表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

take2 サンタクロースの超人ぶりについて

子どもの頃、多くの人が疑問に思ったのではないでしょうか。

(居間。母親はソファでセーターを編んでいる。息子はその足元で絨毯の上に座っている)


息子「あのね、サンタさんてすごいんだよ(最近飼い始めた猫を撫でながら、にこにこと)」

母親「凄いの?」

息子「うん。だって、ほしいものをくれるんだって。どうして、ぼくたちのほしいものが分かるのかなあ?」

母親「さあ……。たまには外れることもあると思うけれど」

息子「きっと、ちょーのーりょくがあるんだね」

母親「(やや面食らって)ちょー……超能力?」

息子「それで心をよむんだ」

母親「(何と答えるか迷うように)……もしかしたら、そうかもしれないわね」

息子「それにね、せかい中の子どもにプレゼントをくばるんだって。夜の間にぜんぶの子どもにくばれるのって、すごいよね」

母親「そうね、凄いわね」

息子「きっとしゅんかんいどうできるんだ」

母親「瞬間移動……? ママは、トナカイのソリに乗って空を飛ぶと聞いているわよ」

息子「うーんと、じゃあ、ぶんしんだ」

母親「分身? 確かにそれなら、みんなの荷物を一度に持たずにすんで楽かもしれないわね」

息子「あ、そうか。ぜんぶもつとおもくてトナカイさんがかわいそうだもんね」


(息子は納得したように何度かうなずくが、すぐにまた口を開く)


息子「あのね、サンタさんはえんとつから家に入るんだって。えんとつって何? えんぴつとちがう?」

母親「ええと……煙突というのは……、まず、暖炉というものが家にあってね、その中で火を燃やすの。そうすると煙が出るでしょう? その煙を外へ逃がすために、太い筒を屋根の外まで伸ばしてあるのが煙突よ」

息子「うちにはえんとつ、ないよね? どうしよう、サンタさんが来なかったら」

母親「大丈夫よ、ゆうくんは今年もちゃんといい子にしていたもの。去年もちゃんと来たでしょう? ……そうね、もしかしたらサンタさんは瞬間移動もできるのかもしれないわよ」

息子「すごいね」

母親「そうね」

息子「(急に沈んだ様子でうなだれる)でもね……、サンタさんなんて、本当はいないんだって。サンタは本当はパパなんだって、けんちゃんが言ってた」

母親「…………」


(母親は、編み続けていたセーターを脇に置いて、息子の顔を見つめる)


母親「……分かったわ。本当のことを教えてあげる。あのね、サンタさんは、ちゃんといるわ。でもね、サンタさんは本当は、超能力も、分身の術も、瞬間移動もできないの。ゆうくんが言った通り、サンタさんのお仕事はとっても大変だから、サンタさん一人だけではとてもこなせないの。だけどね、サンタさんのお仕事は凄く大事だから、世界中のパパ達が、サンタさんのお手伝いをしているのよ」

息子「そうなの? パパも?」

母親「ええ、そうよ。でもこのことは秘密なの。ゆうくんは誰にも言っちゃいけないわよ。それからパパにも、ゆうくんがこのことを知ってるって気付かれちゃダメよ」

息子「なんでー?」

母親「サンタさんは子供達みんなの夢だから。パパは子供達の夢を守るために頑張ってるのよ」

息子「……そうか、みんなのゆめをまもるのが、パパのゆめなんだね」

母親「(息子の発言に目を瞠る)ええ、そうね。つまりそういうことね」

息子「わかった。じゃあパパのゆめは、ぼくがまもるよ」

母親「いい子ね(感激して息子の頭をなでる)」


(ピンポーン、と明るいチャイムの音)


息子「あ、パパだ(素早く立ち上がり、玄関へ走る)」


(息子が玄関のドアを開け、父親が家に入ってくる)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ