仮☆彼氏〜朱希side〜
「うーん……、眠ぃ」
「おい。寝ぼすけ。そろそろ起きないと遅刻するぞ?」
「うっさい。余計なお世話……。ってえっ!?」
私は思わずベッドから落ちそうになった
「なっ……!?み…三上佳那汰!!!?」
「あはは。んなフルネームで呼ばれると照れるわ〜」
「なな、なんで!!!!?」
「んな、驚くなよ。朱希の家、鍵開けっ放しだったけど?ったく、もっと用心しろよな!この無用心が!!!!」
「んなっ!!!!」
わ、私じゃねぇぞ??!!あ、夏輝にぃだ!夏輝にぃしかいない!
「ていうか佳那汰。なんで家まで来るの?」
「通学路の途中に朱希の家があったから」
佳那汰くん
私の家が通学路にあってもスルーしてください
「私の家があるからって来なくていいから!」
「まぁまぁ。ていうか、あんまりしゃべってると遅刻するよ?」
「あー!!!そうだ!!今何時!?」
「ん?今9時♪」
「は、はぁ?」
9時って…
「もう一時間目始まってるじゃん!!」
「そーですね」
「これって完璧遅刻じゃん!!」
「そーですね」
「テストの成績悪いのにこれ以上成績が悪くなったら私大変なことに…」
「そーですね」
「………。」
「………そーですね」
「いいともかよ」
「そーですね」
「はぁ……。もう学校行きたくないな……」
「じゃあ……、さぼっちゃう?」
「はぁ!?あんたは不良か!?」
「んー。どっちかっていうと不良に近いかもね♪」
「はぁ!?って、違う違う!早く学校行かないと!」
「なんだよー。サボろーぜ!1日ぐらいいいじゃねぇか。」
「…あんた1人でサボっとけ。」
「つまんねぇの。せっかくバイクに乗せてやろうと思ったのにな〜?」
ピクッ!
バイク…?だと?
こいつ、まさか…
「朱希って兄貴のバイクにガキの頃から乗せてもらってるんだろ?バイクに乗るのが大好きなんだなー?」
くっ!どこでその情報を……!!
ていうか、こいつ、バイクなんて乗るの??!!
も、もちろん無免だよね?
「おーい、朱希〜」
こ、この声は!!
「夏輝にぃ!!!!!」
「夏輝……?だと?」
ん?佳那汰が夏輝にぃの名前にやたら反応して怖い顔をした
「あ?朱希?まだ高校行ってねぇのか……。って誰だ!?その男!?」
この人は私のお兄ちゃんの七宮夏輝
背は少し高めの178センチ
力も強くて顔もかっこよくて私の自慢のお兄ちゃん♪♪
でも私が男友達を連れてきたりすると「可愛い妹に手を出すなー!!!!!!」とか言ってうるさいの!!
だから今も
「てめー、うちの朱希のなんだ!?」
「彼氏です♪」
「あぁん!!!!??」
とか言って言い争ってるし…
って、
「はぁ!!!!??」
危なっ!!!スルーするとこだった!!!!!!
「こいつは彼氏なんかじゃ…ムガッ!!!」
「まったく、朱希ったら照れ屋だな〜。そんなにお兄ちゃんに付き合ってること言いたくないのか〜?」
く、口塞がれた!!
い、意味わかりません!!
付き合ってません!!
「あ、朱希…ホント…なのか?」
「ムガッ!フガッ!(違う!)」
「そっか、そうなんだな…。でも俺は認めんぞ!!朱希はわたさーん!!!!!!!!!!」
「ハハラフハウ!!!!(だから違う!!!!)」
こんの、くそ兄貴〜!!!!
「で、どうすんの?ガッコ♪」
と、笑いながら聞いてくる佳那汰
くっそ〜〜〜!!!!
「もー、今日は休む!!2人ともでてけ!!!!」
「朱希、この男が彼氏なんて…」
「だから彼氏じゃ…、ムガッ!」
「照れんなよ。朱希」
「……、じゃあ俺は大学に行ってくるから。変なことしたら許さんぞ!!」
私の口を塞いでる佳那汰の手をおもいっきり噛んだ!!
「いってーーーー!!!!」
「いってらっしゃい、夏輝」
「なんで呼び捨て…?ま、いっか。呼び捨てのほうが嬉しいしな!」
「はーいはい、いってらっしゃい♪夏輝♪」
「くそー!ここに残りたいけど行ってくる!!!(泣)」
バタン!!!バタバタバタ…
よしっ!夏輝大学行ったな!!
「かーなったくん?……なんで彼氏になってんのよ!?」
私の怒りはついに頂点に達した!!!!
「いや、あの兄貴ってその辺では顔売れてっから、どんだけ恐いんかなっと♪」
顔が売れてる…?
確かに顔はめちゃめちゃイケメンでちょーーーーうかっこいいけど…
「売れてるって…?ま、まさか夏輝って、私にないしょで俳優し…」
「そっちじゃねえよ!!夏輝……さんは他校のやつらが知るほどつえぇんだぜ?お前の兄貴がな」
か、佳那汰が夏輝にさんづけした!!!!!!
ていうか、えっ???!!!あのめちゃくちゃ優しい夏輝(もう呼び捨て慣れちゃった♪)って不良だったわけぇぇえぇぇぇええ?????!!!!!
「えっ、じゃあなに?ここに来たのは夏輝目当てだったわけ?」なんかガッカリ……って違う違う!!
「いや、ちげぇよ?お前の兄貴だったなんて知らなかったぜ?まさかお前が妹だったなんてな。通りで顔が可愛いわけだ」
「なっ……!?かっ、かわ……!!!!」
こいつ恥ずかしいことサラリと言いやがった!!!
で、でもちょっと嬉し……じ、じゃないじゃない!!!!!
「でもあんた、少しも怖がってなかったじゃない?逆に反論してたし!」
「それはまぁな。だって夏輝さん。お父さんみたいだったじゃん?“娘はわたさーん!”みたいなさ」
ぶっ……た、確かに!!