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予兆

 維織町は戦後に紡績業で発展した小さな町だ。最近は過去の妖怪伝説を引っ張り出して観光客を集めようとしているが、イマイチ上手くいっていない。

 学生の間で密かにその原因とされているのが、定島 貞治(じょうじま じょうじ)の存在だ。

 定島 貞治は維織町一番の不良だ。俺と同じ学校のひとつ上の先輩だけど、ダブってて歳はもっと上らしい。

 悪い噂が絶えなくて、隣町の女の子を輪姦しただとか、女教師を脅して犯して辞めさせただとか、親が金持ちの県議会議員でなにをしても揉み消せるだとか、エトセトラ、エトセトラ。

 俺なんかじゃとても太刀打ちできないし、戦おうとも思わない。

 それでいいんだ。俺なんかとは住んでる世界が違う人間なんだろうから。

 おっと、自己紹介が遅れたな。俺は三島 道尋(みしま みちひろ)だ。去年から付き合ってる可愛い彼女が居るんだけど、ここのところしばらく会えてない。いろいろ問題があってさ。解決しようと頑張ってるんだけど、なかなかな。



 最近は女を孕ませるのにハマっている。孕ませた女は堕ろさせる。たまに生みたいとか言い出すが、知ったこっちゃない。

 この町は俺のテリトリー。欲しいものはなんでも手に入れるし、そのためならなんだってする。

 それがこの俺、定島貞治だ。

 今欲しいのは新しい女。先週堕ろさせた女が首吊って死にやがったからだ。まあ俺に疑いが向くことはないからいいけど。

 今日も午後の授業はフケて屋上でサボってたらいつの間にか放課後になってた。ここからは校門がよく見えるから、学校の女を物色しやすい。

 この学校のいい女はあらかた手を出したが、今年に入ってからは隣町の女ばっかり狙ってたから知らない顔も結構居た。

 久しぶりに清楚系の女がいいな……おっ、あいつがいいな。

 校門で誰かを待っているのは焦げ茶色のロングヘアーの女だ。待ち合わせをしてるのは、友達か、彼氏か――

「お待たせ~!」

 噂をすれば影。女に手を振りながらやってきたのは――生徒会の三島だ。二年のくせに副会長なんかやってる生意気な奴。そうか、三島の彼女か。

 あんな奴が彼氏じゃあの子も可哀想だ。俺の女にしてやった方があの子も幸せだろう。

 三島が彼女と手を繋いだ。傑作だ。あいつの手が震えてやがる。とんだヘタレ野郎だ。

 決めたぜ、次の狙いはあいつの彼女だ。久々に他人の彼女を寝取るのも楽しいだろう。

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[一言] おっ人型ゴミやん
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