表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

マジで殺る人の目じゃん

4話です

  「冗談よ」


  「アンタが言うと冗談に聞こえないのよ」


  凛音先輩の『帰ってもいい?』発言は、冗談だったらしい。

  ....割とマジっぽかったけど。ていうか多分マジだ。


  「瑞稀」


  「はい、なんですか瑠天先輩」


  金髪先輩が僕を見つめてくる。

  なんだよ、突然。ビックリしたぁ。


  「じゃあ....語っていい? 」


  金髪先輩が上目遣いで尋ねてくる。

  ....なんでこの人はこんなにも揶揄いたくなるんだ。


  「じゃあ、おねだーー」


  「殺すぞ」


  「ーー了解でーす」


  こっわ、マジじゃん。マジで殺る人の目じゃん。さっき気絶して人とは到底思えねぇ。


  「手短に済ませるから、ちゃんと聞いて」


  「はい」


  「そこの腹黒勇者も」


  金髪先輩が、凛音先輩を指差し、そう言った。

  だからなんで煽るの? 前までそんな仲悪くなかったじゃん。どっちかっていうと仲良かったじゃん。

  ....もしかして、アレ全部演技だったの? こっわ。女の人こっわ。


  「誰が腹黒ですって?」


  「アンタしかいないでしょ、この根暗勇者ッ」


  「ふんッ!....ゲロ魔王」


  あぁぁぁ、みーずかーけろーん。

  早めに止めないと、またポルターガイスト起きちゃう。


  「あ゛?」


  「あ゛?」


  「喧嘩、ダメ。絶対。ですよ二人共」


  「ふんッ」


  「はんッ」


  「....」


  「....」


  ....。


  ........。


  ................。


  ....あれ、終わった。なんだ疲れたんか? ....まぁいいか。

  さっさと武勇伝聞いて帰んないと....急いで帰ればギリギリ....あぁ、ダメだ....木綿カイザーの放送時間過ぎてる。

  ....あぁ、死にたい。


  「........それで、瑠天先輩の武勇伝っていうのはどういう話なんですかー?」


  「なんでそんな死にたそうな目してるの?」


  「なんでもないですよ瑠天先輩」


  「ホント?」


  「はい。 大丈夫なんで、早く話してください」

 

  「この一瞬で何があったの? まぁ、いいわ....コホンッ」


  金髪先輩が咳払いをする。


  「我、『魔王ヶ原 瑠天』は魔王であるっ!!」


  手を『バッ』ってやって決めポーズ。

  なんだ? エアマント? はためかせてるの? まぁいいや、興味ねぇから。


  「それは、さっき聞いたんでいいです」


  「やっぱテンション低いわよね。アンタ」


  「そんなことないですよ。 ヒャッハーおっぱいおっぱーい」


  「元気そうね」


  バカかよ。


  「それじゃ、始めるわね」


  「はい、どうぞ」


  「ワタシはね、カグラで生まれたの」


  「はい」


  さっき聞きましたって言ったら、次は多分、機嫌悪くなるから言わないでおこう。


  「正確には生まれ落ちたって感じね」


  「ご両親は?」


  「カグラには居ないわ」


  「はぁ....」


  魔王様、生まれながらハードモードだな。


  「そこでコモドドラゴン殺したり、スライム殺したりしてたわ」


  「リアルとフィクションが混ざってますね」


  「フィクションじゃないって」


  「冗談ですって」


  「あっそう」


  「そうです。それで、殺した生物達はどうしたんですか?」


  「喰ったわ」

 

  やっぱりね。

  やだわぁ、魔王様ハードコアぁ。


  「美味しいんですか? コモドドラゴン」


  「絶品よ」


  「スライムはどうですか?」


  「ワタシは焼きスライムより、スライムの刺身の方が好きね」


  『刺身の方が好きね』って....基準が分かんねぇよ。食ったこと無ぇよスライム。


  「それでその後、すくすく育って、最終決戦して、次元の狭間に吸い込まれてここに来たわ」


  「端折り過ぎじゃありませんか?」


  「アンタが言ったんでしょ?『手短に』って」


  そうですね、俺のせいですよね。すんません。


  「すいません。そんなに端折るとは思わなくて....あるじゃないですか、えーっと........あ、 ほらっ! 悪魔四天王とか!」


  「アイツらは有象無象よ」


  ですよねー。


  「やっぱり有象無象なんですね。四天王なのに」


  「そうよ」


  扱い酷くないか? 悪魔四天王。


  「アイツらは只の劣化コピーよ」


  「なるほど」


  更にポンコツってわけか。手ぇつけらんねぇな。


  「他に訊きたいことは?」


  「ここに来て、不自由だった点とかあります?」


  「住処ね」


  「あー、ですよね」


  「最初の2週間はホントに死にかけたわ....アスファルトって思った以上に冷たいのね」


  金髪先輩がレイプ目だ。相当キツかったんだろう。


  「それから殺し屋のバイトでお金貯めて、今はマンションで一人暮らししてるわ」


  「へぇ、殺し屋のバイトしてたんですね........え?殺し屋?」


  「大丈夫よ。もう足を洗ったから」


  いや、怖ぇよ。さっきの目は殺る人の目じゃなくて、既に殺った後の人の目なのね....どおりで怖ぇわけだ。

  ....それを気絶させた凛音先輩はもっと怖ぇのか。何者なんだ? あ、勇者でした。


  「凛音先輩は何かありますか?」


  「........」


  「....」


  「....zzzZZZ」


  あー寝てやがるー。


  「先輩。凛音先輩」


  揺すって起こす。

  ....寝顔可愛いー。あと、やっぱエロいなぁ凛音先輩。


  「んんっ〜〜んはぁっ....あら、寝てたの?私」


  「はい、ぐっすりと」


  「そうなの?」


  「はい。寝顔可愛かったです」


  あとエロかったです。ご馳走さまでした。


  「そう?ありがとう」


  「こちらこそ」


  「え?」


  「え?」


  ーーーーキーンコーンカーンコーン


  ーーーー下校時刻です。さっさと家に帰ってミルクでも飲んでやがれ、です


  「....うちの下校の放送個性的すぎませんか?」


  「慣れたわ」


  「慣れた」


  「さいですか」


  「じゃあ、帰りましょうか。瑞稀くん」


  凛音先輩が、カバンを肩にかけながら言う。


  「帰ろー。瑞稀」


  こっちは金髪先輩。


  「あ、はい」


  訊きたいことはまだあるけど。明日でいいか。また部室で訊こう。

  んじゃ、帰るとするかね。




 



 


 


 

 

 

 

 

木綿カイザーってなんなんでしょうね。

瑞稀くんに訊いたら、今年で20周年なんだそうです。

....だからなんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ