デスティニーだ
遅くなりました。6話です。
「....はい、じゃあ各々でチラシの中身を考えましょう。後から1人づつ発表していく感じで」
はぁ....疲れた、この話に戻すのに30分かかった。
2人とも仲悪すぎ。放送禁止用語バリバリ使ってたし。
さすが元勇者と元魔王。絶対に相容れない存在....まるで水と油だね。
....上手いこと言ったわ、俺。
「分かったわ」
「りょーかーい」
2人とも落ち着いたな。
んじゃ、
「制限時間は2時間です」
「はい」
「はーい」
スマホのタイマーを2時間にセットする。
「よーい」
「....」
「....」
「スタート」
ーーーーーーーーーー
「はい、そこまでー」
2時間経ちました。
「2人とも出来ました?」
「出来たわ」
「ハァ....ハァ....なんとかね。瑞稀は?」
金髪先輩が息切れしながら尋ねてくる。
息切れするほど疲れたの? 大丈夫かよ。 チラシにどんだけ体張ってんだよ。プロかよ。
「ばっちぐーです」
「じゃあ、誰からいく?」
金髪先輩がソワソワしてる。
....最後にしてやろ。
「じゃあ、僕からで」
先手を取り、後からくる個性的な波に飲まれないようにする俺の必勝パターン。
頭のネジぶっ飛んでるからな、この2人。最初にやっておかないと逆に恥かいちゃうからなぁ。
「じゃあ、瑞稀くんが最初ね」
「それじゃあ、失礼して」
机の上に紙切れを置く。
至って普通のチラシだ。学校紹介から始まり、代表の言葉、校長先生の言葉....言葉は俺が考えたんだけど。聞きに行ってくる時間な無かったし........時間制限した俺が悪いんだけどね。
あと、適当に撮った校舎の写真と、生徒達の写真も貼っといた。
完璧や、ペキカンや。
「瑞稀くん」
「瑞稀....」
「はい。なんですか? 」
先輩達が、見つめてくる。
お、これは....。
「「却下」よ」
....は?
「なぜ?」
なんでだ。至って普通のパンフレットの筈だ。
代表の言葉も校長の言葉もそれっぽく書いた筈だッ。
「このチラシ右下の『巨乳達大集合』って何?」
凛音先輩が訊いてくる。
....ああ、それか。
「アクセントですよ」
「瑞稀くん、このチラシはスポーツ新聞じゃないのよ。女子みんな引くわよ」
「瑞稀の変態っ。やっぱり頭のネジぶっ飛んでるじゃないのっ!」
人のこと言えんだろこの、ポンコツ魔王。
撤回しろ。頭のネジはぶっ飛んでねぇ。変態は認めるけど、頭のネジはぶっ飛んでねぇ。
「よって却下よ」
「却下ねっ」
「いや、ちょっと待ってください。他の部分は....」
「『巨乳達大集合』に全て持ってかれたわ....瑞稀くん、諦めなさい」
恐るべし『巨乳達大集合』。アクセントが効きすぎた。
「でも、私的には悪くないと思うわ」
「凛音先輩....」
女神....。
いや、勇者だわ。
「瑞稀くんは巨乳が好きなのよね?」
「はい」
「そう....フフッ」
凛音先輩がニヤついてる。エロい。
「ここぞとばかりにポイント稼ぎにくるんじゃないわよ。空気勇者」
「貴女は黙ってなさい。豚魔王」
おうふ。
気ぃ抜いたらすぐ喧嘩するんだよね。もう、止めるのもめんどくさくなってきた。
「ふたりともー、ケンカはやめてくださーい」
もう声も張ってないよ。
「わかったわ」
「りょーかーい」
....直ぐに止まるんだったらやんなや、ポンコツ共。
ーーーーーーーーーー
「次は誰行く?」
金髪先輩がまたソワソワしてる。あれは今すぐ発表したい顔だ。でも、残念だがアンタは最後だ。これは決定事項だ。デスティニーだ。
「凛音先輩で」
「じゃあ、私ね」
「むー」
可愛くむくれてもダメだぜ。金髪先輩。
「はい、どうぞ」
凛音先輩がチラシを机に置く。
えーっとなになに....『代表の言葉』と『校長の言葉』、右下に学校紹介があって、所々に写真が貼ってある。
おお、いいじゃん。悪くないよ。
....ただ1つ訊きたいことがある。
「なんで、貼ってある写真全部に僕が写ってるんですか?」
「気のせいよ」
「そうですか。気のせいですか」
な訳ねぇだろ。
「....」
「....」
「....」
「....」
なるほど、これが目力ってやつか。ハンパねぇぜ。
でも、そんな見つめられても答えは変わんないよ?
「凛音先輩」
「何かしら?」
「却下です」
キメ顔で言ってやった。
多分、後で修正します。
※パンフレット→チラシに変更しました。