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第一話「神との邂逅」


 その人に褒められたかった。自分を信じてくれていたから、信用に応えたかった。

「だから、今――惰性で生きて居るんだろうな」

 目標を失ってしまえば、世界は色あせて見える。誤魔化すように現実逃避をしても、結局のところ現実から逃げ切れないのだ。――だから。


「貴方に救って頂きたいのです」

 アニメ影像であればまるでバックの手抜きとしか思えない真っ白な空間で出会った女性の言葉は魅力的だった。


「女神?」

「はい、いくつも点在する世界――あなた方の文明レベルなら惑星といったほうがしっくり来るかも知れませんが、私はその三つを総括して見守る立場にあるものです」

 ギリシア神話の神々に似た衣装を纏った自称女神は僕へ一つ依頼をした。

「実は私の管轄する世界の一つが戦乱により荒廃しているのですが、貴方にはこの戦乱を治めて頂きたいのです」

 普通に考えれば無理なお願いだった。人生の目標を見失い、惰性で生き始めてかなりの年月を得ている。

「もっと若い、心身共に優れた人に頼むべきなのではないですか?」

 身体もなまって身体機能も落ちているだろうし、老いも自覚している。

「いいえ、心配には及びません」

 だが、自嘲気味に口にした僕の言葉に女神は頭を振る。

「立場上私はおおっぴらに世界へ干渉することを認められてはおりません。ただし、救済措置として力を分け与えた異邦人を送り込むことだけは許可されております」

「力を?」

「はい。何も与えず身体一つで世界を救ってこいなどという無茶を要求していたと思われたなら少々悲しいです」

 実際少し悲しそうに視線を落とし女神は嘆息する。

「超人的な力の一つや二つ与えられても結局のところ大切な人一人守れずうちひしがれる英雄を私は何人も見てきました」

「だったら、力を与えられたところで僕に戦乱を治めることなどできないのでは?」

 女神の言葉は補助するぐらいは当然という意味なのだろうが、僕にとってはハードルをあげられたようにしか見えなかった。

「大丈夫。貴方は自分の能力を低く見積もりすぎですし、今回私は貴方に三つの力を与えた上で身体能力を向上させるつもりで居ます」

「三つ?」

「はい。貴方の事を知った上で、貴方に相応しい力を三つ差し上げます。過去の事例をふまえての特例です」

 つまり、いままで一つや二つでダメだったから三つと言うことなのだろう。安直な気もするが、そもそも授けてくれるという力はどれほどのものなのか。

「基本的に私達は自身の力量を超えないレベルであれば、ほぼ無制限の力を人に授けることが出来ます」

 こちらの思っていたことを察したのだろう。女神は僕の疑問に答える形で説明を始めた。

「これは、本来ならば神が交代する時に、次代の神へ力を継承する為のシステムを流用したものなのです。ですから、私達は貴方が望むなら貴方を神にすることも出来ます」

「ただし、神にしてしまうと世界への干渉が出来なくなる為に今は君を神に出来ない」

 女神の言葉を補足するように会話に加わってきたのは、竪琴を抱えた優男。この人物も神なのだろう。

「自称で名乗る分には構わないけどね。君が僕達のお願いを聞いてくれるなら、文句を言う者はここには居ないと思うよ」

「その通りです。ただし、彼の言った制約がありますから、貴方に授けられる力は神一人分より小さなモノとなります」

「その条件下でほぼ最高の力を君は手にする。得る力の種類にもよるだろうけれど、自身の若返りや肉体強化ぐらいなら朝飯前の筈だよ」

 どうやら、かなりの優遇措置らしい。これで年齢や身体機能も気にしなくて良いのかも知れない。

「では、聞きましょう。私達の申し出を受けてくださいますか?」

「はい」

 答はごく自然に出た。宝くじに当たった様なモノ――いや、それ以上だろう。得られるものはおそらく、万人が喉から手が出るほど欲しいモノに違いないのだ。何の努力もなしに得てしまうことに引っかかりを覚えるけれど。

「ですが、僕は力に溺れはしないでしょうか?」

 引っかかりは、覚えた不安は、それ一つ。何の苦労もなく力を得たものが暴君に成り下がる光景などアニメや小説でうんざりするほど見てきた。自分も同じ道を歩まない保証はない。

「僕はそんなにできた人間ではありませんよ?」

「いえ、大丈夫です」

 僕はこの時、女神の根拠がどこにあるのかわからなかった。数分後、与えられた力の説明を受け、力の選定理由を知るまでは――。


お待たせしました。

短いですが、第一話となります。

この僕が本作の主人公。

はたしてどうなりますことやら。


続きます。

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