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お前に娘をやるつもりはない。  作者: 娘をやるつもりはない
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凛19歳 彼の名は健太郎

私の名前は 橋下治(おさむ)41歳 少し無口

妻の名前は花江(はなえ)39歳 おしゃべり

娘の名前は(りん)19歳

3人で都心の一戸建てに住んでいる。

私は公務員をしていて、妻は専業主婦。娘は就職してOLになった。


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


凛が就職した。それにより一人暮らしをすると思っていたが、ずっと実家にいてくれる。それだけで私はとても嬉しい。


花江は娘が就職したことにより、そのうち料理や洗濯などの教えないといけないと思っている。


来週は花江の誕生日だ。治は妻に何かプレゼントをしようと考えていた。最近の流行は全くわからないので、同僚の女の子に最近の流行を色々聞いて回る。


治「妻に誕生日プレゼントをあげたいんだけど何がいいかなぁ?全然分からないんだよー!」


「私はなんでも嬉しいですよ。例えば花1本とかでも。」


「私はアクセサリーか鞄が良いですね。普段使えるものとかならありがたいと思います。」


「今の流行りのものをあげても流行りが終われば使わなくなるかも知れませんよ?」


(なるほど色々参考になったな。自分でも色々調べてみるか!そう言えば凛は何かあげるのだろうか?)


治はサプライズでプレゼントをあげたいので花江にはバレないように準備をしていく。


仕事が終わりプレゼントを探しにいろんな店を回ってみた。花江に仕事で少し遅くなると伝えている。治はプレゼントを毎年何が欲しいか聞いてから買いに行ってたので、サプライズは付き合っていた頃以来になるので約20年ぶりだ。


【花屋さん・服屋さん・雑貨屋さん・お酒屋さん・アクセサリーショップ】など、1店舗の滞在時間は店舗一周だけと決め何店舗か探す。


時間も遅くなってきたので、家に帰ろうと駅に向かう。そこで1店の写真屋さんの前を通った。

そこには【記念日に写真をプレゼントしませんか?】と書いてあった。


(写真のプレゼントか、、、)


家に着き、リビングに向かう。リビングでは花江がソファーに座ってテレビを見ていた。


花江「おかえり。遅くまでお疲れ様。お風呂はいるでしょ?」


治「ただいま。あぁ。先に入ってくる」


何気なくスマホをテーブルの上に置き、お風呂場に向かう。するとスマホにメールが来る。画面を上に向けて置いていたので花江が何気なく見てしまった。すると女の名前だった。


【今日聞かれた事ですが、私はこれが欲しいです。】【写真が1枚送られてきました。】


文章と一緒に写真が1枚送られてきた。写真は見えなかったが、女の名前でこれが欲しいと書かれている。


(あの人浮気してるんじゃないでしょうね?)


次の日、凛の腰のあたりに痣みたいなものが見えた。もちろんのぞいたのではなく服がめくれた時に見えたのだ。


治に衝撃が走った。

(私の愛する娘が虐められてるんではないか!?)


治「凛。最近変わった事はないか?」


凛「いきなり何よ?変わった事?そう言えば彼氏ができたわ。」


彼氏が出来たことは最近少し楽しそうになっていたから気づいていたのだ。毎年彼氏ができるとわかるようになってきている。それぐらい娘のことを見ているのだ。


治「仕事場は楽しいか?何かされてないか?」


凛「まぁ楽しくはないわよ!いつも同じ事の繰り返しだし。何かされてるって何をよ?」


治「いや、なければいいんだ、」


次の日、凛の目元に痣があった。そして毎年聞いている言葉を言われる。


凛「お父さん、明日合わせたい人が居るから早く帰ってきてね。」


治「またか?お前も凄いな。その痣はどうしたんだい?」


凛「良いじゃん別に!今回の彼氏はかなり良い人なのよ。痣は友達と喧嘩して殴られたの」


(俺の愛する娘を殴ったやつを殴ってやろうか!)


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


次の日


治は定時で仕事を終わらせて家に帰る。毎回【明日は早く帰ってきてね!】と言われると帰りたくなくなる。何故なら娘はまだ結婚して欲しくないからだ。


治「ただいま。」


花江「おかえりなさい。もう来てますよ。」


治「あぁ。すぐに行く。」


治は部屋に荷物を置き、スーツを脱いでハンガーにかけリビングに向かう。


凛「お父さんおかえりなさい。」


??「おじゃましてます。健太郎と言います。」


青年は立ち上がり、お辞儀をした。


治はびっくりした。今までの2人は座ったままだったのだが、今回の青年は立ち上がり挨拶をしたからだ。


治「健太郎くん。よろしくね。」


花江「お茶でいいかしら?」


治「健太郎くんはビールは飲めるかな?」


健太郎「少しだけなら大丈夫です。」


治はこの青年とお酒を飲みたくなったのだ、


花江「わかったわ!ビール持ってくるわね。」


花江は冷蔵庫から瓶ビールと食器棚からコップを2個取ってテーブルに置く。


花江が2人分のビールを注ぎ、治と健太郎に渡す。健太郎は受け取るときに感謝の言葉と会釈をする。


(好青年だ!今までの2人とは明らかに違う!)

そんな事を考えてると凛が口を開く。


凛「お父さん、お母さん今日は大事な話があるの。」

凛と健太郎が目を合わせて頷く。すると健太郎がソファーから降り床に正座して手をつきながら


健太郎「本当は付き合ってすぐに挨拶に来るのが筋だと思いますが、来れなくてすいませんでした。。凛さんと現在真剣にお付き合いさせていただいております。今後も凛さんと一緒に過ごしていきたいと考えてます。凛さんと結婚させてください。」


言い終わると頭を深々と下げた。時間にして約1分頭をあげた真剣な顔で治を見る。


治「健太郎くん。話はわかった。ソファーに座ってくれ。」


そう言われて健太郎がソファーに座る。緊張していたのかコップのビールを一気に飲み干した。


治「健太郎くんは凛と付き合ってどれぐらいになるんだい?」


健太郎「凛さんと出逢ったのは去年ですが、付き合い始めたのは3ヶ月前です。」


花江「3ヶ月で結婚を考えてるの?まだお互いの事をよく分かってないんじゃないの?」


健太郎「結婚を前提に3ヶ月間凛さんとお付き合いをさせていただいて、結婚したら良い家庭を築けると思って今回ご挨拶に来させていただきました。今後お互いの事を知っていけば良いと思ってます。」


治「健太郎くんは凛の何処が好きなんだい?」


健太郎「凛さんは僕が落ち込んだときに1番支えて頂きました。それもありますが、明るく元気な所が好きです。結婚して、子供が生まれて、明るく楽しい家族が出来ると思ってます。」


(すごいしっかりしているじゃん。今までの2人には失礼だけど1番まともな人が来た。凛と幸せな家庭が出来そうだ。)


凛「健太郎さんとても良い人でしょ?ねー!結婚を認めてよ!」


治「いや、まだ早い。健太郎くんは凛の痣についてどう思っているんだい?」


健太郎と凛が目が合い黙り込んだ。心なしか健太郎が凛を見た時に眉間にシワが寄った。目で治は見逃さなかった。


治「どう思っているんだね?好きな人が痣だらけになっていってるんだよ?」


健太郎「私は友達と喧嘩して痣ができたと聞いています。喧嘩するほど仲が良いと言いますが、少しやりすぎかなと、、」


治「凛、本当なんだね?」


凛の方を見ると凛は俯いていた。


健太郎「友達って言ってたよね?」


健太郎が凛の肩に腕を回した。


凛「はい、そうです。」


急に敬語になり、少しばかり震えている。


治「健太郎くん、腕をはずしなさい、凛が怯えている」


健太郎「怯えている?なんでですか?僕が何がしましたか?」


治「私は凛を愛しているし、よく見ているから分かるんだ。健太郎くんも愛しているんだろ?愛してる人が怯えているのに気づかないのかい?」


凛「お父さんじつは、、、」


凛がなにか言いかけた瞬間


凛「痛い!」


健太郎「凛どうしたの?何処が痛いの?」


治「凛そいつから離れてこっちに来なさい。」


凛は治の横に座った。


治「凛今何をされたんだい?」


凛「足を思いっきり踏まれた。実は少し前からたまに暴力を振るわれるようになったの。でもそれ以外はすごく良い人で、、それさえ我慢すれば良いと思ってたし、私が悪いことしなければ良いと思ってたから、、」


治「健太郎くん今の話は本当なのかね?」


健太郎「はい。」


バンッ!!


治はテーブルを叩いた!


治「愛する人に暴力するのは絶対ダメだ!それが、妻だろうが、彼女だろうが、子供だろうが、絶対にダメだ!暴力には何パターンもある!言葉の暴力(ぼうげん)肉体的暴力(ぎゃくたい)精神的暴力(いじめ)どれも人に対してやってはいけない事なんだ。だから法律があるんだろ?何故それを平然と愛する人に出来るんだい?暴力で解決することはあるかもしれない。でも、家族になれば、話し合いで解決しないといけないことが、山ほどあるんだ!それを君は毎回暴力で解決するのかい?それで、凛や、もし産まれてきた子供が死んでしまったらどうするんだい?殺人だよ?どうしてもムカつく時はぬいぐるみを殴れば良い!最後にもう一回言うよ!【愛する人に暴力は絶対にダメだ!】」


健太郎は俯いて黙り込んでいる。


花江「私も貴方と話し合いたいことがあるわ」

誰にも聞こえない声で言う


治「お前に娘をやるつもりはない!」



▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


花江の誕生日


治はプレゼントを買って、すぐに家に帰った。

自室に入り、プレゼントのラッピングをする。初めてやった為うまくできなかった。


(気持ちがこもっていたら良いんだ!)


治「花江少し良いかな。」


治はプレゼントを隠し持ってリビングに行く。


花江「私も貴方と話し合いたい事があるの!」


治にはてなが浮かぶ。なぜなら花江が少し怒っているからだ。


花江「単刀直入に聞くは貴方浮気してるの?」


約20年間、花江しか愛していない治にとって全く考えもしない言葉だったのだ、


治「浮気なんてするわけないよ!意味がわからない!僕は花江と凛しか愛していないよ!何でそう思ったか、説明してくれよ。」


素になってしまった、


花江「すごい焦ってるじゃない?こないだ貴方がお風呂に入ってる時に携帯の画面がたまたま見えたのよ!その時に女の人の名前で、これが欲しいと書かれていたわ!」


治「あれは君に誕生日プレゼントをサプライズであげたいと思っていたから、同僚の女の子に何が良いかアドバイスを貰っていたんだよ!」


花江は驚いた顔をした。サプライズでプレゼントを貰えることもそうだが、治が焦って普通に喋っているからだ。結婚して子供を産んでから寡黙キャラを演じている治の素を見るのは【年に一度の結婚の挨拶】の時だったのに!


治「バレたならもう渡すよ。誕生日おめでとう。」


花江「ありがとう。開けて良い?」


花江の目には一筋の涙が出ていた。

袋を開けて涙は枯れ、笑いがこみ上げてきた。

中身は【凛が就職した記念に撮った家族写真がプリントアウトされているトートバックと造花のバラ1輪】


治「色々話を聞いてよく分からなくて全部混ぜたら最強だと思って混ぜたんだよ!サプライズは難しいね。」


花江「ありがとう。でも一つ言わせてもらって良い?」


治「なんだい?」


花江は笑いながら


花江「絶対に使わないわ!あと愛してるわ!」

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