布団ってそんなに!?
疲れたので店は早めに閉める事にした。
てかずっと閉まってたけどね。
明香ちゃんも帰ったし、僕は二階で休むことにする。
不動産屋に相談するのは明日でいいや。
階段を上がり、部屋に行こうとしたその時!
廊下から音がした。
「な、なんだ!?」
急いで向かって見ると……
「痛たた……くそっ…滑った。」
そこには勇者のグラくんが居た。
「ぐ、グラくん!?いきなりどうしたんだ!それにその女の子は?」
腕には女性を抱えている。眠ってるのか気絶しているのかよく分からないが、とにかく目を瞑っている。
「説明は後だ!あれだ!あ・れ!」
「あれって何!?」
「ほら、俺に飲ませたのだ!」
ああ!栄養ドリンクだ!前に飲ませた。すぐさまカウンターの裏側に回り、栄養ドリンクのビンを取った。
回復するのか?疑問に思った。だが、気にしてはられなかった。
とりあえず飲ませてみる。
「……起きないな。」
「ああ……やっぱりちゃんとした薬の方が良いのかな?」
「いや、それは無い筈。この栄養ドリンクとか言う奴は非常に効くからな。休めば大丈夫だと。」
「とりあえずここはまずい。二階に行こう。」
その時、グラくんの顔が変わった。
「……なんか心配だから、俺も行く。」
勘違いだ。なんだか悲しい……
落ち込みながら二階に上がった。
「とりあえずここに寝かせてっと……」
「寝かせる?」
「君、違う意味想像してるだろ!失敬な……」
そりゃ男ったらそんな事もしちゃうだろうけど、今はそんな事しない。以外にムッツリなの?この子は……
「異世界の部屋に入ったのは初めてだな。なかなか興味深い。おい、これはなんだ?」
手に取ったのはクラシックギターだった。俺は押し入れから布団を取り出しながら、応えた。
「ギターってんだよ。音が出るんだ。」
「え?音が?んな馬鹿な。この糸と木から?」
じと~っとギターを眺めている。知識の無い勇者とは赤子の様だな。
「よいしょっと。ちょっと貸してみな。」
取り出した敷布団を畳に置いて、ギターを持つ。
まず押さえた音はCコード。ドに当たる部分。
「うわぁ!ほんとに出た!?魔法か?!」
「魔法じゃないよ。説明はめんどくさいからしないけと。」
「異世界とは不思議だな……」
ギターを置いて布団を広げる。そこに女の子を寝かせた。赤い鎧だ。この子も勇者なんだろうか。
「疲れたから俺も寝るぞ!もう一つ出せ!」
「はいはい。」
反対側にもう一つ布団を敷いた。
「あ~良いな。この柔らかい物は良いな~!」
「布団……って!寝てるし!俺、何処で寝るんだよ!!」
布団が取られたから真ん中で寝るハメになった。