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第四十六話「とるべき道は」


「まさか、ああも上手くいくなんてなぁ」

 僕はポツリと呟きながら、平和な様子の街を眺めていた。ウスティカンと言う名前の大都市をあっさり陥落させることが出来たのは、運が良かったとしか言いようがない。

「ここは、普通のお墓みたいだね」

 ウスティカンの地下には地下水脈が削って出来たいくつもの洞窟があったのだが、街の人々はそのうちの一つを地下墓地として利用していた。戦になった時敵の侵入経路にならないよう洞窟の出口は街の地下だけを除いて殆どが塞いであり、地下墓地も例外ではなかった。

(まぁ、普通思わないよなぁ。地下墓地に納められている先祖の遺骨が地下から攻めてくるなんて)

 幻影を被せて兵士の姿をとらせた動く白骨(スケルトン)達を使い、人々が寝静まった頃合いを見計らっての強襲。外からの攻勢なら長く持ちこたえられたであろう城壁も転移魔法で乗り込んできた僕達と地下から攻め上がってきた白骨(スケルトン)達からすれば城主の城とは反対側に位置するただの壁でしかない。


「ひ、ひぃっ……どうか命ばかりは……」

 城壁を無視して乗り込んだ僕達が小規模な抵抗を全て無力化して乗り込むと城主はあっさり降伏し、事後処理を元レジスタンスの人達に任せて僕はタイムアタックに乗り出したのだ。

「それじゃ、よろしくね」

 複数の街や村で墓地から一斉に死者達が起きあがり、兵士の幻影を纏って兵の詰め所や権力者の館を急襲する。

「兵の殺害は出来れば避けて、何かあったら、リーダーの命に従うように」

 作成したアンデッド達の中には人間レベルの自我と知能を持つ個体を何名か作って指揮官とし、交代要員が来るまで制圧した場所の防衛にも当たらせる。前言を撤回するかのような大盤振る舞いだけど、新しい仲間の家族を守る為でもある。

(生死に関わることだし、敵も極力殺さない)

 相手側からすればたまったものではないだろうが、自分で背負い込んだものとは言えやることが山ほど残っているのだ。自らに課した決まりに触れないならちょっとぐらいの横着は見逃して欲しい。

(甘えだとはわかってるけどね)

 これだけ電撃的な攻撃なら、連絡手段が狼煙や騎馬の伝令がごく一般的なこの世界では僭王(せんおう)軍が動くまでにそれなりの時間が掛かるだろうし。

(離れているアンデッドにも指示が出せる僕が居ればこっちはロス無しで情報が送れる)

 事後処理を考えると報告は朝になってしまうだろうけれど、元々夜は寝ているであろうリアスを起こす気はない。相手方によほどの名将が居れば話は別だが、「突然の味方拠点陥落×複数」という状況には対処出来ないんじゃないだろうか。

(そもそも、一晩で大きい都市含めてこれだけの拠点を落としてくる相手にどうやって対処しろって言うんだか)

 反則能力(ちーと)は本当に極悪だと思う。もっとも、この力を使わないと気が遠くなるというレベルでは済まないほどに目的は遙か遠いのだけれど。

(済んでしまったことは戻らない、何人もの命が救えたはずだから良しとして――これからかなぁ)

 リアスの王座奪還を手伝い、この国を立て直す。そして、周辺国家を呑み込み、大国を築き上げ天下を統一することで乱世に終止符を打つと言うのが筋書きだけれど。

(力の大盤振る舞いでごり押しし、ダイジェスト版として端折ったみたいに短期間で天下統一する訳にも行かないし)

 そもそも制約無くして力を振るえるなら一つ一つ砦や街を制圧して行く必要はないのだから。

「人が死ぬのを容認してでも、ある程度はこの世界の人々に委ねるべきかなぁ」

 結局のところ僕が力を使いすぎればリアス達がこの力に頼るようになりかねない。だが、僕が力を使わなければこの世界で最初に死者の魂を勧誘したあの戦場のような光景があちこちで繰り広げられることになるだろう。

(重い、なぁ)

 シミュレーションゲームのように兵士がただの数字やグラフィックでしかなければ、判断も簡単に下せたと思う。

(あれは何作目だったかな)

 敵の侵攻において焦土戦術やゲリラ戦を駆使し敵軍を引き込み、罠にかけて撃破する。五千の兵でそのとき僕は十数万人の敵軍を撃退した。勝ちはしたものの、囮にした砦の守備兵は全滅したし、火を放ったせいで焼け野原となった戦場には村や小さな街もあった。

「アンデッド、犯罪者のそれを使えば人的損害は減るだろうけど」

 同じ事をこの世界でやった場合、それは言い訳に過ぎないだろう。

「今ならまだどちらにも舵はとれる」

 他国を警戒させるからこれ以上あの力は乱用しないとリアス達に言い含め、さらに制限をかけた縛りプレイをするか、現状を維持して戦死者を出来るだけ出さないようにするか。

「分岐点、だよね」

 むろん、前者を選んだとしても死者の中でも善人を選んで蘇生させ人の住まぬ大陸に移住させてしまおうとか、救済策は考えてある。

(何というか、本当にそのまんまだけど)

 この役目を担うのは、戦乙女。移民先の大陸に名を付けるなら『ヴァルハラ』となるだろう。戦乙女に選ばれた者の内、戦いを望む戦士には時折僕がやっている山賊や魔族、鬼族退治といったような治安維持活動をやって貰うつもりでもいる。

「ふぅ」

 先延ばしにして良いことではない。そもそも出来ない。ここが決断時だと言うことは僕にもわかっていた。



ぬるいゲームって飽きが来ますよね?


と言う訳でここらで方針転換すべきかな、とか考え始めております。

アンケートでもとるべきだったかなぁ?



ともあれ、続きます。


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