってきたからご飯食べたら渡すね」


治はお土産を受け取った。これはなんのキーホルダーなんだ?と疑問に思いながらも嬉しくて鞄につける。日曜日なんて来なくていいと思いながらも、仕事をこなして、とうとう決戦の日曜日が来てしまう。


治は7時に起き、顔を洗い、歯磨きをして、髭を剃り、服を着替える。そしてテーブルに座り、コーヒーを飲みながら買ってきた雑誌を読んで、凛と彼氏を待つ。凛は土曜日の夜から彼氏の家に行っていた。


治「何時に来るか聞いたか?」

花江「聞いてないわ。」

治「そぉか」

花江「聞いてみたらいいじゃない?」

治「楽しみにしてると思われるだろう」

花江「私は楽しみにしているわよ」

治「、、、」


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


10時を過ぎた頃、玄関のドアが開き、凛が帰ってきた


凛「ただいまー」


花江が玄関まで迎えに行く。すると凛と彼氏が玄関で靴を脱いでいるところだった。見た目はシュッとしていた。


雅之「はじめまして雅之と言います。本日はお忙しい中、時間を作っていただきありがとうございます。」

花江「こんにちは、凛の母です。宜しくね。」

凛「お父さんは?」

花江「リビングにいるわよ。ずっとソワソワしちゃって」

凛「雅之、お父さん、あんまり喋らないけど、怒ってるわけじゃないから安心して」

雅之「緊張するなぁ。大丈夫かな?」

花江「大丈夫よ」


(やべー!来ちゃったよ。どぉしよ。すごいちゃんとしている子が来た。今までにない感じの子だな)


3人がリビングにやってくると治は新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。


凛「お父さん。雅之さん」

雅之「本日は時間を作っていただきありがとうございます」

治「初めまして父です」


コップを口元に持って行き飲もうとしたが、空になっていた。それぐらい治は驚いていた。何故なら雅之の姿が、

ピンクのモヒカン・真っ黒な革のジャケット・ドクロのベルトを光らせて・真っ黒なタイトなズボンを履いている。


(こいつマジか?何故花江は追い出さない?親に挨拶に来るのにその格好で来るか普通?いやいや!見た目で人を判断してはいけない、しっかり挨拶をしてくれたし、真面目そうだ、髪型と服装が少し派手なだけの好青年かもしれない。)


花江「立っているのもあれなので、ソファーに座ってください」

雅之「ありがとうございます。失礼します」

凛「雅之さんはこう見えても音楽をやってるの」

治「そぉなのか」

(こう見えても?)


治はソファーの方に移動しながらそんな事を考えている。


花江「雅之さんは何を飲まれますか?」

雅之「常温のスポーツドリンクなどがあれば1番いいです」

花江「困ったわねー。うちにはないわ」

雅之「それでしたらコーヒーをいただきたいです」

花江「じゃあコーヒー入れるわね。みんなコーヒーにしますね」


花江がコーヒーを淹れてくれている間に凛がさらに紹介を進めている


凛「雅之さんはいつの日か武道館に立つことが夢なの。ライブも頻繁にやってるんだよ。出会いは友達と行った雅之さんのライブでかっこよくて一目惚れしちゃった」

雅之「まぁライブと言っても小さなライブハウスに出させてもらってるぐらいですがね」

治「それでもすごいことだよ」


花江がコーヒーを人数分持ってテーブルに置くと、すかさず雅之がみんなの前に置いていく。

ありがとうと花江が言ってお盆をキッチンに持っていった。少しして花江がお菓子も持ってきてテーブルに広げて席に着く。


花江「雅之さんの歌ってどんな感じなの?」


すると凛が待ってましたと言わんばかりにCDを取り出して、リビングのコンポに入れる。CDは自分たちで作っているものだ。すると大音量でパンクロック流れ始めた。治は初めて聞くパンクにビックリしたが、驚きはしない。何故なら見た目で一回驚いているからだ。音楽が終わると雅之が真面目な顔で座っている。


雅之「お父さん、自分は音楽で成功します。そして凛さんを幸せにします。だから凛さんと結婚させてください」

凛「雅之さんは音楽一筋で行くために、時間の融通が利くバイトをしているの。でも絶対音楽で成功するからそれまでは、、、」

治「、、、。」


花江「結婚ってもちろん成功してからでしょ?それなら私は賛成だわ。だってミュージシャンの母親になるなんて素敵じゃない」

雅之「結婚は今すぐにでもしたいと思っています」

治「、、、?ちょっと待て。結婚は今すぐなのかい?」

凛「売れてからの結婚はダメよ!私が支えていっしょに成功するのよ」

治「もし仮に、ずっと売れなかったらどうするんだい?」

凛「大丈夫。雅之さんは絶対に売れるから」

治「成功する人は一説によると10%以下、そもそも確率は出せないと言われているのは知っているかい?」

雅之「自分は友達も多いですし、CDも友達が作ることもできます。」

治「友達が多いと行ってもライブハウスがいっぱいになるのかい?CDも作れはするけど売れなかった時に保管する場所や、いくらで売るなどの計算は出来るのかい?」

雅之「CDは売れる枚数しか作りません。なので、保管場所が必要ない。次に計算ですが、得意な友達がいるのでお願いします。」

治「、、、。その友達にお給料は払うのかい?それとも友達だから無料でやってもらうのかい?」

雅之「もちろん無料でやってもらいます。たまに飯を奢れば良いと思ってます。」

治「それで友達が納得してるなら良いけど、本心では納得してなくて、お金を請求してきたらどうするんだい?」

雅之「その時は売れた時に払うから今は払えないというしかありません」

治「、、、。えっ?売れるかわからないのに、売れたら払うは無理でしょ?友達も絶対売れると思ってて、雅之君の夢を一緒に追いかけたい!って思ってるならまだしも、暇だから手伝ってくれてるのなら忙しくなった瞬間に手伝ってくれなくなるよ?お金をもらわないと割に合わないってなった時には一体どうするとか考えておかないと」

雅之「その時は別の友達を、、、。」

治「結局、友達頼みじゃん。友達に助けてもらうっていうのは悪いとは思わないけど、自分は歌ってるだけだじゃん。そんなんで、売れるって言われても信じれないよ。それならライブやCDにこだわらずに動画をネットに上げてする方が全然良いよ!再生数を増やして、音楽会社の人の目にとまる努力した方が全然良いと思うよ。それでお金が稼げて生活できるぐらいになって、初めて結婚って言葉を出せば良いじゃん」

雅之「ポリシーがありますから、昔のバンドみたいにライブハウスで人気が出て、そこから大きなドームやフェスに出るのが夢なんです!それをあなたにとやかく言う権利はない!」

治「はぁ?あなたが私の娘と結婚したいと言ったので、話してるんでしょ?あなただけの話なら好きにすれば良いよ。ただ娘が結婚するって言った人の事だから言ってるんでしょ。生活の事とか、今後の事とかあるからでしょ?あなたの歌手になるって夢は否定する事はしてません。結婚するとしたら私の家族になるわけだから口は出すでしょ?あなたが家に来なければあなたの事は知らないし、知らない人だから好きにすれば良いってなるけど、彼氏としてきたなら娘の今後のため言いますよ」


雅之と凛は下を向いたまま何も言えなくなっていた。花江はそんな2人を見ながらコーヒーを飲んでいる。治もコーヒーを飲みながら2人を交互に見ている。


治「言いすぎた。ごめん。でも、今の状況ならお前に娘をやるつもりはない!」


雅之は黙ってお辞儀をしてそのまま出て行ってしまった。凛も追いかけるようにして出て行った。


花江「あなた言い過ぎよ?凛のことになるといつもそうなんだから」

治「まだ凛は若いんだから焦らなくても良いんだ。今急いで結婚しても後悔したら意味がないからね」

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