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ラスト
光で満ちた世界に生きたとしても
心が闇に飲まれたとしても。
その果てに自分を取り戻したとしても。
最後には自分が自分であり続けようとするものだ。
人は人であり続ける。
やあ、どうだったかね、普通の人間諸君。
この物語では、私が実際に見てきた狂人や、動植物達の内面に迫っていたわけだが。
君達は理解できたかね?
理解できるよう、出来るだけ簡単に書いてあげたのだが。
理解出来ればこちら側の人間だ。
ようこそ、闇の世界へ。
理解できなければ、素直に来た道を戻るとよろしい。
あっという間に光の世界だ。
だが、ここを退室する前に聞いてほしい。
最後の言葉だ。
君達は日頃無意識に常識に囚われている部分があるだろう。
この私だってそうだ。
狂人も狂人の常識に縛られているのだ。
だからこそ、常識から囚われることのないよう、常に自由の意味を探求してほしい。
私は、全人類が真の意味での自由になれるよう祈っている。
さあ、行きたまえ。
君には君の物語が待っている。
ようこそ、自分の物語へ。




