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知識

「おはようございます!今日は営業出来そうですか?」

「ああ。なんとか……が、その前に不動産屋を呼ばないと。」

「じゃあ私、掃除しますね!ところでゼムって何食べるんでしょう?名前はカドちゃんにしようと思ってるんですけど。」

そう話し、掃除用具入れから古い木の取手のモップを取った。

「野菜の切れ端とか?てかカドってそのままだな。」

僕は電話のボタンを順番通りに押す。

「野菜の切れ端ですか….…ん~。何かな~。」

話しを聞きながら、不動産屋に電話をかけた。


それから不動産屋が来たのは数十分後だった。


「いや~すいませんね。見たことない廊下が出現するなんて。」

「いやいや。こんなのよくありま……せんね。」


不動産屋は廊下を見て、絶句した。まあ、そうでしょうね。


「それに驚くのは廊下が現れた事じゃないんですよ。」

「ふえ?ま、まだ何か?!」


一応、包丁は握る。何かあったらこまるからな。そして、廊下の奥に歩いた。


「付いてきてください。」

「え?いきなり包丁、握ったと思ったら何なんですか。」


不動産屋はまだ知らない。この先にある驚愕の光景を


「ここですね。」


不動産屋は何も喋らなかった。ダンジョンに驚愕しすぎたのだろう。


「いや~困るのがですね、勇者やらモンスターやらが入ってくるんですね。危なくて危なくて……って、聞いてます?」


依然として不動産屋は喋らない。しかし、


「調査員に任せます。」


と言って「え?」と見たら、既に居なかった。調査員って何だ?

まあ、そんな事気にしてられないので店に戻ろうとしたその時、ダンジョンから音が聞こえた。

直ぐに行こうと思ったが、一旦店に戻って栄養ドリンクとバナナを一本持っていった。なんだか不安だったからだ。あ、包丁は置いていった。考えてみたらモンスターに包丁が効くわけないからね。

そして、ダンジョンに入る。実は奥まで進むのは初めてだ。前回は怖くてちょっとしか進めなかったからな。

中は暗かった。真っ暗では無いが、少し見にくいぐらいの暗さ。こんな所で戦ってるのかと思うと、なんだか怖くなってくる。音がした方向に恐る恐る歩いていくと、誰かが倒れてるのを発見した。

近づいてみると、周りに二人居た。どうやら必死で呼びかけてるらしい。何故か何にも聞こえないが。

……じゃあ、何も出来ないじゃん!!

どうする?コミニュケーションが出来ないんじゃお手上げだが……

こうなったら……

倒れている一人を運んで連れ去った。するとどうだ、他の二人も追いかける。そうだ。このまま店に走ろう。そうすれば何とかなる筈!で、問題は……

後ろを振り返ると、一人が弓を構えている。死ぬな。と確信したのだが、弓は飛んでこなかった。


「はぁはぁ……な、なんとか着いた。ここまで来れば……」

抱えていた一人を床に置いて、座った。


「店長……また、男を誘拐ですか?いつか捕まりますよ。」


座っている僕に向かって、明日香ちゃんは毒舌を吐いた。


「しかも、一人じゃないし!誰ですか!貴方達は!」


着いてきた二人は怒るように自己紹介をした。


「お前達こそ何なんだ!こんな所連れてきやがって!俺の名はアクレ・ギアス!アゼル=サライ1の弓使いだ!」

「落ち着け。アクレ。それに着いてきたのは僕達の方だろうが。あ、申し遅れました。僕はゼニス・バグリットと言います。」


アゼル=サライは多分国だろう。そこは分かる。しかしだ……二人共、名前が覚えにくい!DQNネームにも程がある。


「ああ。宜しくお願いします。で、この連れてきた男はどうすればいいんでしょう。」


困った顔をして、連れてきた男の顔を眺めた。美形だ。控えめに言って美形じゃないか。アイドルでもやった方が良さそうな気がする。


「それは心配いらない。ただ。腹が空いてるだけだから。何か食べさせてやればいい。」


アクレはいつの間にか椅子に座っていた。偉そうに命令するその姿にちょっと怒ったりもした。

とりあえず何か……そうだ。バナナだ。バナナの栄養価は非常に高く、あの魔王様も食べたと噂される。

それは置いといて。とりあえずバナナを一切れ口に入れた。割と綺麗な口だ。唇の輝きは牡丹の花のようだった。


「しばらくすれば起きる。それまでこの世界について何か一つでも知りたいのだが。」

「そうだな。外にでも出てみるか。すいません。ちょっと外に出たいのですが、出口は何処ですか?」


ドアの方向を指さした。だが、直後に感じた嫌な予感……それはすぐに分かった。


「お~見たことない光景だ!あれ?なんか変な気分だ……」

「確かにそうだな。体が変化していくような。ん?あ、あれれ!?」


なんと二人は子供化してしまったのである。服はコチラの服に変わっていた。

まためんどくさい事になったな。と、コッソリ泣いた。

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