子供達
「店長、調査員って方はいつ来るんですか?あれ?店長、大丈夫ですか?」
明日香ちゃんはカドを抱えて、こちらを心配そうに見た。
「不動産屋が逃げたからな……それよりもね。」
そうして指さしたのは子供になった二人だった。
「あれ?いつの間にか子供が?どうしたのかな?」
二人に歩み寄り、優しい声で聞いた。
「もしもし~。二人はどうしたのかな?迷っちゃった?」
初めて聞く声であった。母親みたいな。
「なんださっきの女じゃないか。なんだその子供に聞くような言い方は。馬鹿にしているのか?」
「そうですよ。他人になったみたいな。……他人?」
何かに気づいた様にゼニスは自分の腕を見た。
「なんという事だ!おい!お前も自分の腕を見ろ!」
「何をそんな慌てるんだよっ……え?」
二人は顔を見合わせて叫んだ。
「「子供になってる!?!?」」
「店長、あの子供達変ですよ。私の事知ってるし。」
「いや、実はあの子供達は異世界から来た二人なんだよ。」
「何を言ってるんですか。やっぱり店長休んだ方が良いですよ。」
くるりと振り返って、明日香ちゃんは箒を持った。信じていないみたい。困ったな……
子供になった二人はただ見つめあいをしている。パニック状態なのだろう。
困っている所へ誰か来た。
「あら、かわいい子供たち。何処から来たのかしら。」
と、膝を曲げ目線を合わせる人物。性別は女性だった。
「子供じゃない!!アゼル=サライの弓使いだ!」
「今の姿は子供だぞ。」
「アゼルサライって……君、何処でそれを?」
「は?自分の生まれた国を知らない馬鹿がいるか。」
女性は頭に手を当てた。
「ま、子供はほっといて中でお話しをするか。」
中に入り、「こんにちは。」と言った。
「こんにちは」と丁寧に返すと女性は嬉しいそうに
「申し遅れました。私、海野なぎさとゆう者です。ダンジョンの調査員をしています。話は不動産屋の方からお聞きしました。ダンジョンはどちらですか?」
と、話した。
「ああ。貴方が調査員ですか。ダンジョンならあちらですよ。危険なのでお気をつけて。」
と、普通に言ったら女性は廊下の奥に走って行く。慣れているのだろう。鼻歌が聞こえた。
「喉が乾いた……」
子供になった弓使いはどつくようにそう言った。