黒木菜月〜菜月side〜
まったく…人の気も知らないで…
まぁ、私が逃げたんだけどね…
皆さんお気づき?
私はあのアホロリコンが好きなのよ〜
あはは!笑っちゃうでしょ?
あんな態度とってたらいつまでも気づいてもらえないよね…
そんなことわかってる わかってるけど、
どうしてもあいつの前じゃ素直になれない
私、不器用だから。
あっ、でも料理は得意よ?うふ。
「あいつもあいつでモテるしなぁ…」
はぁ…
あぁ、独り言ってなんか寂しいわ…
いつもなら隣にあいつがいるのに───
「菜月!!」
「あ?」
私はその声の主に振り返ったビックリした
だってその姿は“やつ”だったから
「あ、あ、あああ…あんた…なな、なな……何して…」
「いいからこっち来いよ!!」
「はぁ!?あんた私を拉致する気!?いっ、いやーーー!!誰かたすっ「バカか!?そんなんじゃねぇよ!!」」
そして私は夏輝に拉致られた───
あはは…
なんで不機嫌なのよ!
こんなのお手上げだっつうの!!!
「いいか?よーく聞きたまえ。俺はさっき告られた。あのバルーン系ふわふわ女子に!」
いやいや、なんすか?
バルーン系ふわふわ女子って
さっきの子は確かに純粋そうですごく可愛い子だったなぁ…
私もあの子みたいに素直にいつか言いたいな…
───って違うよ!
なんで私にそれを報告スルヨ!?
自慢か!?ただの自慢か!?
あまり告られた経験のない私についに自慢しやがったか!?
「言っとくがこんなの自慢じゃないからな!こんなのしょっちゅうあるからもう自慢にならない」
……もうその時点で自慢だヨウ!!
バーカ!!夏輝のバーカ!!
「それでだ」
どれでだ!!
「俺はその子に“妹みたいな子が好み”みたいなことを言ったんだ」
あーあ、その子可哀想に…
どんな振られ方だよ
妹のほうが好みだから君とは付き合えない
ってか!?!?
スゲーなおい。
「で、だな。そしたらその子が“妹に会わせてください。妹みたいになります。”みたいなことを言ったんだよ。」
へー、そっ
「────はぁっ!?!?!?」
「つまりその子は大胆にも俺の家に来たいと言ったわけだ。どうすればいいと思う?」
「……別に会わせてあげれば?朱希っぺがいいって言ってんならさ。」
あぁ、また心にもないことを……
「そうか!じゃあそうするよ!わりぃな!相談にのってくれて!じゃあな!」
夏輝が去ったあと私は叫んだ
「私も家に入ったことないのにぃーーーー!!!!!!」
ズルーー!!
もしそれが罠だったらどうすんのよ!
──……
罠?
罠…
ワナ…
WANA?
いっ
「いやー!!!!夏輝が襲われる〜!!!!!!」