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フィロソファー

 Meaning of life……人生の意味。


 私は人生の意味などないとは思わない。

 人生は人間だけが持つものであり、それ自体が生きる目的を持つからだ。

 目的はその”モノ”が存在する意味である。

 そういう考え方を有しているが故に、この点だけで言えば私は実存主義に沿っているのかもしれない。


 だが、この我々が住まう世界に対しては別だ。

 村も街も国も世界も地球も星々も宇宙も……そして無すらも存在に意味がない。

 ただ存在しているだけなので、価値を付加しようにも出来ないのだ。

 物理的に生産的な活動を行う存在であっても、関係がない。

 目的を持たないから、意味がないのである。

 その点で見れば、これはニヒリズムである。


 何かに意味があるかどうかは、その存在が目的を持っていなければ成立しない”人間の考え方”である。

 目的がなければ、存在の意味はない。


 人間が生きていられるのは、地球という星や、その周りに存在する宇宙空間という土台があるためである。

 その土台の上で、法則が万物の幾兆の動きやそれに伴う結果を生み、世界を目に見えないほどの粒で構成している。

 量子力学である。

 その世界の中で、人間や生命は生きている。


 ならば、世界があるのは人間の……命のためなのだろうか?

 いや、違う。

 人間などいなくても、この世界は存在し続けるからだ。


 人間は勝手にこの世界で生き、勝手に苦しみ、喜び、勝手に死ぬ。

 全て、人間で始まり、人間で終わるのである。

 人間など、そんな程度の”モノ”でしかない。

 人間とは、ただの世界の排泄物の一部だと思った方が良いのだ。


 人間は生きている。

 自分のためだ。

 自分の他に他人が存在し、互いに共存を図っている。

 共存を図り、獲物を探す。

 他の動物達だ。


 生命は他の生命を食うことでしかその存在を維持出来ない。

 だから生命の循環が行われている。

 従って、食物連鎖も誕生するし、動物と植物との間で分解と再構成、そして再提供の図式が出来上がる。

 その全てを支えるのは、地球だ。


 全ての資源は地球から得られる。

 土や海などがあって初めて得られる貴重なもの。

 だが、これらは地球のみで作られることはない。

 太陽による熱源や、月による潮の満ち引きがなければ、地球の資源は急速に減少していくだろう。


 その太陽や月はかつて無数の隕石から構成されたものであり、ただの宇宙の破片に過ぎない。

 太陽系があり、銀河系があり、それら全てを包む風船のような宇宙があり、さらにその外に有限という言葉が存在しないかもしれない無の世界がある。

 そこから先の世界は、人類には知覚しようもない。

 人類は必ず、宇宙の外の領域まで進出する前に、滅ぶだろう。

 99.99999999999999999パーセントの確率でだ。


 だが、人類が滅んでなおも世界は続いていく。

 世界の存続に人類は関係ないからだ。

 地球も、星々ですらも。


 人間の生きる意味は、人間の目的によって確立される。

 だから恋や友情も愛も”人間にとっては価値あるもの”だ。

 その点で、実存主義。


 だが、世界には意味がない。

 存在する意味がない。

 ただ、そこにあるだけなのだから。

 その点で、ニヒリズム。


 だから、主観的な意味合いで言えば、人間は存在する意味があるだろう。

 でも、客観的な意味合いで言えば、世界に生かされている人間は存在する意味がない。

 何故かと言えば、世界自体に意味がないからである。


 世界の法則は、目的なきシステムではあるが、それでも複雑で、美しい。

 それをただ眺めることしか、人類は出来ないのだ。


 狭い地球の中で、土地を奪い合い、金銭に執着し、宗教に入信し、社会に翻弄され、それでもみんな死ぬ。

 世界はそんなどうでも良いことは、知らないのである。

 人類になんか、これっぽっちも興味はないのである。


 人間が生きようとするのは、それでもやはり消えたくはないからだ。

 生きていたいからだ。


 人は希望を欲する。

 家族や、金銭や、宗教や、仕事。

 その上で自分の生きる理由を……アイデンティティを得ていき、自己確立を成していくのだ。


 多くの者は、生きる理由を考える。

 そして、勝手に作り、勝手に生きていく。

 だが、人生に翻弄され目的を失い、ニヒリズムに染まった者は、自殺することもある。

 哲学する者で自殺する理由。


 そのどれもが無意味だ。

 だから全てが正しいし、全てが間違っているとも言える。

 と、ここまで言葉で表現しようとしたが、この考え方すらも無意味だろう。


 そもそも、言葉で表現すること自体が無意味なのである。

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