凛18歳 彼の名は信二
私の名前は 橋下治40歳 少し無口
妻の名前は花江38歳 おしゃべり
娘の名前は凛18歳
3人で都心の一戸建てに住んでいる。
私は公務員をしていて、妻は専業主婦。娘は女子高生
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(少し前に彼氏と別れて元気のなかった凛
最近また元気になってきている?なにか良いことでもあったのだろうか?)
治「ただいま」
花江「おかえりなさい。お風呂沸いてるわよ。」
治「ありがとう。先に入る。」
花江「わかったわ。ご飯の支度しておくわね。」
治「あぁ。」
いつもと変わらない会話をする。
お風呂を出てからご飯を食べにリビングに向かう。するとそこには凛の姿があった。
凛「お父さんおかえり」
治「あぁ。ただいま。」
前に結婚相手を連れて来て3ヶ月は気まずい空気だったが今は普通に戻っている。
晩御飯がテーブルに並び家族揃って
いただきます!をする。
たわいもない事だが大事な時間だ。
凛「お母さん見てー!凛の今の彼氏。無茶苦茶カッコよくない?」
花江「あら、もう彼氏ができたの?」
凛「私ってモテるからね♪」
花江「どれどれ、、あらホント!アイドルにいそうな感じね。」
凛「でしょー!信二ちょーかっこいい!私と同じ年齢なんだ!向こうから告白して来たんだよ?私凄くない?」
花江「さすが私の子供ね!」
花江はたしかに綺麗だ。私が結婚できたのは奇跡だと思っている。私が言うと親バカと思われるが娘は46人の中に入ってもおかしくないぐらい可愛い。
凛「お父さんも見てよー!かっこよくない?」
治「あぁ。かっこいいな」
凛「でしょー。元彼より全然かっこいいよ!」
……。数分の沈黙。
(その話はやめてくれー!)
治と花江は心の中で叫んだ。
一方凛は携帯をいじりながらご飯を食べている。
花江「凛!行儀悪いよ?食べてからにしなさい。」
凛「良いじゃん別に!今凄い大事なところなの!」
治「凛。大事なのは分かるが、家族とのご飯も大事だぞ。」
治は家族との時間を大事にする。
大事にしたいから、将来生活をするまだ見ぬ妻と娘のために公務員になったのだ。
定時で帰れて、土日休みの仕事を探すために。
凛「分かったわよ。」
少しふてくされながら携帯をテーブルに置き、ご飯を食べ始める。
それでも話す事は彼氏のかっこいいと言うノロケ話だった。
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ある日の夜、治は高校時代からの友人とご飯を食べる約束をしていた。待ち合わせ場所に向かっていると、見たことのある若者が歩いている。
(あの子、、凛が見せてくれた子にそっくりだな。)
信二だ。
信二が女の子と歩いている。それもものすごいギャルだ!何かの間違いかもしれないと治は思った。なぜなら凛と付き合っているのだから。妹かもしれない!と思い込むことにした。
「マジ卍!」
ギャルと信二が大声で叫んでいた。
(マジ卍??マジ吉祥の印ってどう言う意味なのだろうか?まさか!あの子の体にもブッダ同様卍が現れたのか!!凄いことなのではないか!)
??「橋下ごめんよー!待ったか?」
治「おー!貴之全然待ってないよ!店そこだし行こうぜ!」
居酒屋に入り適当に頼んで料理が来るのを待つ。
貴之は高校の時からの親友である。
治の本性を知る数少ない人物
貴之「お前ってそういえば、家ではまだ寡黙キャラ演じてるのかよ?」
治「そうだよ、、超しんどいわ!外では寡黙キャラで家では喋るなら分かるけど、逆だからね。」
貴之「なんでそんなに演じるんだよ、しなくても良いじゃん、」
治「俺って父親いないじゃん?だから父親ってのが家でどんな状態でいるかがわからないんだよ。テレビとかで威厳のある父親ってかっこいいだろ?だから演じたいんだよ!」
貴之「でも今のお父さんって大体フレンドリーな人多いんじゃないか?威厳のある父親はかっこいいか分かんねーけど、娘からしたら話しづらいんじゃないか?」
治「そうなのかなぁ?でもずっと18年もこんな感じだしなぁ。それは置いといて聞いてくれよ!さっき待ってた時「マジ卍」って言ってる人たちが居たんだよ。吉祥の印がでる人っているんだな。」
貴之「お前本気で言ってるのか?マジ卍の意味を調べてみろよ!驚愕するぜ!」
スマートフォンで意味を調べてみる。
(なに、、意味がない、、、?)
治のキョトンとした顔を見て、貴之は笑いが止まらない。
2人はたわいもない会話で盛り上がった。
治「じゃあもぉ帰ろうか!」
貴之「そうだな、また飲みに来ような!」
治は千鳥足で家に帰る。玄関の前に着き酔いを覚ますために顔を叩く。
(よし!)
治「今、帰ったぞ。」
花江「おかえりなさい。」
治「風呂は明日入る。今日は寝るよ。」
ドンドンドン!
凛が勢いよく階段を降りてきた。
凛「お父さんおかえりなさい。明日紹介したい人がいるから早く帰ってきてね!」
ドンドンドン
凛が勢いよく階段を上っていく。
(この感じ知っているぞ!ヤバいやつでは無いのか?)
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次の日治は定時に仕事を終わらせ家に帰ってきた。
ガチャ。玄関を開けると見たことない男性の靴がある。治は靴を脱ぎリビングに向かう。そこには、お茶を飲みながら花江と凛と楽しく話す男性の後ろ姿があった。
花江「あなたおかえりなさい。」
治「ただいま。そちらの方は?」
凛「昨日言ったじゃん!会ってもらいたい人がいるって!」
すると男性が振り返り挨拶をしてくれた。
信二「お父さんおかえりなさい。お邪魔してます。信二って言います。」
(はい!2点言いたい事があります。1点目君にお父さんと言われる筋合いはない事。2点目昨日ギャルといた青年じゃん!)
治「信二くんだね。よくきたね。」
凛と信二は目を合わせ、ニコニコしている。
凛「お父さん座って。話したいことがあるの。」
治は凛と信二の向かいに座る。
治「話とはなんだね?」
信二「お父さん。今、凛さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいております。凛さんを幸せにします。凛さんと結婚させてください。」
(去年も同じようなことがあったな、)
治「仕事は何をしているんだい?」
信二「接客業をしています。」
治「接客業?なんのだい?」
信二「言わないといけないでしょうか?」
治は黙って頷く。
治「結婚するのに、私たちに言えない仕事をしているのかい?」
信二「ホストしてます。」
凛がびっくりした顔をしていた。知らされてなかったのだろう。
凛「聞いてないよ!自分の店を開いてるって言ってたじゃん!」
信二「18歳の俺が店は開けないよ!」
治「なんで嘘をついていたんだい?」
信二「最初は言おうとしたんです。ただ、一回見栄を張って店開いてるって言っちゃって、、、そしたらズルズルいっちゃって、嘘に嘘重ねて、、でも凛と付き合いたかったんです!好きだったんです。」
(凛ってそんなにモテるのか?我が娘よ!父は誇らしいぞ!)
治「未成年でホストをしてお酒とか飲んでるんじゃないか?」
信二「お酒は絶対飲みません。あとタバコも吸ってません!そこは自分のポリシーとして、守ってます。」
信二は真剣な顔をしていた。治は嘘をついていないと直感で思った。
信二「今は全然下の方ですが、いずれNO.1になります!だから凛さんと結婚させて下さい。」
治「ん?無理だよ?ホストやってるやってないはどうでも良いんだよ!ホストの大変さはテレビや色んな人から話を聞いてるからね。むしろ凄いと思ってるよ!そんなことより、嘘をついていたのが問題なんだよ!結婚したい相手に嘘ついて、相手の家族にも嘘ついて、そんなにホストやってる事が恥ずかしい事なのかい?」
信二「恥ずかしくなんかない!誇りを持ってやっているんだ!」
治「それで良いじゃないか!そこで嘘をついて結婚してバレないと思ってたのかい?結婚した後にもしバレたらどうしてたの?嘘つかれたと思って、凛はきっと詐欺に引っかかったとさえ思うかもしれないよ?」
信二は真剣な顔をしていた。
花江「ちょっと良いかしら?信二くんが真面目な方というのは伝わってきました。私は別に彼氏がホストをやっていても全然大丈夫よ。ただ嘘をつかれてた方の気持ちが貴方にはわかるの?」
信二が俯く凛の方を見て、ハッとする。
信二「凛、、ごめんな!俺が悪かったよ!」
凛「大丈夫。ホストを黙ってたのは悲しいかな。ホストだとしても、信二のこと嫌いになるわけ無いじゃん!」
治「嘘をつくのは良くない。でも嘘を認めて謝ることは素晴らしい事だ。信二くんは出来たがお前に娘をやることは出来ない!」
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凛もこれで懲りただろ。
次こそは良い男を連れてくることを祈っておこう!