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金網の向こうの君。  作者: 甘柑
2/2

出会いと水着と買い物と

あ、雨...。傘忘れたな。

帰宅部の私は下校時間になると早足で下足箱へと向かい靴を履き替え外に出る。

あーあ、雨やみそうにないな、ここで待つしかないのかな。

でも今日は早く帰らないと、習い事があるし。

3歳から始めたピアノ、今年でもう13年目になる。

高校に入って私は本格的にプロの道へと入ろうとしていた。

でも、これで風邪をひいたら来週にある発表会に出られない...!

仕方ない、走って帰るか。

学校のカバンを頭の上に乗せて走る。

うう、泥水が足に付く、なんて考えてると、

「もう1本!」

そんな声が右から聞こえた。

「...テニス部?」

声を出していたのは同じクラスの明内祐太くん。

話した事は無いし私の名前なんて覚えられてないだろう。

だけど、何故か雨の中コートの向こうの相手とラリーを続ける明内君から目が離せなくなる。

見ていた事に気付いたのか、明内君もこちらを見る。

バッと顔を逸らして足を走らせる。

ピアノ遅れちゃうとこだった。

でも、カッコよかったな明内君。

明内君はクラスでも目立つ存在で皆と仲が良くて、人気者だ。

私は、仲のいい子は居るけど目立つほどの存在じゃない。

名前なんてあまり覚えられてないだろう。

つまり大人しく高校生活を送る地味な子、明内君とは正反対のタイプだ。

私も、目立つような子になれば名前覚えてもらえるかな。

まあいいや、そんな事。

私にはピアノしかないんだし。

急がないと先生待ってる。

私は急いで家に帰ると着替えて荷物を持って先生の家へと向かう。

ピアノ教室は先生の家だ。

徒歩で一分もかからないところにある家が教室だから遅れそうになってもなんとか間に合う。

ラッキーガールだ私。

なんて馬鹿ごと考えながら教室に向かう。

インターホンを鳴らし入ると、笑顔で出迎えてくれる。

一時間半のレッスンを終えて家で一時間練習する。

これが日課。

レッスンがあるのは平日の5日間。

土日はいつもより練習時間を増やして鍵盤に触れる。

今までなんてことのない人生を送っていた私に、まさか恋という形のないものが高校生活で大きく関わってくるなんてこの時はまだこれっぽっちも考えてなかった。


翌朝

「おはよー」

「あ、おはよう舞美ちゃん!」

「おはよう、夏海ちゃん。」

この子は旭夏海ちゃん、中学から一緒だった唯一の友達。

高校に入って友達は出来たけど、自分から話しかけに行けなくて今では話してくれるのは夏海ちゃんだけ。

寂しいな、私。

「トイレ行こーっと...」

「あ、私も!」

「うん、一緒に行こう」

夏海ちゃんとトイレに向かう。

「それでね、このアニメが...」

「へえ...面白いね...じゃあ...わっ!?」

何かにぶつかった衝撃で尻餅をつく。

「あいたた...」

「あ、ごめんっ大丈夫...?」

「すみません、大丈夫です...あ、明内君。」

「ごめんな、花形。」

あ、名前覚えてくれてるんだ。

「こちらこそ、前見てなくて...怪我は?」

「俺は大丈夫。花形は?」

「私も大丈夫、ごめんなさい。」

「おう。」

は、初めて話した...。

「大丈夫?舞美ちゃん」

「あ、うん。私は大丈夫だよ。」

トイレから帰ると明内君が私に気付く。

目が合うとジェスチャーでごめん、と手を合わせる。

私も大丈夫だよ、と首を横に振る。

良かった、とニコっと笑う明内君に少しドキッとしてしまった。

「舞美ちゃんって明内君と仲良かったっけ?」

「ん?ううん、今日初めてお話したよ。」

「結構仲良さそうだったけど...」

「相手が明内君だから、話しやすかったのかも。」

「あー明内君、フレンドリーというか、コミュニケーションとるの上手だもんね。」

それが皆と仲良くなれるコツなのかな。

私も明日から話しかけてみよう。

そう心に近い、本を開く。

「なあ花形!」

「ひっ、あ...明内君?どうしたの?」

「昨日さ、テニス部の練習見てただろ?」

「あ、うん...そういえば見てたかも。」

「だろ?へへっ気になってさー」

「気になる?」

「おう!」

「何が気になるの?」

「なんで見てたのかなーってさ!」

「あー...うん、よく分からないんだけど、明内君が部活してるの見ると、かっこいいなーって思って見てただけ。」

「そっか、ま、部活楽しいしな!」

「へえ...私もピアノしてるんだけど、好きなことしてると楽しいよね。」

「ピアノしてんの?すげー...じゃあ弾けるんだ」

「少しだけど...みんなの前で弾けるほど上手くないし...」

初めてこんなに男の子と話した。

少し恥ずかしくなりながら明内君の顔が見れず本に視線を落とす。

「なぁ、今度の日曜暇?」

「え?あ...うん、午後なら暇だよ」

「じゃあ午後から一緒に遊ばねえ?」

「えっ...?」

「あ、いや...買い物に付き合って欲しくてさ。

俺、妹と弟が居てさ、双子なんだけど今度誕生日で。

弟の欲しいもんとかは分かるけど妹は女の子だからよく分からなくてさ。」

「良いけど...私でいいの?」

「花形は女の子が好きなのとか詳しそうだし、それにその本妹も読んでるから趣味合うんじゃねえかなって。」

「こ、この本読んでるの!?」

この本はかなり漫画やアニメが好きな人が読むような本で、普通の女の子は読むような本じゃなくて、つまり二次元好きな子が読む...妹さんは二次元好きなのかな!

「何年生なの?」

「中二なんだけど...どう?好みとかわかる?」

「うん、だいたいわかるよ。」

「良かった...じゃあ日曜、1時半に駅前集合な!」

な、なんか...一気に展開した...。

初めて男の子とお買い物、楽しみ...。

「ふふっ...へへへ...」

「どうしたの?舞美ちゃん」

「えっ!?あ、どうもしないよ」

慌てて緩む頬を戻す。

日曜日、楽しみだな。



翌日

「はぁ...」

「どうしたの?舞美ちゃん」

「あ、夏海ちゃん、おはよう...どうもしないんだけど...なんか、落ち着かないなって」

「おーい夏海!ちょっと来て」

「あ、ごめん、行ってくるね?」

クラスの男子に呼ばれて夏海ちゃんがどこかへ行く。

「なぁ!花形も来いよ」

「えっ?」

夏海ちゃんを呼んだ男子が私を呼ぶ。

名前は...確か、満川蒼くん。

「来月の第一日曜日プール行くんだけど行かねえ?」

「えっ...来月...7月?」

「おう、どう?他にも誘うんだけど、あいつらが女子誘えってうるさくて...」

と、満川君が親指で後ろを指すとニヤニヤしてる男の子が三人いる。

「でも私なんかでいいの?」

「おう、他に誘う女子いなくてさ。」

「私、大して面白い話もできないよ?」

「全然良いよ。どう?花形も夏海も、来ねえ?」

そう聞かれて、夏海ちゃんはOKを出す。

「花形は?」

「えっと...夏海ちゃんが行くなら行こうかな」

「よし、決定な!さんきゅ、花形」

「う、ううん、誘ってくれてありがとう」

満川君が男子に報告しに行くと凄く騒いでいるのが見えた。

でも、私話せるかな、男の子と。

「あ、満川君。

女子って、他にも誘う?」

「あー、いや、誘わねえわ、俺あんま話せなくて...」

「意外とウブなんだ。」

「うるせえよ」

と、照れながら後ろ首を抑える。

「ふふ、お誘いありがとう、楽しみにしてる」

「おう、じゃ」

「うん。」

先に戻った夏海ちゃんのところへと行く。

「プール、楽しみだね」

「舞美ちゃん、水着買う?」

「うん...持ってないんだよね、今」

「一緒に買いに行かない?」

「うん!」

「今日の放課後は?」

「あー...私平日の放課後習い事で...」

「あ、じゃあ明日!明日は早帰りでしょ?先生達の研修でさ!」

「あ、じゃあ明日の放課後...!」

「うんっ」

放課後買い物に行く約束をする。

明日は買い物、今週末は買い物へのお付き合い、来月はプール...。

今まで空白だったカレンダーが友達との行事で埋まっていく。

それが嬉しくて、たまらず頬が緩む。

ああ、楽しみだな。


翌日の放課後、夏海ちゃんと近くのショッピングモールに来た。

「凄い...広いね!」

「うん、大きい...」

「買いに行こうか」

「うん、そうだね!」

2人で少し華やかな服屋に入る。

そこに沢山並ぶ華やかな水着。

「ひえぇ、これお腹出るヤツだ...」

「舞美ちゃんスタイル良いから似合うよ!」

「いやいや、夏海ちゃんのが似合うから」

なんて、ビキニの押し付けあいを始める私達。

「ん?あ、花形、夏海、なにしてんだ?」

「あ、満川君...」

「あ、蒼かー...いや、舞美ちゃんの水着選び?」

「夏海ちゃんのもだけどね。」

「へー、なー蒼、お前選べよ」

「は?なんでだよ」

蒼君と一緒にいる男の子、一緒にプール行くメンバーの1人、波多野渚くん。

「俺らも水着買いに来たんだー」

と、満川君の反応を無視して私達に話しかける。

「偶然だね、もう買い物は済んだの?」

「いや、まだだよ、今来たんだー」

「へー...」

「決まらないなら蒼に決めてもらえば良いじゃん?」

「いや、でも...波多野君?」

「だめ?花形決まんないんだろ?」

「まあ...うん、そうだけど...」

「じゃ、決定ーほら、蒼決めろよ」

「いやいやいや、なんで俺...渚決めろよ。」

「待って、よし...こうしよう!」

と今まで黙ってみていた夏海ちゃんが割って入る。

「裏表で分かれて、男子が女子の、女子が男子のを決めるってのは?」

「お、名案、さすが夏海!」

と波多野君が褒める。

名案、じゃないよ!


こうして、私と満川君が置いてきぼりにされたまま、水着選びの相手決めが始まった。


「はい、舞美ちゃん裏表しよ?」

「あ、うん...はい、」

「裏表ーっ」

私は適当に表を出す。

都合よく夏海ちゃんも裏を出した。

「お、決まったね!」

「よし、俺らも決めようぜ?」

「お、おう...」

と、波多野君と満川君が裏表をする。

「あ、俺裏だわ」

「俺表、じゃあ俺の相手は花形?」

「よーし、夏海の選び行くぞー」

「おーっ!」

と、波多野君と夏海ちゃんが肩を組んで酔っ払ったおじさんみたいに歩いて行った。

「取り残されちゃったね...」

「だな、早く決めるか...」

と、真剣に女性物の水着を選ぶ満川君。

「ふふっ...」

「どうした?」

「いや、真剣に選ぶなーって」

「だって、花形が着るし、ちゃんと選ばないと」

「ありがとう。」

普通に恥ずかしいな、なんて思いながら一つ一つ手に取って考えて戻す行動を繰り返す満川君に着いて歩く。

「!これ、絶対似合うと思う」

と、突然私に水着を渡す。

白のフレアバンドゥビキニで、下がデニム生地の短パンになっているものだ。

胸の小さい私には丁度いいのかもしれない...

「これ、可愛いよな、着てる人見るとつい目が行っちゃうし。」

「うん、スタイルがいいと似合うんだろうなー。」

「花形スタイル良さそうだし、大丈夫大丈夫。」

「御世辞でも嬉しいや、ありがとう、会計してくるね。」

「おう、外出て待ってるわ」

レジに向かって会計を済ませて店の外に出ると、近くの自販機で飲み物を買っている満川君を見つけた。

「満川君っ」

「あ、花形。」

「会計終わったよ、次は満川君の見に行こうか。」

「おう、そうだな」

「この店がいいってある?」

「全部お任せする、花形のセンス次第だな」

と、悪戯に微笑む。

「ええー...責任重大?」

「ま、どんなのでもいいや、そこまで重く考えなくていいぞ。」

と、困る私の頭に手を乗せてくすっと笑う満川君。

「ま、任せなさい!」

と、大してセンスもないのに張り切る私。

よし、こっそり調べよう、流行りのお洒落を。


一方、波多野と旭ペア


「おい夏海ー!お前これでいいんじゃね?」

と、渚がスク水を私に見せてくる。

「いやいや、それ渚の趣味でしょ?」

冗談めかして言うと軽く叩かれる。

「じゃあ、これ?」

「片っ端から聞いてきても...」

「分かんねえもんお前の趣味とか、どれが似合うとかも俺センスねえし!」

「あー、渚は確かにセンスないわ」

「うっせ!」

と、少し頬をふくらませながら次は真剣に水着を選ぶ渚。

「あ、これ似合う!」

と、一つの水着を手に取る渚。

どうせ変なのだろ、なんて考えながらのぞき込むと黒のホルターネックのタイプの水着を持っていた。

「ふーん...可愛いかも。」

「下もさ、スカートになってっし!」

「あ、渚スカート派なんだっけ?」

「おう!だから可愛いし似合うぞ夏海」

「じゃ、これでいいや。」

「おう!」

どこか嬉しそうににこにこする渚を見て、なんだこいつ、なんて思いながらも可愛いなんて思ってしまう自分を叩きたい。

レジで会計を済ませてふと視線を留めるとそこには可愛い靴があった。

...ついでに買おう。

それもレジに持っていく。

会計を全て終えて外に出ると渚が座って待っていた。

「遅かったな、夏海」

「靴もついでに買ったの。」

「ふーん...じゃ、俺の選び行こうぜ!」

「はいはい」

こうして、水着売り場へと向かった。


......................................................


水着売り場にいると、奥から見覚えのある二人組がいた。

「夏海ちゃん、波多野君!」

声をかけると2人同時に振り向く。

仲良しだな。

「あ、舞美ちゃん!」

「2人もここで買うの?」

「うん、男の子の水着ってどこにあるかわかんなくて、ショーウィンドウから見えたここに来たの。」

「全く同じじゃん」

と、後ろで波多野君が笑う。

「女子の分は買ったんだ?」

満川君がそう尋ねると2人して頷く。

やっぱり仲良し...。

「男子のを選んでるの?」

「そう、でももう決まったの」

「え、舞美ちゃん早っ」

「結構前からいたからねー」

「じゃ、俺会計行ってくるわ」

「うん、待ってるね」

手を振ると、満川君が振り返してくれる。

「お前ら仲良しだな。」

「2人ほどじゃないけどね...」

「仲良くないよ?私達」

いやいや、仲良しですよ。

なんて、口には出さない。

暫らくすると満川君が戻って来た。

「よし、私も決めた、ほら、買ってこい。」

と、波多野君に水着を渡す夏海ちゃん。

満川君と入れ替わりで波多野君がレジに行く。

「なんとか全員買えたね。」

「うん、来月楽しみだね!」

「うんっ、夏海ちゃんの水着期待してる。」

「舞美ちゃんこそ。」

2人でくすくす笑っていると、ふと奥にジャージを着た男の子のグループを見つける。

「あ、あれ明内君だ」

と、呟くと満川君が反応する。

「ほんとだ...」

向こうもこちらに気づいたのかグループを抜けて走ってくる。

「こんにちは、明内君」

「おう、買い物?」

「うん、水着買いに来たの」

「へえ...満川と旭と?」

「あと波多野君」

「4人で?」

「うん、4人で!」

「へー楽しそうだな。」

「うん、楽しいよ!」

「あ、じゃあ俺戻るわ」

「うん、またね」

「おう」

走ってグループに戻る明内君。

わざわざこっちに来てくれたのかな。

隣を見ると少し不機嫌そうな満川君。

「どうしたの?」

「いいや、どうもしないけど...ちょっとな」

「買ったぞー」

波多野君が帰ってきて私達は解散することにした。

「あ、急がないと、ピアノ...」

「そうだね!じゃ、頑張れ」

夏海ちゃんの応援を受けて私は家に帰り着替えを済ませピアノ教室へ足を向ける。



ピアノが終わり、家に帰ろうと足を向けると、前方に良く知った人物がいた。

「敬真!」

隣の家に住む幼馴染みの佐野敬真。

高校は部活推薦でサッカーの強豪へと進んだから、最近は顔を合わせていなかったけど、

「あ、舞美、久しぶり」

「うん、久しぶり。」

部屋の場所が隣同士で、窓を開けて会話なんて良くしていた。

最近はしてないけど。

2人でほんの短い距離を他愛もない話をしながら帰った。

「またな、舞美」

「うん、敬真も部活頑張れ!」

「おう、さんきゅ」

なんか青春してるなー...羨ましい。

私も一応してるけど!

敬真が家に入ったのを確認して私も入る。

夕飯と風呂を済ませて、ベッドに入る。

頭の中は日曜日のお買い物と来週のピアノのコンクールと来月のプールのことでいっぱいだった。

楽しみだな、確か他にあと2人来るのは、眼鏡かけてる男の子が河北大樹くんと、ずっと敬語で喋ってるのが中原美月くんだよね。

覚えておかなくちゃ。

と、脳にメモして私は眠りについた。


翌朝、窓から差し込む日の暑さに目を覚ます。

なんて悪い目覚め...。

そう思いながら下に降りると冷たいお茶が出ていた。

喉に流し体を少し涼しくして、学校の準備を終えて外に出る。

じりじりと照りつける日を直接受け、パタパタと少しでも風が送られるように胸元を仰ぐ。


学校の校門には先生が挨拶をしに出てくる。

というのは建前で本当は制服が乱れていないかチェックするためだ。


教室につくとガンガンクーラーが効いていて少し寒いくらいだ。

「おはよう、夏海ちゃん」

「おはよう舞美ちゃん!」

「おはよ、花形」

「はよー」

「あ、おはようさん」

「おはようございます」

夏海ちゃんにしたはずが、他に4人からも帰ってきた。

「えっと、満川君と波多野君と河北君と中原君!もおはよう」

「ふはっ言えてすげー嬉しそうな顔してんな。」

「あ、えと、えへへ」

そんな顔してたのかな。

「どうしたの?皆」

「あ、夏海とは話したことあってもさ、花形とはなかったから、折角だし仲良くなろうってことで集まったんだ」

なるほど、だから私の机の周りに居るんだ。

「じゃあ仲良くなりましょう?」

「ふふっ、具体的にはどうやって仲良くなるんです?」

「あ、それは、うーん...」

中原君に痛いところを突かれた。

「取り敢えず握手しましょう!」

と、私が中原君の手を取ると、一瞬にして顔を赤くして

「手、手を握るなんてハレンチな!」

と河北君の後ろに隠れる。

「は、はれんち...ですか。」

河北君と波多野君はお腹を抱えて大爆笑している。

満川君は笑いをこらえているが少し吹き出していてこらえきれていない。

チャイムが鳴っても顔の赤いまま私が触った方の手を何回も触る中原君。

朝の時間で仲良くなることは出来なかった。

HRが終わると、夏海ちゃんがこっちに来た。

さっきの中原君の事を笑いながらずっと話す。

大丈夫、私も見てたから、お願いだからもうやめてあげて、すごく顔が赤いの中原君。

でも、なんだか凄く楽しい。

今週で一気に展開があったな。

たくさんの人と出会えて、遊んで、凄く楽しい。

このまま、この状態が続けばいいな。


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