第6話 監督登場!
俺と陽一の間に入り込んできたおじさん。
「あんた誰?」
と俺が言うと、
「テメェ、監督に向って何言ってやがる。あんた誰などとふざけた口をきいてんじゃねぇ。」
と陽一がさらに怒る。すると、
「陽一お前もいい加減にしろ。この武道の間で喧嘩してんじゃねぇよ。」
と監督は言った。けして怖くはないんだが、威圧を俺は感じた。陽一は俺の制服を掴んでいた手を外した。そして、俺から離れた。
「君は誰だね。あとそこの彼女も。」
と監督が聞いてきた。
「私は矢崎未來と言います。今日は塔矢くんと陽一くんに誘われて、弓道部の体験入部をさせてもらっています。」
と緊張しながら答えた。
「君は?」
と視線が、俺に移る。
「俺の名前は鷹宮久一です。ここにいる理由はそこにいる未來と同じです。」
と俺は答えた。
「そっか。なら何故陽一と喧嘩してた?」
とさらに監督が聞いてきた。
「喧嘩はしていませんよ。ただ彼がいきなり服を掴んできたんです。」
と俺が言うと、監督の視線は陽一に移る。すると、
「こいつが、いきなり練習を抜けようとしたんですよ。」
と陽一も反撃する。
「だからと言ってすぐ、暴力は良くないぞ!陽一。」
と監督は陽一を注意した。
「す、すいませんでした。」
と陽一は監督に対し頭を下げた。
「だからといって、久一くんも体験入部といって、勝手に練習を放棄するのは良くない。最後までやりたまえ。」
とこんどは俺を注意したが、
「彼らが見本じゃ練習になりませんよ。」
と本当の理由とは違うが、思っていたことを言った。
「なんだと!」
とまた陽一が怒るのを塔矢が止める。
「どういうことだ?」
と監督が聞いてきた。
「さっき射法八節というのを見せてもらいました。」
「だから?」
「彼らの射法八節は見た目は綺麗ですが、本当の弓道になってないからです。」
「君は初心者だろ?君に何がわかる?」
「弓道のことは何も知りません。しかし、わかることはあります。」
「だから、何が?」
「彼らの射法八節からは弓道のイメージが出来ない。」
「?」
「すなわち、形だけで、弓を引いている幻影が見えないんですよ。この練習は形を真似する練習じゃないんでしょ?」
「・・・」
監督は黙ってしまった。しかしすぐ口を開けた。
「私の名前は武井龍だ。弓道8段だ。君に本当の射法八節を見せよう。」
と監督が言うのだった。




