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1.とある彼女の話

どこに載せたらいいのかわかんなかったSS達を寄せ集めて載せていこうと思ってます。

読んでくれたら幸いです、ハイ(`・ω・´)ノ


 最近いろんな掲示板があるけど、その中でも俺が特に見ているのは、投稿された質問を見た人が答えるというモノだ。真面目な質問が殆どなんだけど、中には「バカかこいつ?」って感じな質問もあって、それがまた面白い。例えば、


 「カレシに中出しされちゃったんですけど、これ赤ちゃん出来ちゃいますか?(;^ω^)」


とか、


 「ナンパしておKだったんで生でヤったら、後になって『訴える』とか言われたんですけど、これ俺悪くないですよね?」


とか。更には、


 「おっぱい大きくしたいんで、揉んでくれる人募集中でーす♪」


 これなんてそれもう質問じゃねーだろお前、って感じで。

で、最近見つけたバカな質問がコレ。


 「この前オナニーしてたら、バイブで処女膜破っちゃったんですけど、これでもまだ「処女」で通りますか?」


という質問。

 いやいや膜破れたら「処女」じゃねーだろーよって。ってかバイブで破いたとか、しかも自分でって、何処のエロゲーだよと。全く、そんな捨て身のギャグやる奴の顔が見てみたいわー。

 ……と、いう事を。付き合ってちょうど半年位になる彼女に話してみたら、


「あ、それ私だわ」


 俺の彼女でしたとさ。




 終




 ……って終われたら良かったんだろうけど。

流石にコレからの俺たちの関係に重大な問題を及ぼしかねないので、俺は向かいの席でパスタを啜っている彼女に聞く。

「――えーっと。それ、どういう事?」

「どうも何も、そのまんまの意味だって」

 あっけらかんと彼女は答える。その最中でもパスタを巻き付けるフォークの動きを止める事は無かった。

「なぁ、悪いけどちょっとフォーク置いてくれるか」

「ん? 何でよ」

「何でもだ」

「私がまだ食べてる途中でしょうが!」

「威張んなや」

 ちなみに、俺と彼女は今ちょっと高めなフランス料理店でデートの最中だ。日曜日の午後だけど人は余り居ないし周りも静かだから、巷では隠れたデートスポットとして評判な場所である。

「あぁもう分かったよ、じゃあ食べながらでいいから聞いてくれ。何だ『バイブで処女膜破った』って? それネタじゃなくてマジなのか?」

「ふがふふい、ふふぁふぃーは」

「食べながらしゃべるなよ!」

「……んっ。いや、食べながらでいいって言ったのそっちじゃん」

 さも「自分は悪くない」と言いたげに不満げな顔をする彼女。

「そういう意味で言ったんじゃねぇんだけどな……」

「じゃどういう意味?」

「『食べながら話を聞いてもいいけど、答える時はちゃんと答えろ』って意味だよ」

「ほーい」

そういってまたパスタを啜る彼女。

 ……どうでも良いけど、パスタ音立てて啜るの止めてくれないかなぁ。周りの人くすくす笑ってるしさぁ。ってかぐちゃぐちゃとかき回すのも止めてほしいなぁ。それ1,200円もするんだからさぁ。

(――まぁ、とりあえず今は目を瞑ろう。それよりも、)

 そう、俺にとって今重要なのは「彼女の処女がバイブで破られたかもしれない」という事だ。

流石に嘘だと信じたいが、もし万が一本当だったら……。

(いや、それは話を聞いてからだよな)

 頭を振って浮かんで来た考えを振り払い、再び彼女に聞く。

「で、どうなんだよ。本当なのか?」

「あ、ゴメン。聞いてなかった。何?」

「だから話聞けっての!」

「冗談だって、もぅ。そんな怒ってたら幸せが逃げちゃうぞ?」

「お前が怒らせてんだけどな」

「で、バイブで破ったけど何か問題ある?」

「さらっと答えてさらっと何言ってんだおい!」

「大丈夫、直ちに影響は無いから」

「今現在の俺に影響あるわ!」

 あるよ、問題大有りだよ! 寧ろ問題しかねぇよ!

「何でそんなので処女失くしちまうんだよ! 自分の身体なんだから、もうちょっと大切にしろっ!」

俺が叫ぶと、ビックリした様に目を見開く彼女。

(ヤベッ、流石にちょっとキツく言い過ぎたか……?)

 少しした後、フォークを置いて俯いた彼女がポツリと呟いた。

「――ゴメン」

「あ、いや、そんな。俺もちょっと言い過ぎちゃったし……」

「ううん。私の方こそ分からなくてゴメン。そうだよね……」

 慌てて謝ると、彼女は目にうっすらと浮かんだ涙を右手で拭い、笑顔でこう言った。

「やっぱり『寝取られる』よりは『寝取る』方がずっと良いよねっ!」

「また何言ってんだお前はっ!」

 というか道具相手に『寝取られる』って! ある意味一番虚し過ぎるだろ!(特に俺が)

「いやー。もしかしたらNTR属性あるかなーと思ってたんだけど無かったかぁ」

「いやいや待て待て、何だ『NTR属性』って。イキナリ何言い出すんだ」

「んっとねぇ。ホントはさぁ――」



――以下空想――



『うっ、ううっ……。ゴメンね、私、山田君(仮名)に汚されちゃった……』

『お前……』

『こんな私なんて、きっと、もう嫌いだよね……?』

バチィンッ!(頬を叩く音)

『バカヤロウっ! そんな訳無いじゃないかっ!!』

『……っ! ホント? 信じても、イイの?』

『あぁ、なんたって俺は……』

『俺は?』

『彼女が寝取られると、何倍も興奮する奴だからなっ!!』



――空想終わり――



「――って感じになったらイイなぁ、って思ってたんだけど」

「………………」

 どうしよう。言ってる意味が分からない。

何かもう色々突っ込みたいけど、とりあえずコレだけは言っておかなきゃいけない。

「俺は彼女が寝取られて興奮するような、特殊な性癖は持ってねぇよっ!!」

 と、勢い余ってつい立ち上がり叫んでしまったが、

「あの、お客様……」

「え?」

 店員のウェイターに言われ、周りを見渡すと、何ともまぁ形容しがたい、それでも敢えて言うなら「可哀相なイタい人」を見るような眼つきが、俺に突き刺さっていましたとさ。




 終




 ――イヤホント、もうここで終わらせたいんだけどね。てかいっそ終わらせろよマジで。何だこの羞恥プレイ。

「……すいません」

ぼそっとそう呟き座りなおす俺。すると向かいの彼女が、

「もう。あんな恥ずかしい事イキナリ叫ぶんだから、コッチも恥ずかしいじゃん」

「なっ!」

「今度は気をつけなきゃだめだぞっ」

と、左手を伸ばして俺の額をつん、と突いた。


 ……だ、れ、の、せ、い、だ、と、


(――っとイカンイカン。落ち着け、落ち着くんだ俺。こんな時こそCOOLにだ)

 だからこの握り締めたフォークをテーブルの上に置くんだ。……そう、やれば出来るじゃないか。

「っていうかさぁ」

 そんな俺を尻目に彼女は何時の間にかデザートのアイスを、これもまたスプーンでぐちゃぐちゃにしながら食べていた。いや、もうなんかいいんだけどね。

「何だよ今度は」

「投稿した後に私考えたんだけどね、やっぱり処女膜無くったって処女って言っていいんじゃないかなぁ、って」

「は?」

「コレ友達から聞いた話なんだけど、激しいスポーツしてると、時々処女膜が破れちゃうことがあるんだってさ」

「……はぁ。で?」

「うーん、分かんないかなぁ? だからさ、そういう人のためにも新しいコトバを作るべきだと思うんだ私」

「新しい言葉?」

 一息つくために、俺はすっかり氷が溶けてしまった水を飲んだ。

「そうそう、『素人童貞』的なさ」

吹きました。ええそりゃもう盛大に。

「んもーっ、汚いなぁ! 何やってるの?」

「…………」

いや、お前がまた変な事言い出すから。

「でね、私考えたんだ」

 テーブルの上にあったナプキンで俺が吹き出した水を拭きながら彼女は言う。

「『素人処女』ってんだけどさ、良くないコレ?」

「…………」

どうしよう、近くに居るのに彼女が遠く見える。

あれぇ、おかしいなぁ。こんな変な奴だったっけ俺の彼女って。

「だいたいさぁ、変だと思わない?」

「何がだよ」

俺は現在進行形で変だと思ってるよ、お前の事。

「『素人童貞』って言葉はあるのに『素人処女』が無いなんてさ、変だよ、不公平だよっ!」

「そう考えるお前の方がヘンだけどな」

っていうかそんな言葉が普及してる状況って、考えるだけでイヤなんだけど。

「それに、私思うんだ」

「……?」

 そう言うと彼女はスプーンを皿の上に置き、さっきまでとは打って変わった真剣な面持ちで俺の方を向く。

「例え処女じゃなくったって、バイブで膜破ってたって。相手の人の事を『好き』って思う気持ちがあれば、関係ないんじゃないかな、ってね」

「……っ」

「さっき言った友達の話なんだけど。初めて出来た彼氏の人とエッチした時に、彼氏の人が膜破れてる事に気付いてね、こんな事言われたらしいんだ――」


『お前、俺が初めてだって言ってたじゃねーか! 嘘吐きやがってこのクソ女っ!!』


「――で、結局その彼氏の人とは別れちゃったんだって」

「それは、酷いな」

「それでね、私考えたんだ! そんな時に『膜は無いけど、私はまだ素人処女だよ!』って言い張れれば、そんな事になっても別れずに済むんじゃないかなってさ!」

「いや、それはどうなんだろうな……」

 まぁ、考えてる事はアレだが。

(そっか……)

最初は何を言い出したのかと思ったけど、結構マジメな事考えてたんだな。

(何か、処女がどうとか考えてた俺の方がバカみたいだなコレじゃ)

「――ねぇ、ちょっと聞いてる?」

「あ、あぁうん悪ぃ」

「……だから、その、ね」

「ん?」

「私だってまだ素人処女だから、嫌いにならないで欲しいかな、かな?」

 そして困った様な表情を浮かべながら小首をかしげ、

「――ダメ?」

と呟く彼女。

(……全く)

 お前の事嫌いになるだなんて、ある訳無いだろっつーの。

でもそんな台詞を素直に言うのも癪だから、冗談めかしてこう言ってやった。

「なーに言ってんだよ! そんな事言ったら、俺なんて包茎で小さい上に早漏なんだぜ? それに比べたら、処女じゃない事位、何でもないっつーの!」

言い終わって彼女の反応を見てみたら、

「いや、流石にそれは無いわ。早漏だけでもアレなのに、包茎は絶対無いわ」

今まで俺が見た事無い、それはそれは嫌そうな顔をしてましたとさ。




 終




 っておい。





おしまい。 

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